my favourite "Godard"s | CAHIER DE CHOCOLAT

my favourite "Godard"s


昨年、ゴダールが亡くなったとき、彼の映画の中で自分が一番好きだと思うものを観ようと思って、3本観た。これ以外にも好きな作品はたくさんあるけれども、今選ぶとしたらこの3つになる。まだ観たことがない作品もあるので、これから変わることもあるかもしれない。とりあえずの3本。


『中国女(La Chinoise)』
これは私の中では、熱にうなされるみたいにみんなでさんざん盛り上がって、極端な行動にも走ってしまうけど、夏が終わるとともにその熱は潮が引くように冷めていき、そこには無力感と気だるい虚無感が残った……というひと夏の青春の物語。当時アンヌとゴダールが住んでいた部屋で撮影されたという室内やみんなの服装、キッチン用具や文房具に至るまですべて好き。しかし温暖化が言われるようになる前とはいえ、夏のヴァカンス中なのにみんなセーターとかコートとか着てるのはどういうことなのか。1967年のパリの夏はそんなに寒かったのだろか。

『ウイークエンド(Week-end)』
シュール具合が最高潮で、ブラックなロードムービーで、大好き。ミレーユ・ダルクが演じるコリーヌの変化していくファッションが、ぐちゃぐちゃなのにすごく素敵という不思議。さすがのゴダールのセンスをひしひし感じる。出演時間は短いけど、レオのプロデューサー巻きセーターのスタイル(このセーターもコリーヌに奪われてしまう)やサン=ジュスト姿がかっこいい。レオの歌声が聴けるのも貴重だし、良い車がずらずら出てくるロングショットも好き。

アルファヴィル(Alphaville, une étrange aventure de Lemmy Caution)
たぶん何度も書いていると思うけれども、当時のパリの街そのままでSFを撮るという発想が何より好きだし、Radio Franceの建物がほんとうに近未来的で素敵。ストーリーに説得力を与えるアンナの美しさに、可憐で無表情のナターシャと渋いレミー・コーションの組み合わせの良さ。これにも、一瞬でセリフもないけど、レオが出てる。『Alphaville, une étrange aventure de Lemmy Caution』という原題も良い。今だったら「アルファヴィル~レミー・コーションの不思議な冒険」とかなったかなあ。こういうもともと長くて素敵なのは長くてもいいんですよ。