子どもの作品には、ドキリとさせられることが本当によくある。
朝から、笑ってしまった。
小学4年生の男の子が書いたこの作品に。
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遊園地でのきょうふ
この前遊園地で乗り物に乗った。
その時遊園地の人に
「ぬれますからカッパを着て乗ってください!」
と言われました。
だからカッパを着て乗りました。
そしたら大きな恐竜が
急に出てきました。
そして息するヒマもなく
急降下しました。
そのあと思いっきり
頭から水をかぶったので
「こわかったね。」
とお母さんが言った。
ぼくがお母さんの顔を見ると、
けしょうがとれて
変な顔になっていた。
目の下に黒い線が
しずくのようにたれていた。
乗り物より
お母さんの顔の方がこわかった。
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遊園地での彼とお母さんの姿がリアルに浮かんでしまうこの筆力は何なんだ。
ふだんの彼とお母さんの関係がどんなに温かいか、想像できてしまうこの行間の力は何なんだ。
おびえるパンダ顔のお母さんと、案外冷静に母を観察している彼。
でもよく見ると、
乗り終わる前は「です・ます」調で書き、乗り終わった後は言い切りの形で書いている。
続く動揺と事後の安堵感が入り交じり、です、ます、なんて、丁寧に言ってられないんだ。
「こわかったね、とお母さんが言った」、なんて、他人事みたいに書いているが、彼も本当はこわかったんだよ、きっと。
…しかし、それ以上に、母の顔はすごかった。
…笑える。笑えるけど、泣ける。
すばらしい。
負けた…