職場のオトコ後輩がけがをして、今、松葉杖をついている。けがをした部位より、杖を支える脇の下の痛みや胸のあたりの筋肉痛がつらいらしい。
トツッ、トツッと、歩くのも大変そうだ。
その姿を見て、嫌な予感がした。私だったら、たぶん、歩けないな、と。
予感を確かめるべく、彼に松葉杖を借りて歩いてみた。
だめだ、全然、しんどい。片足を地面につかずに歩くなど、数歩でギブアップした。トツッ、トツッながら階段を上がりおりできるのは、彼が若者だからだ。
健康診断のバリウム検査も、受けるたびに思う。
あの検査台で、頭が下になったとき、全体重を手だけで支えなければならないこと。かたい板の上、何度か右回りに素早く一回転しなければならないこと。すべて、「若い体力があればこそ」だ。検査のしんどさももちろんだが、あの姿勢を取り、あの動きをしなければならないことがだんだん難しくなっていく。
年を取ると、けがも病気も治りが悪くなる、治るのに時間がかかるということは、ずっと前から知っていた。その理由も、大いに納得できる。
だがそれ以前に、けがの治療も検査も、実は「若い人向けなのだ」、ということを松葉杖で確信した。
傷ついた パーツをかばい 別の傷
鞠子