2022年3月15日(火)
楽しみにしていたものが、私の家に郵送されてきました。
「第二級陸上特殊無線技士」の免許証です。
きれいなデザインです。
角度を変えて見ると表面にキラキラ光るものが見えます。
偽造防止のホログラム印刷加工が施されています。
富士山であろう大きくきれいな形の山、川の水の流れ、広葉樹らしき樹木、
さくらの花びらも舞っています。
いかにも日本の免許証というデザインです。
おそらく、このまま生涯使うことになる この免許証はデザイン、耐久性、
偽造防止対策、多くの面で優れています。
免許証の番号の A BU U ××××
Aは関東総合通信局、 BUは2022年 Uは第二級陸上特殊無線技士を
意味します。 その後の番号は 私に与えられた個人識別番号です。
無線の世界らしい、分類表示だと思います。
わかりやすさを重視して、必要な情報が簡潔に並べられています。
ちなみに、第二級陸上特殊無線技士のことは「ニ・陸・特」(にー、りく、とく)
と略称で呼ばれます。
まるで無線の符号のようです。
この資格取得の方法は2つあります。
国家試験を受けて合格するか、総合通信局長から認定を受けている団体が実施する
養成課程講習を受講して修了試験に合格するか です。
始めは独学で第一級陸上特殊無線技士に挑戦するつもりだったのですが、テキストを
見て、あまりにも専門用語が多くて、自分で調べて理解するためには相当な時間がかかる
し、こんな状態で国家試験を受験しても合格点に達する自信は皆無でした。
(ちなみに一級の合格率は30%ほどです)
2021年12月から受験勉強を始めて2月13日(日)の試験を受けるつもりでいましたが
勉強が進まなくて受験申請を出来ないままでいました。
どうするかなぁと考えて、ひとまず、一級から二級に難易度を下げて
養成課程講習を受けてみることにしました。
専門家から話しを聞いた方が理解は深まるはずです。
分からないことが出たとしても、質問すれば教えてもらえるはずです。
養成講習を受けるのは はじめてなので、とても楽しみに開催日を待ちました。
2022年2月19日(土)と20日(日)の2日間
講習会の会場がある埼玉県の武蔵浦和へ通いました。
( 武蔵浦和駅 )
( 寒くて手袋をしていた )
実にわかりやすい地図です。
しばらく線路づたいに歩きます。
さくら並木の遊歩道をまっすぐに歩きました。
そして左に曲がるとすぐでした。
googleマップに頼ることなく無事に目的地へ行けました。
やはり、専門家のお話しを聞くことは面白いです。
実際に無線従事者として活躍をされてきたプロ中のプロなのですから
ひとつ、ひとつの言葉に重みがありました。
法規の講義を担当されたN先生は無線技士として大型輸送船などに乗り
世界中を回った方でした。
教科の内容よりも自身の紹介を兼ねた実際の体験談の話しの方が私には
楽しめます。
航海輸送中に現代の海賊に銃で襲われ、日本国籍の船であるとアピール
するために国旗を船の横に出したら、そこを的にして撃ってきたそうです。
日本にいる分には安全に生きていけますが、一歩外へ出ると地域によっては
想像もできない怖ろしいことが平気で起こります。
海外から命をかけて物資を輸送してくれる方たちがいるからこそ、
私たちの生活が成立していることを改めて感じます。
講習は2日間に渡り、「法規」と「無線工学」を学びます。
講義の内容は予備知識がなくても、分かる内容でした。
2日目の最後に修了試験があります。
これに合格できれば国家試験は免除になります。
相当緊張しましたが、問題に取り組んでみると…むっ、むっ、むっ…。
2日間の講義を真面目に受ければ誰でも修了試験は合格出来るはずです。
( 昼食のパンを食べた近くの公園 )
合否結果はおよそ1週間後にわかります。
この2日間、共に講義を受けた全員が合格できました!
