私はバスルームから離れると、ベッドに腰を下ろした。
ユウ(ここは素直に謝ろう…)
ユウ(きっと、ちゃんと謝ったらシンさんだってわかってくれるよね…)
――バタンッ
その時、バスルームの扉が開く音が聞こえ、私は意を決して立ち上がる。
ユウ「あの…!」
ユウ「シンさん、さっきはすみませんでした!」
ユウ「私が転ばなければあんな事には――」
しかし、目の前に立っているシンさんの姿を見て言葉を失った。
ユウ「シ、シンさん!?」
ユウ「なんで裸なんですか!?」
私は慌てて顔を背ける。
ユウ「何か着てください!」
シン「何か?」
シン「…服は今、クリーニングに出しているとお前が言っていただろう」
ユウ「た、確かにそうですけど…!」
ユウ「そうだ、じゃあ、これを!」
ユウ「これを、着てください…!!」
ベッドの上にあったバスローブをつかむと顔を背けたまま差し出した。
シンさんはそれを黙って受け取ると、袖を通す。
ユウ「もういいですか?」
シン「…ああ」
振り返るとバスローブ姿のシンさんが不機嫌そうに立っていた。
ユウ(うっ…裸よりはもちろんいいけれど…)
ユウ(な、何だか目のやり場に困る…!!)
どこか気まずい雰囲気から逃れようと、私はシンさんの横を通り過ぎ部屋のドアに向かう。
湯「わ、私、服のクリーニングが終わったか聞いてきますね!!」
シン「待て」
ユウ「え…」
ドアの取っ手に伸ばした手を、シンさんにつかまれる。
そのまま、腕を引っ張られると、ベッドに押し倒された。
ユウ「あ、あの…」
ユウ「シンさん?」
ユウ「す、すみません…」
ユウ「やっぱり、怒ってます、よね?」
シン「…何故お前が謝る」
シン「別にお前は悪くないだろう」
ユウ「そ、そうですけど…」
シン「だが、先程はお前につき合ってやったからな」
シン「今度は俺につき合ってもらう」
ユウ「それって、どういう…」
ユウ「んっ」
突然のキスに目を閉じることも忘れる。
強引なキスに戸惑いながらも、不思議に嫌という感情は起こらなかった。
ユウ(シンさんのキスは、どうしてこんなに優しいんだろう…)
ユウ(まるで甘やかされているみたいな…)
身体から力が抜け、目をゆっくり閉じようとしたその時。
コンコンッ――
???「失礼します」
「ユウさん、シンさん、お久しぶりです!」
部屋のドアが開き、誰かが入ってくる。
ユウ(だ、誰…!?)
ユウ(え、あの人は…!)
慌てて身体を起こすと、入ってきた人と目が合う。
ユウ「エ、エル…さん?」
エル「…!!」
エル「す、すみません!」
エル「お邪魔する気は――!!」
ユウ「エ、エルさん待ってください」
部屋を出て行こうとするエルさんを慌てて止める。
シン「…チッ」
ユウ「服を持ってきてくれたんですよね?」
エルさんの腕の中にあるシンさんの服を見て微笑む。
しかし、内心はかなり動揺していた。
ユウ(あ、あんなところを見られるなんて…!)
ユウ(恥ずかしくてエルさんの顔をまともに見られないよ…!!)
