死都ゴモラ | Que amor con amor se paga

Que amor con amor se paga

映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。



ブランドもん大好きだとか、ヒール大好きだとか、オサレすき、旅行好きって方、
読んじゃダメです、この本



…ウキウキ気分で旅行行く人は、読むと落ち込みます

私の知り合いで、エルメスとかシャネルとかヴィトンとかプラダとかフェンディとか、
ありとあらゆるブランドすきーと、『プラダを着た悪魔』のまわしもんみたいなのが、
この本の翻訳が出た途端(原書はイタリア語なんで読めなかったらしい)読んだら



一週間落ち込んでいた(汗)



こっちは原書(イタリア語)を辞書片手に読んでる最中に、映画化されるわ、
翻訳本は出るわで、感想書くまでにズルズル長引いて(汗)

薦めた途端に、落ち込まれて、どうしようかと


…そんな本です


今一番暗躍すると言われている国際犯罪組織カモッラを告発したノンフィクション

本国でベストセラーになり、'06年の発行から53カ国語翻訳され、本国で300万部近く
売れているという本


映画はカンヌ映画祭グランプリとなり、『塀の中のジュリアス・シーザー』
ブルータスを演じた人は、出所後、この映画に出ている

映画の項目にしようか、本の項目にしようか分類を迷ったのだけど、
やはり原書を読むのに時間がかかったので、読書コーナーに回しました



著者は、これが1979年生まれで、これがデビューになる新人なのだけど


刊行から半年もたたないうちにカモッラから命を狙われて(当然)24時間警護の中、
居場所を頻繁に変えつつもナポリ市内に住み続けてるのだという



…そんなに命危ないなら、他の国に逃げちゃえばいいじゃんwと思う人もいるだろうけど、
世界最大の犯罪組織。この本でも書かれている通り、どこに居ても追い詰めて、
殺し屋を送り込むのは判っている。それならばペン一本で戦うしかない


イタリアにはシシリアン・マフィアにペン一本で立ち向かい、マフィアから暗殺命令が
出されているジャーナリスト、リリオ・アッバーテという人もいる

何回も命を狙われているにも関わらず何故ここを去らないのかといわれ

『シチリアの人に怖れてはいけないということを示すため』といったのだそうだ


…そんなノンフィクションなんだけど


ナポリの人口は北九州と同じ100万人

毎年100人~200人がカモッラの手によって殺されているという事実を暴いたのがこの本

イタリア人すら知らなかったカモッラの事態と、その事業規模を事細かく暴き出した為に、
主に若者の間でベストセラーになった


バッタもんを作る国として悪いイメージがあるのは中国や韓国ですが、
その『発注元』なり『技術』を教える元なのは、カモッラであること

日本のファッション誌のモデルだって『雨の日様のシャ○ル』とか『エ○○ス』
に『モノホンと見分けのつかないパッチもん』をもってて
『今日は降水確率0%』とかよほどのお出かけ+撮影でもねぇ限り『モノホン』は
もっていかないそうなんでw


こうした所は、映画版でもみっちり再現されています

一階は作業場、二回は住居になった所で職人が住んでいるのだけど、
最低賃金は無視され、1日10時間働いて給料は月500~900ユーロ。

それでも技術をおしえた中国人や韓国人の方が安く作るから、会社は倒産してしまう


ブランドは完成品にしか対価を支払わないので、夜逃げしそうな工場には融資もしない

工場側は腕はあっても有名ブランドの入札に参加しても必ず仕事をとれるワケじゃない

そこにカモッラが出てくる、偽のブランドを入札にもれた工場に作らせるために

きちんと販売ルートも設けてある


関空とかでよくつかまるアレがそうなのだけど、何であんなに精巧に出来てるのに
つかまるのかというと、それはデキが悪いというより、売り子の不手際か、
カモッラが関わったことがどこかでバレたのだろう(
麻薬ルートを使って販売するので)指摘する


カモッラは、自分たちが犯罪に手を染めているのがバレないように、
これら偽ブランド品を不法滞在者に売りさばかせる。

ナポリなどでナイジェリア人が大っぴらにパッチもんのブランド品、しかも
モノホンと見分けのつかない精巧なモノを売っていたらそれだろう


その他にも、本で明らかになるのは、ゴミ処理のいい加減さ

産業廃棄物によって汚染される街と、それによって農作物も
汚染されているのに、平然と輸出しているという事実


映画版では、これに、ハリウッドにカブれたカモッラの大物が
映画『スカーフェイス』と同じ家を建てさせたとか、そういう話も
出てくるんだけど、それにしても、他人事では済まされない


翻訳も出てるのに、なんで翻訳出る前から原書をだらだら読んでいたのかと
いうと、翻訳が酷いというのもあったんですね

原書を読まれた方でない方も、そうでない方も、お気づきかと
思われますが


マフィア関連やスパイ小説を訳すのに適した翻訳者じゃないなぁ…
と思ってたら、やっぱりそうでした


翻訳者はどうやら'70年代のイタリアのドロドロ系恋愛モノを中心に
翻訳してきた人らしいです。


…専門外を頼んだのがまちぎゃーだったというのか…


『フルメタルジャケット』でも最初の字幕担当者が
戸田奈津子さんだったんですが、監督の
スタンリー・キューブリックが、そんな字幕だと映画とは
認められないと憤慨した為、急遽・原田眞人氏の字幕に
なった途端大ヒットしたのだし



村上 博基(『裏切りのサーカス』)平尾圭吾(『スコルピオ』)みたいな人が
訳してくれたら、もう少しマシな文章になったと思うんだけど












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