昨夜、家に帰り、駐車場で車から降りた際、何か妙なものを踏んだ気がした。
見たら、小さなビニール袋に入った青い厚紙。いまどき、わけのわからぬものに手を触れるのは危険極まりないが、その厚紙のデザインに見覚えがあり、思わず拾い上げてしまった。
なんとそれ、私が利用しているクリーニング店のスタンプカードではないか!
…って別に驚くようなことではないが、実はこのカード、1年以上前に、紛失したカードだったのだ。
そのときも紛失に至る経緯がナゾ中のナゾだった。
クリーニング店でスタンプを押してもらって手にしてから、見当たらないことが発覚するまでの間の行動歴、使ったバッグ、使った移動手段、すべて完ぺきに覚えていた。なのに、その経緯にかかわる全部をくまなく探しても、どうしても出てこなかったのだ。
もうどうにも打つ手がなかった。預けた洗濯物は、幸い顔パスで返してもらえた。ただし、カードは再発行してくれたものの、今まで貯めたスタンプはパアになってしまった。
そんなカードが、今さら出てくるなんて。
だけどちょっと待て。
カードはご丁寧にビニール袋に入っている。少なくとも私は、このよな袋に入れて保管していなかった。ということは、誰かが届けてくれたのか? で、駐車場にほっておいた? 1年以上も経ってから?
どう考えても、おかしくないか?
家に入ってしげしげチェックしてみた。
そしてもっとおかしなことに気がついた。このカード、顧客番号が振ってあるだけで、名前や住所の記載は一切ない。再発行してもらったカードを見たが、顧客番号は全然違う。だがしかし、再発行した時点で、以前の顧客番号と同じ番号をつけるとは限らない。
つまり、駐車場にあったカードは「私のものかもしれない」が「私のものじゃないかもしれない」。もっといえば「誰のものかわからない」。
カードといってもキャッシュカードよりは大きく、それも厚紙二つ折。風に吹かれて飛ぶようなものではない。かといって、うちの駐車場は奥まっており、誰かが意識的に入って置いたか落としたかしかない。カーポートタイプで屋根があるだけだし、昨夜、目にするまでは決して落ちてなかったと断言できる。
クリーニング店は仕事関係から利用するようになった店で、いわゆるチェーン店化した大手ではない。この付近の人が利用しているとは思えない。
いろいろ考えたら気味が悪くなってきた。
お店に届けてあげようかとも思ったが、事情を説明しにくいし、なにより誰のかわからないものを触ってしまった不快感もあってわずらわしくなり、広告で包んでゴミ箱に捨てた。
もちろんそのあとは、薬用石鹸で、いつもより念入りに手を洗った。
だがしかし、あまりにも偶然&奇妙な「失くし物、こんな形である意味発見」。
なんとなく『世にも奇妙な物語』っぽくない?
ウイルスに 汚された指 すさむ人
鞠子