アルファヴィル(Alphaville) | CAHIER DE CHOCOLAT

アルファヴィル(Alphaville)

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個人的な感情や思想を持つことが禁止されている未来都市・α都市(アルファヴィル)。すべてパリ市街で撮影されていて、SFとはいえ宇宙の映像とかそういったものはまったく出てこない。画面に映る光景はたぶん当時のパリまんまなんだろうけど、観ていて浮遊感というか、なんとも落ち着かない感じがある。むしろα都市の異質感と外部の国の間の違和感みたいなものを感じる。SF小説を読んでいる感覚と似ている。想像の余地がある作品はやはり好き。ラストがとてもロマンチックなところも。親切ではないかもしれない、でも優しい映画だと思う。しかしSFといえば宇宙ってのもそもそも固定観念。去年はこの映画の撮影に使われたRadio Franceの建物を見にいった。川沿いの丸くて大きな建物は、今にも雨が降りそうなくもり空の下に静かに立っていた。そこは私にとってはアルファヴィルだったけれども、近所の人にはなんてことない、いつも見ているRadio Franceなのだろう。





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*“cinéma note”に加筆修正。