エル「ホテルの人たちに、ちょうどクリーニングが終わったって聞いたので」
エル「僕が代わりに持ってきたんです」
ユウ「そうだったんですね、ありがとうございます」
ユウ「でも、どうしてエルさんがここに?」
エル「実は僕、クリスマスパーティーで手品を披露するために呼ばれたんです」
エル「もしかしてユウさんたちもクリスマスパーティーに?」
ユウ「そうなんです」
ユウ「招待状が届いて…」
エル「そうだったんですね!」
エル「実は、まだ内緒なんですけど…」
エル「招待状に書かれていたサプライズってぼくの手品の事なんですよ」
エル「今日はアシスタントの女性をひとり頼んで」
エル「壮大な手品を披露する予定なんです」
シン「フッ、せいぜい失敗しないように努力するんだな」
エルさんと話している間に、シンさんは服を着替え終わっていた。
エル「もうすぐパーティーも始まりますし、お2人も楽しんでいってくださいね」
エル「じゃあ、会場で」
エルさんはそういうと、ペコリと頭を下げ部屋を出て行った。
シン「やっと出て行ったか…」
ユウ「相変わらず賑やかな人ですよね」
ユウ「あれ、これって…」
見ると、エルさんの帽子がテーブルに置かれたままになっていた。
シン「…パーティーまではまだ時間がある」
シン「会場で渡しても問題ないだろう」
ユウ「そうですね」
ユウ「じゃあ、そろそろ私たちも…」
帽子を手に微笑むと、シンさんの顔が突然近づき、唇が重なる。
ユウ「あ…」
シン「…今はこれで我慢してやる」
私の顎を持ち上げながらシンさんはニヤリと笑う。
ユウ(今は、って…それってどういう…)
シン「…早く行かないと置いて行くぞ」
ユウ「は、はい!!」
私は顔が赤くなるのを感じながら、先に歩いて行ってしまったシンさんを追いかけた。
パーティー会場に着くと、メインホールは多くの人でごった返していた。
リュウガ「こりゃあ、楽しむどころの話じゃねえな…」
ソウシ「あっちの方に食事があるみたいですね」
ハヤテ「よっしゃー!!」
ハヤテ「死ぬほど肉食うぞー!!」
トワ「…ハヤテさん、まだ食べる気ですか?」
ナギ「トワは食わないのか?」
トワ「だって、さっきもあんなに食べて…」
トワ「うっ」
皆が辺りを見回しながら、会場内を歩きだす。
ユウ「エルさん、いないですね」
シン「ゲストなら控え室に決まってるだろ」
ユウ「あ、そうですよね!」
ユウ「私、楽屋に行ってみます」
シン「待て、お前ひとりで迷子になられたら面倒だ」
ユウ「シンさんも、来てくれるんですか?」
シン「…」
シンさんは面倒そうに眉間にしわを寄せると、何も言わず、そのまま私の手を引いた。
ユウ「ありがとうございます」
ユウ「シンさんがいてくれたら迷子なんて絶対になりませんね」
シン「フン…当たり前だろう」
私が微笑むと、シンさんは少しだけ笑ってくれた。
コンコンッ――
ドアをノックして楽屋の扉を開く。
ユウ「エルさん、ユウです」
ユウ「エルさん?」
中を見ると、エルさんが椅子に座って俯きながら青い顔をしていた。
シン「おい、返事くらいしたらどうだ」
エル「あっ、はい!」
エル「って…ユウさんにシンさん?」
ユウ「あの、私たちエルさんが忘れていった帽子を届けに…」
ユウ「それより、何かあったんですか?」
エル「実は…」
エル「アシスタントの女性が急に来れなくなったと連絡がきて…」
エル「困りました…」
エル「アシスタントの女性なしで大掛かりな手品なんてできませんし…」
ユウ(そんな…どうして急に…)
ユウ(会場にはもうあんなにたくさんの人がいるし)
ユウ(今さら中止にするわけには…)
バタンッ!!
