直木賞作品。2013年の作品。

桜田門外の変から天狗党の乱を経て、幕末の混乱期を生き抜いた池田屋の登世。
登世は後に詩人として有名な中島詩子。詩子はあの樋口一葉の恩師なんですね。
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いやあ、驚くべき壮絶な物語。

登世は商家に生まれたやんちゃ娘ですが、ある日水戸藩の林以蔵に一目惚れしてしまいます。江戸から水戸に爺やの清六と赴いた登世ですが、林以蔵の妹てつと衝突します。

江戸と違って水戸藩は質素倹約。何かとケチケチしてるんですね。

そんな中、水戸藩の若い藩士が決起して天狗党の乱になります。ここからは悲惨。天狗党の親族は次々に捕らえられ殺されてゆきます。「それでも世は明ける」という映画を思い出します。ひどい仕打ち。

水戸の暮らしで登世が散歩していると、川辺で貞芳院、すなわち徳川幕府の正室で時の征夷大将軍の母上と鉢合わせる。この貞芳院とのやりとりが印象的です。

狩りをするときに仕留める鹿と逃がしてやる鹿をどう見極めるか、それは銃口を向けて立ちすくんでいる鹿を仕留める。肝の小さい鹿はいずれ他の獣に負けて殺されるから。

そして…
天狗党の動乱が終わってから、歌人として再び貞芳院と会話するとき、貞芳院が登世に動乱の原因を問うて、その根本原因が貧困にある、と語ります。

貧しさと抑圧は人の気を狭くする

ああああ
昨今のテロ事件にも似たようなことが言えるかも。

すごい話だなあ。
(=^x^=)