ナミダのクッキングNo.193 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

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今日、ちょっぴり悲しかったこと…

急に秋っぽくなった。ついこの前まで、早く涼しくならないかと心待ちにしてたのに、なったらなったで何となく淋しいし…って思うのは、私だけじゃないよね…

台風が去った後は、ちょっと色っぽい話をするんだったね(←…って誰が決めたん??)

今日、向田邦子の『父の詫び状』読んでて、その中の『卵とわたし』というエッセイで、切なく色っぽい話を思い出した。

『卵と…』で気になったのは、小学生の時、告げ口をしたとかしないとかで仲たがいした同級生との話。彼女は遠足の時に邦子さんのところに来て、茹で卵を無理矢理押しつけていった。その卵のカラに鉛筆で「あたしはいわない」と書いてあったのだそうだ。

中学一年の時、私は横溝正史の金田一耕助シリーズにハマっていた。同じクラスにNクンとOクンという男の子がいて、彼らも金田一耕助サマにハマってた。NクンとOクンは、幼稚園からずっと仲良しで、見た目も似た感じで、おまけに頭もよかった。特に数学が抜群にできた。
彼らと私は、金田一耕助シリーズの文庫を買って、貸したり貸されたりして回し読みしてた。

ある時、Oクンが、「これはオマエにやるわ。Nにはもう貸した後だから、回さなくていいからな」と言って、一冊くれたことがある。金田一シリーズの何という題の文庫だったかは、全く覚えていないけど。
私は何の疑いもなく、え~いいの?ありがと、かなんか言ってちゃっかりもらったんだ思う。

読み終わるまで、全く気づかなかった。本の裏側、つまり表3にあたるところの文庫のカバー縦の余白に、サインぺンでこう書いてあったのだ。

…I Love You…

…って…

私、その時、なんて思ったんだろう。全然覚えてないの。なぜ覚えてないんだろう…

ただその後も、私たちは何も変わらず、相変わらず金田一シリーズの回し読みをしていた、と思う。
二年生になり、クラスも別々になって、そのまま疎遠に…
卒業し、別々の高校に進学し、全てが記憶のかなたに追いやられた。

…それが最近になって、会ってはいけないところでOクンと再会した。

それは、朝刊のお悔やみ欄だった。
よくある名前、ではない。年齢も住所も、私の知ってるOクンと一緒だった。

どうして…?

何とも言えない苦い思いがした。

そしてまた今日、『卵とわたし』でその苦みを思い出した。

実はNクンとは、大学の時にふとした再会があったんだけど…
その話は、機会があればまたいずれ。

ILove Youと書いてくれた文庫、まだうちの本棚にあるに違いない。
何となく探す気にはなれないけど…