その時突然、楽屋のドアが勢い良く開く。
ロイ「シリウスの航海士はいるか!」
ロイ「このロイ様がわざわざ探してやってるんだ、出て来い!」
ファジー「シン様~!」
ファジー「アタイたちを助けておくれよ~!!」
シン「またうるさのが…」
ファジー「シン様、大変なんだよ!」
ファジー「ジャジーが…ジャジーが誘拐されちまったんだ!」
ユウ「ええっ!」
ユウ「ジャジーさんが!?」
エル「ジャジー…?」
エル「もしかして、その人って僕のアシスタントじゃ…」
ファジー「ああ、そういえば、あの子この島で仕事があるって言ってたねえ」
ファジー「マジシャンの手伝いだとか何とか…」
ユウ(エルさんのアシスタントをする予定だった女性って)
ユウ(ジャジーさんのことだったんだ…)
エル「その人が誘拐されたというのは本当なのですか?」
ロイ「ああ、これは本当の本当だ!」
ロイ「このロイ様が嘘など言うはずがないだろう!?」
ロイ「さあ、見るがいい!この完璧な脅迫状を!!」
シン「完璧な…脅迫状?」
ファジー「ああ…!」
ファジー「アタイの可愛い妹が誘拐だなんて~ううっ…」
ファジーさんは床に崩れ落ちるように膝をつくと、両手で顔を覆い鳴き声をあげる。
ユウ「ファジーさん…」
ユウ「シンさん、脅迫状にはなんて書いてあるんです?」
ロイ「待て!それは俺が話そう!」
ロイ「美しいジャジーはいただいた」
ロイ「返して欲しければ、シンという男をひとりで地図の場所に向かわせろ」
ロイ「どうだ!どこからどう見ても完璧な脅迫状だろう!」
シン「…」
脅迫状には地図が描かれ、そこには場所を示すバツ印がついていた。
ユウ(ジャジーさんが誘拐されたなんて…)
ユウ(でも、ジャジーさんを誘拐した犯人は)
ユウ(どうしてシンさんを指定したんだろう…)
ユウ(普通ならファジーさんやロイさん宛なんじゃないのかな?)
ユウ(もしかして、何か特別な理由があるとか…)
黙って考え込んでいると、突然、シンさんに頬をつままれる。
ユウ「シ、シンさん!?」
ユウ「いっ、いひゃいです…!」
シン「何を考えている」
ユウ「そ、それは…」
シン「どうせまたバカみたいなことを考えているんだろう」
シン「いいか、お前は俺の言うことだけを信じていればいいんだ」
シンさんはそういうと、私から手を離す。
ファジー「シン様、お願いだよ…」
ファジー「ジャジーを助けておくれ…!」
シン「…」
ロイ「おい、女を見捨てる気か?」
エル「シンさん、お願いします!」
エル「もしかしたら何かの大きな事件に巻き込まれているのかもしれません」
皆がシンさんに詰め寄る。
その様子を見て私は――
A:危険だからと、止める
ユウ「ちょっと待ってください!」
ユウ「シンさんが1人で行くのは危険じゃないですか?」
ロイ「誰もお前には頼んでいない」
ロイ「俺たちはこの男に頼んでいるのだ」
ロイ「このロイ様の頼み、聞かないわけがないよな?」
ファジー「シン様!ジャジーの気持ち、考えてやってくれよ」
ファジー「あの子、今頃…」
ユウ(そうだよね、ジャジーさん、きっと今頃、辛い思いをしてるはず…)
B:皆で助けに行こうと提案する
ユウ「そうですよね、早く助けに行きましょう!」
ファジー「ちょいと!」
ファジー「アンタが一緒じゃダメなんだよ!」
ファジー「シン様一人でって書いてあるだろ!」
C:皆を落ち着かせる
ユウ「み、皆さん冷静になってください!」
ユウ「シンさんだって助けに行かないとは言ってません」
ユウ「そうですよね?」
エル「本当ですか?」
エル「よかった…これで今夜のショーに間に合えば…」
シン「どうして俺が行かなきゃいけないんだ?」
シン「お前らには、つきあいきれん…」
シンさんはそういうと、楽屋を出て行こうとする。
ロイ「おい、お前!」
ロイ「ロイ様の計画をだいな――」
ロイ「いたたたた!」
ロイ「何をするんだファジー!!」
ファジー「ロイ様は黙ってておくれ」
シン「…」
ユウ「…シンさんはファジーさんが心配じゃないんですか?」
シン「当たり前だ、こんな事に付き合う義理はない」
ユウ「でも、今頃ジャジーさんがどんな扱いを受けてるか…」
ユウ「助けに行きましょう…!」
シン「まったく、お気楽なものだな」
シン「…それに、お前はあの女に妬いていたんじゃないのか?」
ユウ「それは…」
ユウ(確かにジャジーさんは私のことを目の敵にしてる…)
ユウ(でも…)
私はシンさんを真っ直ぐに見上げる。
ユウ「それでもジャジーさんを助けたいんです!!」
ユウ(今はそんな事関係ない!)
