やっぱり観に行ってしまった。
『人間の條件』第5部・第6部完結編。
この完結編は、1~4部と違って、戦争そのものの悲惨さが色濃く描かれていたが、なんといっても「俳優・仲代達矢」の鬼気迫る演技が圧巻だった。
戦争、投降、捕虜、強制労働…と、予想できる流れで進んでいくのだが、その間の仲代達矢演ずる梶の変貌ぶりが凄まじい。
痩せ衰えていくなどというありきたりな変化だけでなく、視線が「正気じゃなくなっていく」のである。
…戦地では、本当にこんなふうだったんだろうな。
長い長いこの作品。
最後に梶はロシアの収容所を脱走し、さまよいながら雪の上に倒れる。
朦朧とした意識の中、妻を思い、日本を思い、「美千子、僕は君のところへ帰るよ」とつぶやく梶の上に、雪が降りしきるところで終わる。
9時間半、観終わったが、登場人物全員、結局誰一人として救われなかった。
いわゆる「エキストラ」役の人も全員。
…だからやっぱり戦争はダメなんだよ、そんなことしたら。