クリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演の
『バットマン三部作』の二番目です
三部作の中では、一番の出来ではないでしょうか
ジョーカー役のヒース・レジャーの遺作となった事の方が
有名になってしまいました。
夭折ともいえる若さなだけに、惜しかったと思います
今まで繊細な役が多かったヒースが、人の弱さや人間関係の
脆さにつけこむジョーカーを強烈に演じたってのも意外でした
『目的や目指すものは同じなのに大切な人とすれ違う事があった、
そこに付け込む人間が居た』という苦い人間関係の過去を持つ人には
観ていただきたい映画だと思います
予告編はこちら、あらすじいってみる
ゴッサムシティの銀行でピエロの仮面を被った集団による銀行強盗事件が
多発していた
しかもその強盗事件は、仲間を射殺、集団の頭は仮面を取ると、
白塗りの顔、口元が切り裂かれた痕、赤い口紅、縁取った目は憎しみと狂気と
不気味さに満ちていた
男の名はジョーカー(ヒース・レジャー)
マフィアが関わる金しか奪わない、その目的は何なのか・・・
バットマン=ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、
ニセモノの度重なる登場にヤキモキしながらも、ゴッサムシティ市警察署のゴートン
(ゲイリー・オールドマン)と共にマフィアの資金洗浄について捜査していた
ブルースが会長を勤めるウェイン社にはラウ・ファンドという香港系企業が合弁事業を
すすめるため社長(チン・ハン)自らゴッサム・シティにあるウェイン社にプレゼンテーションに訪れていた
しかしこの不況下の中でラウ社の年8%の固定成長率はおかしいと踏んだブルースは、
事業締結を中止、ラウ社には裏取引があるのではないかと見抜く
案の序、ラウ社はマフィアがバックについた企業だった
そんな彼らの元に現れたのが、レイチェル(マギー・ギレンホール)の上司ハーヴェイ・ケント
(アーロン・エッカート)
法のもとにマフィアを裁こうとする一方、警察内部の内通者を
徹底的にあぶりだし、小悪でさえも許さないハーヴェイは
仲間を突き出す『トゥーフェイス』というありがたくない影口もたたかれていた
マフィアを根本的に根絶しようとするバットマン=ブルースは、大きな世界悪の為には
小さな悪は見逃していく
同じ正義を貫こうとしてすれ違う三人の前に立ちはだかるジョーカーは、バットマンを標的にし、
彼に関わる人間の潜在意識に潜む悪を目覚めさせ、殺していこうとする・・・
正義感の概念の違いを、ジョーカーという悪の根源につけこまれるという話なんだけど、
映画を観ていて
バットマン=ブルース・ウェイン、ハーヴェイの
両方の考えが自分の中にあった。
それが時と場合、接する人間関係によって、正義感の出し方は変わることもあるわけで。
でもって、この映画のブルースとハーヴェイのように、『正義』を貫こうとして、
すれ違う思いもあり、そこを自分の手は染めない根性悪に付け込まれて、
嫌な思いもしたわけで
今回は、ブルースとハーヴェイの正義感の概念の違いだけでなく、
レイチェルという同じ女性を愛していることが、物語をややこしくしている
前回に引き続き登場のレイチェルなのだけど
演じる女優さん交代、こんなぞんざいな扱いでいいのだろうか?
