2016年9月27日(日本時間)センセーショナルなニュースが報道されました。
National Aeronautics and Space Administration
NASA(アメリカ航空宇宙局)の発表です。
木星の衛星 エウロパから水蒸気の噴出を3回確認したというものでした。
エウロパは木星の第2衛星です。 (画像:NASA)

1610年ガリレオ・ガリレイ(イタリアの物理学者 天文学者1564-1642)
が発見した4個の衛星のうちの1つです。
最大光度6等なので比較的みつけやすい衛星です。
半径は1,565kmです。
(ちなみに地球は赤道半径約6,378km 極半径約6,357kmです。
地球とくらべるとだいぶこじんまりとしていますね。 )
エウロパは全体が氷で覆われた衛星で表面には多くのひび割れのような模様が見えます。
今までの観測から氷でおおわれた地表の下には温かい水があるのではないかと考えられて
いました。
今回の蒸気の噴出を捉えたのはハッブル宇宙望遠鏡です。
ハッブル宇宙望遠鏡は2013年12月から2015年3月まで継続的に衛星 エウロパの画像を
撮影していました。 (画像:NASA)


そのうちの3枚に蒸気が噴出している画像を捉える事ができたわけです。
蒸気の高さはおよそ200キロメートルだそうです。(画像:NASA)

蒸気を噴出するメカニズムはエウロパと木星との重力の関係で起こります。
(画像:NASA)

