Godard est Godard. | CAHIER DE CHOCOLAT

Godard est Godard.


ゴダールが亡くなった。

イギリスのガーディアン紙の報道より。
「AFP(フランス通信社)が報じたところによると、妻のアンヌ=マリー・ミエヴィルに付き添われ、スイスの『自宅で安らかに』亡くなったとのこと。仏リベラシオン紙は、匿名の家族のことばを引用し、ゴダールの死は、スイスでは合法とされているほう助によるものだと伝えている。『彼は病気ではありませんでした。率直に言って、疲れていたのです。ですから、彼は終わらせる決断をしました。これは彼の決断であって、そうであると知ってもらうことが彼にとってたいせつなことなのです』 ゴダールの弁護士、パトリック・ジャンヌレは、ゴダールの死は日常生活に支障をきたす正常とはいえない複数の行動についての医療報告を受けてのものだとAFPに述べている」

フランスのフィガロ紙の報道より。
「APFによると、ゴダールは、発表は『2日以内に』行なわれなければならない、新聞各社によるゴダール氏死去の報道が出たらすぐにプレスリリースを出さなければならない、と説明したという。火葬は『2日以内に、おそらくその次の日』に行なわれると加え、『遺灰は妻が引き取る』と指定した。火葬は『ごく近しいもののみでとり行なわれなければならない』と主張したという」

91歳。正直、特にこれといった病気や原因はなく、だったとしても不思議ではない年齢。最初、ヘッドラインだけを見たときは、ああ、ついにこの時がきてしまったのか……と思った。記事を読んで、自殺ほう助、要するに安楽死だと知り、複雑な気持ちになった。スイスでは合法とはいえ、ゴダールほどの人が、いや、ゴダールほどの人だからなのか、と。その後、本人が細かく指定していたと知ると、ますます混乱した、と同時に、なんだか納得できてきた。まるで映画を演出するように、自分の死についてまでこと細かに指示するゴダール。一見ラフなように見えて、実はいっさいアドリブを許さなかったゴダールらしい。自分の意思の及ばないような偶発的な死になるのはいやだったのかもしれない、と思う。「これは彼の決断であって、そうであると知ってもらうことが彼にとってたいせつなこと」なのだから。レオは知っていたのかなあ、葬儀には行くのかなあ、だいじょうぶかなあ……とても気になる。あと、お墓はどうなるんですか。お墓参りしたいんですけど。なんだろう、センチメンタルに書こうと思っていたのに、そんな感じではなくなってしまった。ゴダールは最後の最後までゴダール的で、予想外で、しんみりさせてくれない。ゴダールの作品については、また別の記事で。