演奏会も歌舞伎も映画も美術館も、私は基本的に一人で行く。
誰かと一緒に行くと、例えば私が「すごくいい」と思っても相手は「全然」だったり、当然逆もあるわけで、それに気を遣うのがおっくうだから。
もちろん、何が何でも一人、というわけではない。
昨日の『ミュンヘンバッハ管弦楽団演奏会』も、私は一人で行くつもりだったのだが、たまたま音楽トモも行きたい、ということになり、彼女はあとでチケットを購入した。だから、別々の席で聴いた。
ところで、このトモ、チケットを買った後、「演奏会の前と後、飲もう」と言い出した。
私一人だって、演奏会の前・後はほとんど「飲んでる」ので、当然OKを出したのだが…
結果…
○午前11:00から銀座ライオンで昼飲み
○午後1時から演奏会
○演奏会パウゼ中に、ホワイエで休憩飲み
○演奏会終了後、ショッピング
○午後4時半からキリンシティで夕方飲み
…とまあ、なんとも飲みたい放題。
バッハ愛がアルコールのせいで何倍もふくらんじゃって、気分が悪いわけがない。
それだけでなく、なんでもトモは、大変な仕事が一段落したらしく、初めから飲む気マンマンで来ていた。
このような一日を過ごすと、後で思う。
こんなことができるのは、私も彼女も働いており、そこそこ安定的な収入があるからだ。だから「できる」のだし、だから「たまにはそういうことをしてもいい」と思えるのだ。
そう言えば、類は友を呼ぶと言われるとおり、私のまわりは「働いている女の人」ばっかりで、専業主婦のトモはいない。それが当たり前で、何の疑問も感じなくなっている。
例えば、
半休をとり、午前中、文学講座に行ったときなど、帰り、私はいつもそれなりにあせっている。
いつぞや、一緒に講座を受けている年配女性に階段の踊り場で声を掛けられた。
「これからどこか行かれるの?」
「いいえ、戻って出勤です」
「え!!」
…女性は、一見大げさに見えるほど驚いた。年齢的にもおそらく、その人のまわりは専業主婦ばかりに違いない。だから、働いている人の方が異星人なのだ。
昨夜のトモとは、酔いの中、固く誓いあった。
「どんなに嫌なことがあっても、定年までは絶対しがみつくわよ」
…ただし、働く人ばかりの星と、専業主婦ばかりの星と、どっちの住むのが幸せか永遠にわからないが。