エウロパが木星の周りを公転する際、その位置によって、受ける力は変わります。
このような力は潮汐力(ちょうせきりょく)といいます。
地球と月を見ても同じ現象が起きています。
地球の満ち潮や引き潮の現象が起こるのと同じ原理です。
エウロパは木星の重力に引き寄せられながら、木星の周りを公転します。
その中で伸びたり縮んだりする運動を繰り返しているわけです。
その内部のエネルギーがエウロパに水蒸気の噴出を起こすのです。
<なぜ、蒸気の噴出がこれほどまでに大きなニュースになるのでしょうか?>
それは、エウロパの氷の下には間違いなく「水」が存在したという決定的な証拠を捉える
ことが出来たからなのです。
水があれば、何かいいことあるの? そう思われる方もいるかもしれません。
地球上で考えれば水道の蛇口をひねれば水は出てきますからね。
大きな海もあります。
地域によっては水が手に入りにくい場所もありますが、普通に生活を続けていける場所で
あれば水はあって当たり前のものですよね。
しかし、生物学的・科学的に考えるとこの水があったからこそ私たちを含む、この地球上
で生きているものたちが出現したと考えられているのです。
水がなければ、生命は誕生できないのです。
生命の誕生と存続には<水とエネルギーそれに有機物>の3つが必要です。
エウロパには、そのうちの重要項目の1つである水が確認されたわけで、
ひょっとしたらそこに生命が存在しているかもしれない!ということなのです。
どんな生物なのでしょうか?
人間っぽい生き物でしょうか?魚っぽい?それとも想像を絶する形をしているのでしょう
か? コミュニケーションはとれるのでしょうか?
文明は持っているのでしょうか?
妄想はふくらむばかりです。 細菌とか微生物に近いものかもしれませんね。
2つめの重要な項目 エネルギーとしては地球と同じように太陽光が考えられます。
他にも可能性のあるものがあります。
エウロパの内部には核があり、マントル・地殻で構成されています。
地殻の上にまんべんなく水が満たされてあり、その上に氷が張られている状態です。
マントルは地球と同じように長い時間をかけて循環しているはずです。
そのエネルギーによって引き起こされる現象(火山活動など)により水があたためられて
いると考えられているのかもしれません。(未確認情報です)
熱があるということは様々な化学変化が起こりやすくなります。
太陽のエネルギーを使わなくても水を温めているエネルギー源を使うことも可能です。
あとは、3つめの重要項目 有機物があれば、間違いなく生命が存在していてもおかしく
ありません。
なんとか見つけだすことが出来ると面白いですね。
<地球以外に生命は存在しているのかどうか?>
この大きな問題は人類史上 一番大きな問題かもしれません。
宇宙科学が進歩して人類が月へ行き、多くの探査機が恒星そして惑星や衛星を観察してきました。
太陽系だけではなく、他の銀河 宇宙全体の研究を進めてきました。
地球との正確な位置関係、恒星・惑星・衛星などの組成、現在では多くの情報を人類は持
っています。
人類が古くから空を見上げるたびに考えることは「この宇宙に私たち以外の生命はいるの
か・・」ということです。
私に言わせれば答えは簡単明瞭です。
「いないはずはない!」です。
根拠として 私たちがいる天の川銀河には恒星の数が2000億個以上あると推定
されています。
(恒星とは私たちの太陽系でいえば太陽です)
宇宙全体で考えると天の川銀河規模の銀河は1000億個と考えられています。
恒星があれば惑星もあるでしょうし、その惑星の衛星もあるわけです。
これだけの数があれば、その中に私たちの地球に似た環境の惑星があっても少しも不思議
なことではありません。
現に私たちは、この宇宙の地球という惑星で存続してきました。
他の惑星や衛星などで暮らす生命体から見れば、私たちこそが宇宙人になるわけです。
姿・形は違うかもしれません。
進化の度合いも違うかもしれません。
でも、同じこの宇宙に暮らす生命体なのです。
科学は日々 進歩しています。
あと数年もすれば、必ずや地球以外の天体から生命の痕跡か生命体そのものを見つけ出す
時がくるはずです。
今、いちばん その可能性の高い天体がエウロパということなのです。
今後の展開としてNASAは、2020年代にエウロパへ探査機を派遣する計画があるそうです。「エウロパ・クリッパー」計画です。
探査機を使って水蒸気の噴出を直接観測し、エウロパの表面下に広がる「海」の成分をサンプリングできれば、地球以外の生命を見つけ出す探査が急激に進む可能性があります。
< もうひとつの蒸気噴出衛星 >
今回、エウロパでの蒸気の噴出が確認できましたが、太陽系の中でもうひとつ
蒸気の噴出を確認している衛星があります。
それは、土星の衛星 エンケラドスです。
この衛星も氷で覆われていますが、天体の南部分の氷の割れ目からジェットが噴き出しています。
氷で覆われている表面温度は摂氏マイナス200度ですが、氷の割れ目はマイナス80度
までに上がっています。
ジェットの噴出はエウロパが噴出する原理と同じでエンケラドスの 場合は土星との潮汐力ということになります。
この噴出物は主に氷と水蒸気であることが分かっています。
ジェットの高さはおよそ100キロメートルにもおよぶと考えられています。
水は生命の源です。
古来地球上の生命の起原については<神の創造>によるという説や<自然発生>した
という説あとは<他の天体からの細菌胞子の飛来>によるとするものなどが提唱されてき
ました。
他の天体から飛来したという説のひとつに火星からやってきたという説があります。
この説はアメリカ・カリフォルニア工科大学 教授 ジョセフ・カーシュビンクさんとい
う方が提唱しています。
火星で発生した命の種が小天体が火星に落下した衝撃で隕石に乗って地球に飛来して
地球で成長、進化したというものです。
うーん、細菌が宇宙空間を移動する間に、宇宙線を浴びるはずなので、生命の存続が
可能かどうかという問題もあると思いますが、あり得ない話ではないです。
一般的に考えられている説はオパーリン(旧ソ連の生化学者1894-1980)によるものです。
生命の起源は原始の地球上に生じた簡単な炭素化合物が窒素を得て有機化合物になり
それがコアセルベート(コロイド溶液の中で小さな粒子が集合して比較的大きな集団とな
ったもの)を形成して周囲の物質から区別される自己増殖的な個体となって成長と増殖に
よりついに始原生物に進化したと考えられています。
簡単に言うと、自分の身体と外の世界との壁を作り、ひとつの袋の中に生命活動に必要な
ものを入れた ということでしょうか? 違うかな?
地球上での最古の生物の痕跡はグリーンランドで38億年以上前の堆積(たいせき)岩から生物の痕跡が発見されています。
生命の起源は地球上でもまだ完全に解明されていません。
もし、地球以外の他の天体で生命がみつかったり、生命の起源が解明されれば、地球上で
の抱えている問題はからまった糸がスルスルとほぐれるように解明されるかもしれません。
謎を解明出来るのは科学の力です。
世界中の科学者たちは、今後も宇宙の謎をはじめとする不思議で興味深いお話を提示して
くれると思います。
しばらくはエウロパの今後の研究に注目してみましょう。
きっと、驚く結果が出るはずです。 (画像:NASA)