ユウ(ジャジーさんが危険な目にあってるかもしれないんだから)
ユウ(助けなきゃ!!)
シンさんはしばらく黙りこんだ後、呆れたようにため息をついた。
シン「…分かった」
シン「お前に付き合ってやる」
ユウ「シンさん…!」
ユウ「ありがとうございます!!」
シン「だが、その代わり…」
ユウ「え?」
シンさんはそっと私の耳元に唇を近づける。
シン「…今夜は俺の言いなりになれよ」
ユウ「…!?」
甘い囁きに私の胸はドクンっと高鳴った。
ユウ「シンさん…」
シン「手を貸せ」
ユウ「え、でも…」
シン「…チッ」
シンさんは面倒そうに舌打ちすると私の腕をつかみ歩きはじめた。
ユウ「あ、あの…!」
シン「ごちゃごちゃ言わずに歩け」
シン「お前に合わせていたら日が暮れる」
凍った道をシンさんに引きずられるように歩く。
ユウ(言い方はキツいけど…)
ユウ(シンさんは私が転ばないように気を遣ってくれたんだよね…)
繋いだ手からシンさんの優しさが伝わってくる様で、思わず頬笑みがこぼれた。
その時、突然シンさんが立ち止まり、私も足を止める。
シン「…まったく、ふざけた街だ」
ユウ「え?」
シン「どうやら、トワとお前が喜びそうな町へ来たようだな」
シンさんの不機嫌そうな視線の先に、真っ赤な服、真っ赤な帽子をかぶった人たちが大勢歩いていた。
ユウ「もしかして、あれは…」
トワ「ユウさん、見てください!」
トワ「ここの島の人たちはみんな、サンタクロースみたいですよ!」
ハヤテ「マジかよ…」
ハヤテ「サンタクロースがこんなに…」
ナギ「サンタクロースの街か」
ソウシ「ふふ、こんな島があるなんて、やっぱり世界は広いね」
リュウガ「こりゃあ、面白くなってきたな」
ユウ「うわぁ…サンタクロースって、本当にいるんですね!」
シン「…」
私は期待に胸が高鳴るのを感じながら、足取り軽く街中へと歩いて行った。
サンタ「遠い所からようこそいらっしゃいました」
サンタ「ここはサンタの住む島」
サンタ「年に1度のクリスマスを存分にお楽しみください」
出迎えてくれたサンタクロースは親切に街を案内してくれる。
トワ「綺麗な街ですね!」
ユウ「うん」
ユウ「街全体が飾り付けされていて、まるでツリーみたい…!」
サンタ「夜になると、明かりが灯され、それは美しいですよ」
リュウガ「これは、クリスマスパーティーが楽しみになってきたな」
サンタ「会場はもちろんの事、宿泊施設、観光名所」
サンタ「すべてがクリスマス一色です」
ナギ「クリスマスか…」
シン「フン、クリスマスなんてガキのイベントだ」
ソウシ「また、シンは…」
ソウシ「ユウちゃんが楽しそうにしているんだ、シンも楽しむといいよ」
シン「…」
シンさんは隣にいる私を見ると、小さくため息をついた。
ソウシ「それに、船長も楽しんでいるようだしね」
ソウシ「きっと、ちょっとやそっとじゃ帰れないよ」
シン「…分かってます」
シン「船長の気まぐれに振り回されるのはいつものことですから」
ユウ(この島に着いてから、シンさんずっとつまらなそうだな…)
ユウ(まぁ、シンさんがこういうイベントに興味がないのはいつものことだし…)
ユウ(一緒にクリスマスを楽しみたい気持ちはあるけど)
ユウ(私はシンさんと一緒に過ごせるだけで充分かな…)
少し残念に思いながらも、色とりどりに飾り付けされた町並みを見つめる。
リュウガ「よし、パーティーまではまだ時間がある」
リュウガ「各自、自由行動だ!」
リュウガ「パーティー会場で落ち合うぞ」
