『父母への孝養とお念仏』 | 浄土宗長福寺のブログ

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埼玉県深谷市の浄土宗長福寺のブログです。おもに『今月の言葉』を毎月1日に公開します。

 秋のお彼岸を迎えます。多くのご家庭で、お墓参りをされ、ご先祖様への感謝の気持ちを示されることだと思います。
 今月は、父母への孝養とお念仏について、法然上人のお言葉を見ていきたいと思います。

法然上人の御法語に
孝養の心をもて父母と重くし思わん人は、まず阿弥陀ほとけにあずけまいらすべし、わが身の人となりて往生を願い念仏する事は、ひとえにわが父母の養いたてたればこそあれ、わが念仏し候功をあわれみて、わが父母を極楽へ迎えさせおわしまして、罪をも滅しましませと思わば、かならずかならず迎えとらせおわしまさんずるなり。
【示或人詞・昭法全587】

訳:父母に孝養を尽くし大切にしようと思う人は、まず父母のことは阿弥陀さまにおまかせして、このように考えてみてはいかがでしょうか。すなわち、「私が人として生まれ、往生を願ってお念仏できるのは、ひとえに父母にお育ていただいたお陰なのですから、阿弥陀さま、どうぞ、私がお念仏を称えた功徳に慈悲を垂れ給い、私の父母を極楽へお迎えいただき、父母の罪をも滅して下さい」と願うのです。そうすれば阿弥陀さまは必ず御両親を極楽へ迎え摂ってくださるのです。 
【法然上人のご法語① 消息編 184P 浄土宗出版局】

 お念仏をお称えする私たちにとって、一番の大事は、阿弥陀様の極楽浄土へ往生することです。つまり、父母への孝行を考えるときも、まずは、父母が阿弥陀様の極楽浄土へ往生できるようにそれを助けることが第一となります。
 今、お念仏をお称え出来るのも、父母が一生懸命に育ててくれたお陰です。ですから、自身のお念仏の功徳をもって、父母へ回向し、父母の極楽往生、そして、生前の罪の滅罪をも願うのが、親孝行となるでしょう。

 さて、父母への孝行、極楽往生について、法然上人のお言葉を見てまいりました。また、これは、日常についても当てはまることだと思います。今、仕事について働くことが出来ているのも、おいしい食べ物を食べることが出来ているのも、自分の趣味を楽しむことが出来ているのも、これらすべてにおいて、父母のお陰なのではないでしょうか。
 ご両親がご健在であるならば、直接会い、共に時間を過ごすだけでも、素晴らしい孝行です。もし、先に極楽往生されておりましたら、お墓参りをして、近況を話して聞かせてあげる、これも素晴らしい孝行です。
 今まで、ご両親が育ててくれた長い時間を少しでも恩返しするため、時間を作ってみてはいかがでしょうか。
合掌