『お盆のお念仏』 | 浄土宗長福寺のブログ

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埼玉県深谷市の浄土宗長福寺のブログです。おもに『今月の言葉』を毎月1日に公開します。

 今年は、例年以上の猛暑となっております。そんな中、お盆を迎えることとなります。皆様におかれましては、熱中症に注意していただきながら、ご先祖様をお迎えいただければと思います。

 さて、お盆になりますと、新盆や親戚の家に行き、お線香をあげることもあるかと思われます。その時、お線香を手向け、お念仏をお称えいただくわけですが、そのお念仏にどのような功徳があるのかを今月はお話したいと思います。

 

法然上人の御法語に

請用念仏の事。

他の請に趣き念仏を修さば、三種の利益有り。一つには自行勇猛なり、二つには旦那の願念を助く、三つにはよく衆のために利益を成ずるなり。功徳には体用の二有り、体は自ら留まり、用は他に施す。妙楽大師の云わく、善法の体を以て人に与うべからず。己上。此は願わくは此の功徳を以ての文と釈する所なり。

【三心料簡および御法語・昭法全454】

 

訳:請用の念仏について。

 どなたかの願いに応じて、そこに参ってお念仏を称えれば、次の三つの利益がいただけます。一つは、自らの念仏行にいっそう励みが増し、二つには、その願い主の思いを叶え、三つには、多くの人々に利益がゆきわたるのです。功徳には、「体」と「用」の二つの側面があり、「体」とはお念仏の功徳そのものであり、「用」とはそれが他者に及ぶ働きのことです。妙楽大師湛然は「善き法そのものだけでは(念仏を称えなければ)、その功徳は人に及ぼすことができない」とおっしゃっています。こうしたことは、善導大師が「願わくは、この念仏の功徳が平等に一切の衆生に降り注がれ、ともどもに往生の志を発して、西方浄土に往生できますように」の文として解釈されたところでもあります。

【法然上人のご法語② 法語類編 321P 浄土宗出版局】

 

 このご法語では、誰かに請われてお念仏をお称えするということについてお話されています。しかし、私たちが、お盆などに、新盆や親戚の家に行き、お念仏を称え、供養することにも当てはまります。

 そのお念仏には、三つの功徳があります。一つは、自分のお念仏の行としての功徳となり、二つには、行った先の方のご供養になります。そして、三つ目には、その功徳が多くの人々へ振り向けられる、回向されることになるのです。

 阿弥陀様のお示しになられたお念仏の行は、自分のためだけのものではありません。お称えするだけで、他の人々にも自然と行き渡り、自他共に極楽往生への助けとなるのです。

 どうぞ、お盆を迎えるにあたり、お念仏を一つでも多くお称えいただき、その功徳を積まれ、回向されることを願っております。

合掌