三重県の町立病院に勤務していた元職員が、3年以上にわたり1億5,000万円ものお金を着服していたらしいとの新聞記事を読んだ。その記事には、あわせて九州大学や岐阜県教育委員会、警備会社ALSOKで起こった横領事件も紹介されていた。
どの事案も「会計管理を一人で担っていた」ことが原因の一つとして挙げられている。
多額の金を何に使ったか。そんなこと、私はどうでもいい。なぜ着服できるのか、その方法がどうしても理解できない。
かくいう私も、実は会計管理を一人で担っている。会計資料は毎月作成するが、監査は年に1回のみ。それも「不正はない」という前提のもとにされるので、大甘な監査だと思う。
それにしても、だよ。
三重県の町立病院みたく、窓口で支払われた診察費から一部抜き取って口座に入金し、抜き取った分を「預り金」計上して着服していた、などというやり方では、うちの大甘な監査でも、一発で見破られる。
なぜなら、預り金とか仮払金、前払金といった類の科目は、その内容を明らかにすることが原則であり、当然であり、必須だからだ。むしろ現金など、監査の日に帳尻を合わせておけばすむわけで、さほど重要視されない。
記事には、この病院、照合される帳簿自体も元職員がつくっており、実際の残高を記入していたため監査をすり抜けられた、とあるが、ということはつまり、「預り金・仮払金・前払金等はノーチェックで、現金や預金の残高のみチェックしていた」んだろうか。
そんな監査、全く意味がない。
もちろん、着服した元職員がダメなことは間違いない。
目の前に、どれだけ多額のお金があろうとも、それは1銭たりとて自分のお金じゃないのである。だからこそ、厳密に扱わなければならない。ひとりで管理しているのならなおのこと、公明正大に扱い、誰にもわかるような会計書類をつくり、いつ、誰に、何を聞かれても、きちんと説明できるようにして、信頼を積み重ねていくべき。
複数人で管理するより、むしろ気を遣わなければならず、それが当たり前なのだと思う。
だけど、うちの場合、どう考えても、預り金処理での着服はムリ。
ま、100歩譲ってできたとしても、毎日毎日、人の目を避け、びくびくしながら仕事するなんて、考えただけでもゾッとする。
絶対、もたない。
信頼が 電卓たたく 音となる
鞠子