急に春っぽくなった。
昨日の朝、出勤途中、信号待ちをしていたら、抜けるようなスカイブルーのスプリングコートを着た女性が目の前を横切った。
…本当に春がきたんだ、ほっとした…そんな気がした。
そして今朝、同じ信号で、くだんの女性がまた目の前を横切った。
今日はショッキングピンクのコート。
メガネ、髪型、横顔…昨日のスカイブルーが余りに印象的だったから、記憶に残ってた。
今朝のショッキングピンクも同じ女性だとすぐわかった。
どちらの色も、「いかにも春」。
だけど、今朝はふと、見なきゃよかったな、と思った。
おそらくこの女性は、「春がきたから春色を召した」のではなく、「春色が好き」なのだ。
季節の流れを感じた感慨が、勝手に興ざめした。
全く身勝手に興ざめした。
…そして私は、相変わらず、暗色をまとっている。
黒色にひそむ桜は秘めた春 鞠子