いつもスイミングで会う水中歩行専門の女の人。
感じのいい人で、会えばなにかしら会話するのだが、ここのところしばらく見かけなかった。
でも数日前、久しぶりに会った。
なんでも、「孫もスイミング(←スクールね)に入ったので、同じ時間に来るようにした。で、帰りも一緒に帰る」のだそうだ。だから前より早い時間に来ているのだとか。
そんな話をしながら、スマホでお孫ちゃんの写真を見せてくれた。七五三の写真か? 正装の彼は、なかなかイケメンで、将来が心配だ(←大きなお世話だが)。
そして昨日、そのおばあちゃん&お孫ちゃんコンビにスイミングの駐車場で出会った。
おお、写真通り、イケメンではないか。
彼はおばあちゃんの手を握りながら、恥ずかしそうに「こんにちは」と言った。そのはにかみ具合があまりに可愛くて、つい、「お名前は?」と聞いてしまった。
聞いた瞬間、即、「しまった!聞くんじゃなかった!」と思った。
彼がぼそぼそと「〇×ジュンシロウです」と答えるのを聞き、後悔はさらに増大した。
昨今、名前が全然覚えられない。キラキラネームとなると、さらに覚えられない。
忘れてはなるまい、と思い、「〇×ジュンシロウ君ね、カッコいい名前だね」と復唱した。
そうしたらおばあちゃんが「ジュンシロウじゃなくてリュウシロウなの」とさらにややこしい訂正を加えた。
いや、待て。
ジュンシロウ、リュウシロウ、ジュンシロウ、リュウシロウ‥‥‥
最初に聞き間違えた方が「リュウシロウ」だったか? だとすると、正しくは「ジュンシロウ」だ。あれ?ジュンシロウだったっけ? いや確かリュウシロウだ、ん? やっぱりジュンシロウ???
…今度会ったとき、名前を呼ばなければならないようなシチュエーションでないことを祈るしかない。
ジュンだかリュウだかにとらわれすぎて、すでに名字の「〇×」は、全然記憶にない。
名前はうかつに聞いてはいけない……
名前など 聞かなきゃそれで 済んだのに
鞠子