ナミダのクッキングNo.835 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

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今日、ちょっぴり悲しかったこと…

音楽評論家・横溝亮一氏。著書『クラシックの愉しみ』が、今朝の朝刊に紹介されている。

何でもこの本には、55の音楽家や楽団、それもそうそうたるメンバーが登場するらしい。そのすべてが「ナマの演奏を聴き、あるいは本人と直接あったことがある人」なんだそうだ。

横溝氏曰く、
「聴くだけでは収まらず、楽屋まで行って確かめる。答えられないと言われても翌日、ホテルに行く」。

ま、音楽家にしたら迷惑、かも。
ただ、そうして音楽家の人間性にまで迫らなければ、「評論は書けない」というのも真実だと思う。

すごいわぁ(゜_゜;)
「押さえられない好奇心」が、横溝氏を動かしてしまう、んだろうなあ。

楽譜、そこに込められた作曲家の思想まで読みこみ、読み砕き、時には演奏家や評論家に対する辛口のコメントも書く。

ちなみに横溝氏は、作家・横溝正史氏の息子さん。
肺を病んだ正史氏が、療養地で音楽を朝から晩まで流していたため、亮一氏は音楽の中で育ったようだ。

横溝正史、と言えば金田一耕助シリーズ。
不謹慎だが、私は、このシリーズに出てくる数々の「死体」の描き方が大好きだった。
鮮やかで美しい。
まるで原色で描かれたような絢爛な美しさ。
だからよけいに、妖しくて怖かった。

そんな「美しい死体」を書けるのは、正史氏の音楽世界と無縁ではない気がする。

そして、亮一氏の音楽を見る目も聞く耳も相対する姿勢も、正史氏の血を引いているからこそ、という気がする。

…なんて不遜な見解、すみません_(._.)_