ずっと前、量販店だったか喫茶店だったかで応募したら、無料バス旅行が当たったことがある。
そのとき、「無料」ほど怖いものはない…と思ったが、結局参加。
途中、ジュエリーやら毛皮やら、「絶対買えない」ものを製造している会社訪問が組み込まれていたり、お菓子やお酒の試食・試飲があったりで、何か買わせようという魂胆がちらちら見え、なかなかおもしろい体験をした。
以来、頻繁にそのときの旅行会社からダイレクトメールがくるようになった。
無料のときもあれば、お値打ち価格が設定してあるときもある。いずれにしても、食べ物の好き嫌いが激しい故、メールを見るだけでほかしていたのだが、今回、「行ってみようかな」と思う場所&食事のバス旅行が載っていたのである。それも無料で。
さっそく申し込んだ。
ところがしばらくしたら「申し訳ございません。お申し込みになったコースが定員に達してしまいました。別日のコースをご案内いたしますのでご検討ください」なる封書が届いた。
スケジュールは基本的に変わっていないのだが、観るはずだった「満開の藤の花」が別日では見られないので、そこだけ他物に代わっていた。
なんたって、無料だもんな…仕方ない…ということで、別日コースで参加する旨、連絡した。そして昨日、参加証が郵送で送られてきた。
だがしかし。
私、勝手なことに、このバス旅行に行く気をなくしたのである。
理由は全くもって、自己都合だ。旅行会社には何の落ち度もない。申し訳ないと思ったが、今、とても行く気になれない。
断るなら早い方がいいだろう、と思い、今日、さっそくキャンセルの電話を入れた。旅行会社は、「また次回、よろしくお願いします」と言って電話を切った。
このバス旅行に関する一連の出来事すべてひっくるめて、今、ものすごく疑問に思う。
パンフレット郵送・申込登録・別日への変更案内郵送・参加証郵送・旅行代・キャンセル手続き…どれも人が関わり、お金がかかっているではないか。
なのになぜ、無料なのか。
この費用は、いったい誰が負担しているのか。ジュエリー会社や毛皮会社が、手数料を払うのか。しかし毛皮も、基本的に誰も買わない。むしろお手洗いだけどんどん使われる。あるいは、立ち寄るお土産屋さんからマージンが入るのか。それにしたって、観光バス1台分の旅行費用を賄えるほどじゃないだろう。
この「無料ご招待」の仕組みはいったいどうなっているのか。
全く不思議でならない。
…ということで、お金がかかったパンフレット・変更案内・参加証、全部古紙のヤマに積んだ。