幸せのレシピ(原題名:No Reservations '07年10月 梅田ピカデリー) | Que amor con amor se paga

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『マーサの幸せレシピ』のリメイクでもあるこの映画

予告編はこちら、あらすじいってみる





NYでも指折りの人気レストラン『ブリーカー22』

オーナーシェフのケイト(キャサリン=ゼタ=ジョーンズ)は完璧主義。

朝4時に起きて食材を買出しに行き、厨房に入れば、隅々まで目を行き届かせる。仕事に対する情熱は人一倍で、
その為の努力も惜しまない


しかし厨房の外に出て愛想を振りまくのは大の苦手

料理を賞賛してくれる顧客に挨拶をすることすら苦手な彼女は精魂込めて作った料理にケチをつけられた日には
肉の塊をドンッ!と客の前にたたき付けてタンカをきることも


彼女の対応を見かねたオーナーのポーラ(パトリシア・クラークソン)はカウンセリングを受けるようにすすめる。

そんな彼女にとつぜん降りかかってきたのが、たった一人の肉親である姉の死

そして姪のゾーイ(アビゲイル・プレスリン)を引き取らねばいけないことだった。

ケイトは厨房で作るような完璧な料理をゾーイに作るものの、ゾーイはそっぽ向いてしまう


がっくりきたケイトにさらに追い討ちをかけたのが、彼女の聖域でもある厨房に副料理長としてニック(アーロン・エッカート)が
雇われてきたことだった。

ラジカセを厨房に持ち込み大音響でトゥーランドットを響かせながら陽気に仕事をするニックはケイトと正反対

仕事も私生活も完璧に仕切ってきた彼女の歯車はどうなるのか?


主演のキャサリン=ゼタ=ジョーンズ曰く、こういう役を待ち望んでいたという。

どうしても彼女の容姿や今まで演じてきた役柄もあり、強くしなやかな美女というのが彼女の役柄に多かったのだが、
こうした完璧に見えて実はそうでないという実生活の彼女に近い役を演じてみたかったそうで。


彼女もアーロン・エッカートも料理は殆ど作れなかったのに、この映画の為にクッキングトレーニングを受けた
だけあって、できばえはスゴい。

ゼタ=ジョーンズ演じるケイトの得意料理として出てくるウズラのトリュフソースにしても、ウズラは小さいから
熱を入れるのが難しいし、そこまで料理学校では習わない。熟練がモノをいう料理なので料理人がみると
うなるシーンかもしれない


女性が女性の武器に頼らず働く時、女性は120%出し切ってしまうものなのだろう。

ましてやケイトのようなバックグラウンドを持つ女性ならなおさらである。

自由奔放な姉と子育てに無関心な父親との間で育った彼女は、そりゃ、男性を信用せず、辛さを一人で抱え、
おちゃらけな同性は信用しない理由も判る。

彼女が一人になりたいときは冷蔵室にこもるしかない、誰にも自分の素をうちあけることが出来ないのだ。


そんな彼女の日常を壊しにやってくるのが、姪のゾーイと副料理長のニックだ。
姪のゾーイは姉の奔放な面をうけついだのか、急いでる朝に『赤いマフラーがないと学校にいけない』と
ダダをこね、学校でもダダをこねる始末。
これもそれも裏をかえせば寂しい裏返しなのだが。

ドラマ『ハングリー』ではそこら辺、この映画より面白くでてる回があって、
向井演じる元ロッカーのシェフがプロデューサーの女性の子供を預かることになるのだが、
その子供がスナック菓子しか食べたことないデブなんだな。

親も親で忙しいのにかまけて全然食事は作らない子供がすきなホットケーキとかポテチばかり与えている。

親は冷蔵庫の中身を見られるのは下着姿をみられる以上にはずかしいとのたまってるぐらいなのだから仕方ないのだけど

向井はそんな、デブでワガママな男の子に大根の葉のピラフ、クリームソースかけを作って、
これなら今食べてるポテチの何分の一しかならないぞと教えるワケだ。

そこからこの男の子は食べるたのしさに目覚めていく。


この映画では、ケイトの作ったレストラン並の料理にはそっぽむくゾーイなのだけど、
ニックの作った料理にはくるっと振り向くわけだ。

彼の作る料理は、作る行程で食べる人に興味を抱かせ、それがどんなにおいしいものであるか、
どれほど愛情をこめているかを確実に伝えている。

ケイトがいつの間にか頭で考え理論だけで料理していた所をズバっとついているニックの姿が面白い。

スウィーツは食べないことにしているケイトにニックがティラミスを食べさせた時、彼は彼女の心を開かせたと
いっても過言ではないかもしれない。


でもって、ニックが厨房でトゥーランドットをかけているかも、面白い。

トゥーランドットはプッチーニのオペラで、氷のように冷酷な心を持つ美しい御后・トゥーランドットの花婿選びの話。

彼女は求婚に来た男性に3つの質問を投げかけ、こたえられなければ首をはねてしまう(怖)、そこに現われたのは
彼女に一目ぼれした異国の王子カラフ。

ケイトとニックの関係みたいなものなのだ

原題名はNO Reservations(予約なし)自分の心の中に予約なしですべりこんでくるのが苦手だったケイトの
心の心境の変化も表している気がする。


『ユダヤ人大富豪の教え』で出てきたのだけど

『不自由人』と『自由人』の違い

『不自由人』はせっかくあるヒマな時間を、あれもこれもしたいとわざわざ予定で埋めてしまう人。
自由人は自分の時間や見つめなおすときにあてる人

不自由人を自由人にする映画かもしれない


そんな二人+ゾーイの関係にささやかに寄り添うのが、監督スコット・ヒックが自らのワイナリーで作ったというワイン。

この映画には監督のワイナリーで作られたワインが映画の脇役を占めている。

それもまたオシャレな話だと思う。



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