こちらの続きです。
手術当日。
午後12時10分にノーメイクで来院、とのことだったので、ゆっくりシャワーを浴びて脱着しやすいワンピースを着る。
夫の運転で病院の広い敷地内の「手術棟」へ。
この病院では、診察はそれぞれの科がある建物で行い、手術のときだけこの「手術棟」に移動してきて行う。
12:10に来院して手続きを済ませると、わりとすぐに名前を呼ばれる。
付き添いの夫を待合室に残し、看護師に連れられ厚いドアの向こうへ・・・。
電話でも受付でも、ここに入ってからも、何度も「名前・生年月日・今日あなたは何を受けにここにきたのか」と確認される。
私が受けに来たのは、ヒステロスコピー(子宮鏡検査)とラパロスコピー(腹腔鏡手術)の2つ(どっちも「ロ」にアクセント)。
問診とバイタル・チェックのあと、手首にIDを巻かれ、全部脱いで手術着(後ろが開いた割烹着みたいなやつ)に着替えて、点滴を打たれる。
私は一部の抗生剤にアレルギーがあるので、入院や手術のときは必ずこの赤バンドがつけられる。
水色のは手術のとき頭にかぶるカバーです
主治医の第一声は、「ピッグテール(三つ編み)、可愛いわね!」という明るい言葉。
(私は待っている間、髪をゆるい三つ編みにして両側に垂らしておいた)
医師から改めて、以前のラパロの癒着などがあれば全部取ること、卵巣はよっぽどのことがないかぎり取らないが、卵管は取ったほうがいいこと、嚢腫があれば取ること、子宮内は内膜が厚くなっていたのでヒステロスコピーをして悪いものがあれば切除することなど、再確認されて同意書に署名する。
この医師になら安心して命を任せられる。
最後に担当看護師が挨拶・迎えに来る。
マスクをしているので目しか見えないが、今まで問診や点滴をしてくれた看護師と違う何かすごいオーラが身体中からメラメラ燃え上がっているような人だった。
「では行きましょう」とベッドごと移動。
夫に手を振り、ずらっと並ぶカーテンで仕切られた個室の間を通り、カラカラというベッドの下についたタイヤの音を聞きながら、立ち入り禁止のドアの向こうへ・・・
思わず「ドラマみたいですね」と言うと「そうでしょう?」と後ろから看護師が落ち着いた声で返事をする。
手術室に入る前に、廊下の途中で例の麻酔科医が待っていた。
胸ポケットに入っていた2本の注射器から1本を取り出し、「あ、まちがえた、こっちじゃなかった」と笑いながらもう一本を抜き出し、私の手の甲の点滴の管に刺す。
はあ?シャレになってないんですけど!
そして私のベッドを押している担当看護師に「ちゃんと間違えずにやったよ」とかなんとかジョークを飛ばしていたが、看護師が無反応だったのが救いだった。
そして角を曲がって手術室に入った瞬間、記憶が途切れた。