最近、うちの職場は在宅も出勤も約束事がめちゃめちゃになってしまっている。徹底的に「家にいたくない」ヤカラがいて、この御仁は何があっても職場に来る(←が、ほとんどネットサーフィンして遊んでいるかタバコを吸っている)。一方で、なぜか必ず昼から帰る御仁もいる。で、私はどうしているか、というと、家でしかできない仕事があり、週一程度、在宅勤務をしていたが、この仕事も緊急事態宣言全面解除につき、やる必要がなくなってしまった。つまり、在宅すべく必然的な理由はなくなった。だが、国は今も「可能な限り在宅勤務を」と言っていることもあり、基本的には家でできることは家でやろう、と、自主性に任せた状態になっているのである。
今日など、午後には何があっても出勤してくる御仁と私だけになった。この御仁は、夕方からオンライン会議があるため、職場に一人でいたい(←家で出るのは嫌&1人ならマスク、外せるから)。それで「よかったら、ご帰宅ください」というので、その申し出をありがたく受け入れ、私は帰宅することにした。
…のではなく、思い立って、美術館に行くことにした。
弁解に聞こえるかもしれないが、急ぎの仕事がないときは、美術館とか図書館、博物館とか科学館、そういうところには、「積極的に行くべきだ」と思っている。
即、役立つわけではないが、想像力・創造力・発案力・着眼力etc.、そんな力をつける一助になるし、なによりデジタル機器に惑わされない時間は、心をずいぶんと落ち着かせる。
…などと言っても、決して受け入れられないが。
でも私ははっきり「県美術館に行く」と言って、職場を出た。
今、展示されているのはコローやミレー。『ミレーから印象派への流れ』と題し、英仏海峡沿いのドゥエ美術館、トマ=アンリ美術館、カンペール美術館、そしてイギリスのウェールズ国立美術館にある69点を観ることができる。
作品保護のため、館内が相当寒かったのには辟易したが、ミレーの『部屋着姿のポーリーヌ・オノ』
では、自分の運命を悟ったポーリーヌの悲しいほどの白い肌が、『モーセに扮した自画像』では、やり場のないミレーのいらだちが、とても印象的だった。
シダネルの『日曜日』の神々しさも圧倒的だった。
…で、もし一点、いただけるなら、コンスタン・デュティユーの『風景、夕暮れの効果』をお願いしたい。この絵、入場口すぐのところにあったのだが、構図といい色使いといい、その中に入っていきたくなってしまうほどの深淵。
絵の前から、なかなか離れることができなかった。
日頃のチマチマなど、もうどうでもよくなってしまった。
絵が語り 私が語り 間を満たす
鞠子