そういえば最近、本の話をしてないにゃ。
TBS系列日曜劇場で『半沢直樹』ってドラマが始まったでしょう。
BSだったか『七つの会議』というドラマも放映するよね。
どちらも原作は池井戸潤さん。
この人の小説は、なんと言っても登場人物ひとりひとりが、強と弱、清と濁をあわせ持っているから、安心して入り込める。
ストーリーも面白い。
…駄菓子菓子…
今の私は「なかなか読み進められない」小説ばかり抱えている。
[正宗白鳥『泥人形』]
エクステンションカレッジがらみで読んだ。
明治時代の作家なのに、考え方が「まるで現代人」。
深海のような虚無感。
例えば、
「いい大学へ行きたい」→「行ってどうなる?」
「出世したい」→「出世したらどうなる?」 、みたいな。
欲を満たしても、それが一体何になる?
何となく結婚し、何となく日々を送るだけで、夫婦の情、など微塵も感じられない。
すべてが惰性。
何もかも空虚。
…わかるなあ、このやるせなさ。
わかる、すごく。
[夏目漱石『草枕』]
カルチャーセンターで、H教授による夏の特別講座を受けるつもりで読み出した。
結局、有休を取れない日だということが判明したが。
『草枕』は、幻想的な絵画の中にいるような気になる作品。
言葉づかい、言葉のリズムが蠱惑的だ。
冒頭の有名すぎる一文、
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」
…を読んだだけで、私などボーゼンとしてしまう。
も1つおまけに引用。
「世の中はしつこい、毒々しい、こせこせした、その上ずうずうしい、いやな奴で埋まっている。元来何しに世の中へ面を曝しているんだか、解しかねる奴さえいる。しかもそんな面に限って大きいものだ。浮世の風にあたる面積の多いのを以て、さも名誉の如く心得ている」
うまいっ!
その通りっ!
よく、こんなふうに的確に書けるもんだ(←だから文豪なんだもん。当たり前か)
[太宰治『地図』]
何と、太宰が中学生の頃に書いた作品集。
よく知られている太宰の作品に比べれば、いかにも若い、という感じだが、どう見ても中学生が書いた、とは思えない。
苦悩の質量が、そのへんのオトナ以上だ。
だけど、この粗削りさに、何だかとても親近感を持った。
これらの作品で、ずいぶんモテたんじゃないかと、勘ぐってしまった。
私なら、完全にやられてたなあ。
魅かれまくったに違いない。
…ということで、ローガンと闘いつつ、とつとつと読み進めております。