そして、1か月ほどで免許証を手にすることが出来ます。
第二級陸上特殊無線技士 標準コース 養成課程講習会
料金 20歳以上の一般 : 28400円
この料金の中に免許申請手数料(1750円)、テキスト、問題集が含まれます。
免許証の申請も引き受けていただけるので、申請書類提出の煩わしさはありません。
ちなみに国家試験の受験申請手数料は 5600円です。
受験申請以外のテキスト代、問題集代、免許申請手数料は含まれません。
2021年の11月にひょんなことで、こういう資格があるのだなぁ
と知り、いろいろ調べてみると興味が湧いてきました。
今までは自分の五感で感じたものが事実であるという
認識でいましたが、眼に見えなくても事実や真実が存在することに、
はたと気がつきました。 電波の存在であり、無線としての利用です。
眼には見えなくても私たちの生活を支え、豊かにしてくれるものです。
誰もがその恩恵に与っているものが携帯電話ではないでしょうか。
しかし、無線があると便利だからと、やみくもに使用すると法律に触れます。
テレビやラジオの中継局、携帯電話の基地局、警察や消防・タクシーの無線設備
を操作するためには陸上特殊無線技士の資格を持った無線従事者がいなくては
ならないと電波法で定められています。
陸上特殊無線技士は第一級、第二級、第三級と国内電信級の
4種類に分かれています。
国内電信級陸上特殊無線技士
陸上に開設する無線局(海岸局、海洋地球局、航空局及び航空地球局を除く)の
無線電信(モールス電信)の国内通信のための通信操作が出来ます。
第三級陸上特殊無線技士
警察無線・消防無線・鉄道無線・タクシー無線等の基地局、MCA無線の制御局、
陸上移動局、携帯局、そして空中撮影・農薬散布などの業務用ドローンの操作
などが出来ます。
(電波の強さは条件付きで100ワット以下あるいは50ワット以下)
第二級陸上特殊無線技士
第三級の内容に加えて、コミュニティ放送局、VSAT 小規模地球局、防災行政無線、
警察の速度取締レーダー、気象レーダー、ハイウエイラジオ局、公共事業の無線局
などの技術的な操作が可能になります。
(1,606.5キロヘルツ~4.000キロヘルツの電波を使用する空中線電力10ワット以下)
第一級陸上特殊無線技士
第二級の内容に加えて、陸上の無線局(空中線電力500ワット以下)の多重無線設備で
30メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの技術操作 テレビやラジオの中継局、
携帯電話の基地局、防災行政無線の操作などが可能です。
無線設備の検査や点検といった業務につく可能性があれば、電気工事士の
資格を持っていると役立つと思います。
今回の講習を受講している方々の半数近くはドローンの飛行を考えての
受講のようでした。
最近、需要が高まってきているドローンなので納得できます。
ただ、ドローンを飛行させる際の注意点として、ややこしいことがいくつもあります。
第三級陸上特殊無線技士 以上の資格があれば業務用ドローンを自由に飛行させる
ことができるというものではありません。
これ以外に無線局免許状の申請が必要です。
航空法により、飛行不可能な地域や条件も多々あります。
他にも小型無人機等飛行禁止法、道路交通法、民法、電波法、都道府県、
市町村条例 など規制がたくさんあります。
2022年6月20日から施行されるようですが、今までドローン本体の重量が
200g以上であれば、規制対象になりましたが今後は100g以上に変わります。
(現実的に考えて普段の生活をしている場所の屋外でドローンの飛行は、
ほぼ不可能だと思います。)
ドローンレースのように趣味や遊びにドローンを利用するのであれば
第四級アマチュア無線技士の資格が必要になるし、業務用にドローンを利用する
のであれば第三級陸上特殊無線技士 以上の資格が必要になります。
今回、「第二級陸上特殊無線技士」の資格取得で、無線通信の面白さに
触れることができました。
今後は、第一級陸上特殊無線技士の資格に挑戦するのも面白そうだし、
第四級アマチュア無線技士の資格をとるという選択肢も見えてきました。
ドローンを飛行させられるのなら、遊びで飛ばした方が楽しいです。
また、第四級アマチュア無線技士の資格があれば無線機を使い自分で電波を
発射して離れた場所の誰かとコミュニケーションをとるという事も出来ます。
携帯電話が圏外になる山地などでも通信可能です。
山の上など周囲に障害物がない場所であれば相当広い範囲に電波を飛ばす
ことができます。
おもしろそうな世界だなぁ と思っています。
2月20日(日) 第二級陸上特殊無線技士 養成課程講習の
修了試験を終えて、まだ つぼみの状態だった さくら並木を歩き
武蔵浦和の駅に向かいました。
講義を担当された先生の言葉がこころに残っています。
「みなさんは、この資格を手に入れることになると思いますが、
資格を手にしたからそこで終わりではなく、これを始まりにしてほしい
今後、電波・無線の世界の知識や技術をより深めていただきたい」
教える側からの願いとも思えるし、おもいやりに満ちた言葉だと思います。
自分の教え子たちが、今後 電波や無線とかかわってくれることが、
大きなよろこびなのだろうなぁ と思います。
無線の世界の扉の前に立った状態ですが、今後は自分の生活の中で
何かしら、資格取得で得たものを生かして楽しく有意義に充実した時間を
過ごせていけたらいいなぁと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。