ナミダのクッキングNo.295 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

今日、ちょっぴり悲しかったこと…

約半年かかって準備した昨日(←正確には一昨日だ)のビッグイベント。
中でも私が担当したパネルディスカッションは、己の信念を貫くべく、上司の意向に真っ向逆らった企画。間違っても失敗するわけにはいかず、企画内容から人選に至るまで、準備段階からリキが入りまくっていた。

結果…

パネラーの経営者3名、思い描いた以上に正直に、素直に、自分の言葉で経営観を語ってくれた。
地元紙や経済紙の記者が取材にきたが、5つある企画のうち、すべての記者が私の担当企画を重点的に取材してくれ、朝刊に写真つきで掲載してくれた。

…って言うと、なんかカッコいいけどさぁ、原点そのものの企画をしただけで、特別なことしたわけじゃないんだけどな。

パネルディスカッションの後半は、コーディネーターの采配による参加者全員討論というリスキーな初チャレンジ。でも、会場から質問が出されたり、発言があったりで、なかなか面白かった。

例えば
プラスチック製品製造業の若いニ代目から出された意見。

仕事量が月によって大きく違う。繁忙期に合わせて人を雇うと、暇な月は人が余ってしまい、困っている。

この意見に答えたパネラーの1人・T社長。

創業時、無名の小っぽけなわが社には、なかなか人が来てくれなかった。人が採れない苦しみは、嫌というほど味わってきたんです。
だから、暇になったからといって、せっかくわが社に入社してくれた社員を切るなどということは、一度も考えたことはありません。
仕事が減ったって、今いる社員が食べられるだけの仕事は、何がなんでも探してきてみせる。
忙しい時だけ派遣社員を使い、暇になったら契約を解除するという会社もあるが、人をモノ扱いするのと同じだと思うから、わが社は決してしません。

T社長の会社は、社員50名弱の機械設計会社。
全員正社員。
仕事柄、残業も多いが、残業手当は満額払っている。
この業界は、技術者をメーカーに派遣した方が儲かるが、T社長は「社員をモノ扱いしてまで儲けるつもりはない」と、創業以来、一貫して自社に社員全員抱えるスタイルで経営してきた。

T社長自身、好奇心の塊みたいな人で、気になる会社、気になる社長のところには、すぐ足を運ぶという超速フットワークの持ち主。
人間的にも面白く、気さくな人。何の用事がなくても、気楽に会社にお邪魔でき、雑談していると、あっという間に時間が過ぎる。

T社長曰く…
「君は100万、売りなさい」という数字のノルマは、売ったか、売らないかの2択で社員を評価できるから、これほど楽なことはない。
でも、そんな単純なことじゃ、人は判断できんでしょう。
だから会社の目標は、「昨年よりはちょっとでも上をいく」。
売り上げも経常利益も、個々人のスキルも、人間関係も、会社にまつわることはすべて「昨年よりちょっと上」。

考えてみれば、これほど、難しい目標はない。
でも、これほど人に優しい目標はない。

このパネルディスカッションを企画するにあたり、嫌な思いもいっぱいしたけど、信じてガンバッてきて、本当によかった。