『ドリフ大爆笑』で、教室を舞台にしたコントをやっていた。志村けん扮する生徒がふざけてばかりいるので、いかりや先生にどなられ、「廊下で立っとれ!」と教室を追い出される。
廊下に出されてなお、いたずらしまくる志村けんに笑いつつ、めっちゃ懐かしいことを思い出した。
大学時代、漢文を教えてくれたA教授。
とにかく「陰険」かつ「厳しい」。その上、ルックスまでも「陰険」な、たまらない先生だった。
講義内容は全く覚えていない。見事なほど、何も残っていない。なのに、A教授が言ったこの2つだけは鮮明に覚えている。
「宿題をやってこなかった・忘れ物をしてきた・遅刻してきた、こういう生徒を廊下に立たせるのは愚の骨頂だ。絶対してはならない」
それと、
「大きな声で元気よく歌いましょう、は、やめてくれ」
まさかA教授が、こんなことを言うなんて····聞いたとき、あまりの意外さにポカンとしてしまった。
その意図は、
「宿題をやってこなかった・忘れ物をしてきた・遅刻してきた生徒は、それだけ今日の授業にハンディがあるのだから、より、手厚くフォローすべきだ」。
そして、
「こめかみに青筋を立てて大声で歌っているのは音楽ではない」から。
教育学部教員養成課程の私たちは、当時、ほぼ100%、卒業後は教師になった。
そんな「未来の教師」に向けてのA教授のアドバイス、というよりむしろ「苦言」だった。
私は教師にならなかったが、A教授のこの「苦言」、思いのほか深く身に沁みていて、自身の価値観の一角を形作っている。
今ならA教授から、もっと学べるのに、と残念でならない。なにより漢文学、なんでもっと一生懸命学ばなかったのか。面白い学びがいっぱいあったに違いないのに。
もう一度 学べたころに 戻りたい
鞠子