後に明らかになるのだけど、ハーヴェイの正義は、細かいことも見逃せない
犯罪は未然に防ぐべきだという考えは行き過ぎていて、法律の元にすべて
裁き、抹殺すべきだと思っている
ハーヴェイの場合、立場(レイチェルの上司)という『常識の仮面』があり、
それは表に出せない。あくまで表の顔は検察官、そしてブルースを立てる。
バットマン=ブルースの中にあるのは
どんな人間にも善人の心はある、というワケでとどめはささない
ただ『悪人をたたくやり方』は米国なら重犯罪者そのもの
器物損壊、個人情報盗難は当たり前。
ブルースとハーヴェイの、正義感は交わらない
ジョーカーはそこにつけこむ。
ブルースには、周りの人々を殺していくことで、ハーヴェイには『常識の仮面』を
剥がすことで
今回の悪役ジョーカーは、潜在意識にある『悪』を引き出す事においては天才的
根底にあるのは、父親から受けた虐待や、元奥さん(レイチェルによく似ているという設定)が
ギャンブルに走ったことなどが挙げられる
『オレの人生は悪しかない、お前はナゼ正義ズラして生きていられるんだ?』とターゲットに
した相手に言う。
自分の中の人生の悪をそこらじゅうにウィルスみたいに撒き散らして生きている
なのにバットマンは『全く』なびかない、強力な抗生物質みたい。
…のでジョーカーはバットマンに矛先を向ける
バットマン=ブルースの善の心につけいるジョーカー
彼が『バットマン』や『ウェイン企業の会長』としての『成功した仮面』を世間にみせ、
疲れている姿につけこむ。
正体をあかさないとお前に関わる人間を一人ずつ殺していくぞと脅し、
そのとおりにやっていく。
ハーヴィーとレイチェルを別々の場所に監禁誘拐、バットマンが助けたほうだけ助かるように
しむける
バットマンがレイチェルだと信じていった先にはハーベイが
ジョーカーは判ってて、レイチェルとハーヴェイの場所をすりかえた。
ハーヴェイは『何やってるんだ!彼女を助けろ!』…このとき彼はバットマン=ブルースのことを
考えていってたのか?というワケではなくてレイチェルのことを考えてたのだと思う
自分を慕う人間から犠牲者を出したくないというブルースの心と、ハーヴェイの
レイチェルを思う気持ちにもジョーカーは容赦なく、無情にきりこむ
その結果、レイチェルは爆死、ハーヴェイは顔に取り返しのつかない傷を負う
それが彼の心の中にある悪魔を目覚めさせる
ジョーカーがきっかけではあるのだけど、レイチェルを誘拐したのは、彼の同僚であるラミレス(モニーク・ガブリエラ・カーネン)。
ラミレスはジョーカーと手を組んでいたマフィアに賄賂をもらっていた。
なのでハーヴェイはラミレスを殺そうとする
ジョーカーはハーヴェイの
内通者を許さない『トゥーフェイス』という行き過ぎた正義感と、
レイチェルが死ねば何も残らない心の脆さに目をつけた
傍目から観れば内輪もめで殺し合いをしている様に見せかけ、ハーヴェイに
用済みになった人間を殺させる、毒キノコの様なジョーカー
ハーヴェイがブルースの代わりに
『自分がバットマンだ』名乗ろうとしたのも、レイチェルのためもあるのだろうし、
彼の眼にはブルースは何もかも手に入れた見栄っ張りにしか見えなかったのだろう。
その向こうにある成功者としての苦悩を理解することは出来なかった
人の悪意に付け込んだジョーカーの行為はこれだけじゃない
『追い詰められると人間の本性が現れる』と言わんがばかりに、普通の人と囚人の人が乗った
フェリーに爆薬と起爆装置をしかけ、爆破される前に爆破してしまえ・・・
という状況に追い詰められた場合、普通の人の方は起爆装置の奪い合いになり、
囚人のほうは、起爆装置を捨てた
ラストは、既に悪のイメージがついているバットマンを『闇の騎士(ダークナイト)』として葬り去り、
ハーヴェイ・デントを祭り上げることで、ゴッサムシティの平和を保とうとする
これはイラクなどの中近東の国々=悪とすることで、心の均衡を保とうとする米国の
極論が現れているのと同じなのではないか
『ペイ・フォワード』でハーレイ君演じる主人公が、関わったほとんどの人を
救えたのに、いじめっ子だけは救えなかったというあのラストを、
極悪級+ないものねだり+人様の正義感と弱みにつけこんだのが、
この映画なんだろうな
観終わった後に、かなり落ち込んだし、後から掘り起こした感想も
とりとめのない形になってしまいました
一回目に書いたヤツが一番まともで、書き直すたびにヘンになるわ(涙)
今までは『サンキュー・スモーキング』のような皮肉っぽい役や、『幸せのレシピ』みたいな
アラフォーキラーの役が多かった遅咲きキラーのアーロン・エッカート
この役を境に一気に『陰謀のスプレマシー』みたいな硬派な役もこなしましたね~
ラストの『ライジング』ではバットマン=ブルース・ウェインについて、
もちっと掘り下げて書いてみたいと思います。
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