トワ「わーい!」
トワ「僕、クリスマス広場ってところに行ってみますね!」
ハヤテ「あ、トワ!俺も連れて行け!」
ハヤテ「そこ、屋台が出てるんだってよ!」
ハヤテ「すげーでかいローストチキンがあるって、さっき書いてあった」
ナギ「…ローストチキンか」
ナギ「それは興味があるな」
トワ「じゃあ、皆で行きましょう!」
トワ「ユウさんも一緒に行きますか?」
ユウ「え、いや、私は…」
リュウガ「ユウはシンと一緒だろ?」
リュウガ「さーて…俺もちょっと街をふらついてみるか」
ソウシ「船長、私も行きますよ」
ソウシ「一人で行かせたら、きっとパートナーには」
ソウシ「間に合わないでしょうからね」
シン「…そうですね」
ソウシ「じゃあ、またパーティー会場で」
トワ「ユウさん、楽しんできてくださいね!」
ユウ「うん、また後でね」
皆の姿が見えなくなると、シンさんとふたり街中に取り残される。
ユウ(シンさんと一緒に、と入ったものの…どこに行こう…)
ユウ(どこかシンさんの行きたい場所があるなら…)
島の地図を見ながら悩んでいると、案内役のサンタクロースが遠慮がちに話しかけてくる。
サンタ「…もしかしてお2人は恋人同士ですか?」
サンタ「恋人同士なら有名なカップルスポットが――」
シン「そんな所に行く気はない」
ユウ「い、行かないそうです」
サンタ「そ、そうですか?」
サンタ「じゃあ…」
サンタ「あ、そうそう!」
サンタ「今、パーティー会場の隣にあるホテルで」
サンタ「クリスマス限定のケーキバイキングをやってるんですよ」
ユウ「ケーキバイキング…」
シン「…」
サンタ「はい!」
サンタ「島で有名なシェフがさまざまにケーキを作っていまして…」
サンタ「女性に大人気なんです!」
ユウ(ケーキバイキングかぁ…しかもクリスマス限定だなんて…)
ユウ(でも、シンさんはケーキバイキングなんて絶対に行かないだろうし…)
ユウ(きっと、また子どもっぽいってバカにされちゃうよね)
ユウ(うーん、でも、やっぱり…)
シン「…行きたいのなら好きにしろ」
ユウ「え!?」
ユウ「わ、私は別に…」
シン「カップルスポットでも、ケーキバイキングでも」
シン「好きな方に行けばいいだろ」
ユウ「えっ、でも…」
ユウ(それじゃあ、シンさんが楽しめないんじゃ…)
ユウ「私はどこでもいいので…」
ユウ「シンさんの好きなところで大丈夫ですよ」
シン「嘘を言うな」
シン「行きたいって顔に書いてあるぞ」
シン「俺に隠し事をするなら、そのまぬけな顔をなんとかするんだな」
ユウ「うっ…」
シン「行くなら、さっさと行くぞ」
ユウ「あ、待ってください!」
背を向けて先に歩いて行ってしまったシンさんを、私は慌てて追いかけた。
数種類のフルーツタルトに絵本の中でしか見たことないようなデコレーションケーキ
私はお皿に取り分けられたケーキのひとつを口に運んだ。
ユウ「お、美味しい!」
ユウ「ここのケーキ、甘くてとても美味しいですよ」
ユウ「シンさんも騙されたと思って一度食べてみてください!!」
フォークを差し出すと、シンさんは黙ってそっぽを向いてしまう。
ユウ(そ、そうですよね…)
ユウ(どうしよう…)
ユウ(結局また私の我儘にシンさんを付き合わせたことになっちゃう…)
ユウ(どうしたらシンさんも一緒に楽しんでくれるんだろう…)
A:考え込む
ユウ(とは言っても、ここにはケーキしかないし…)
ユウ「…」
シン「…何だ?」
シン「もう食べないのか?」
シン「…もっと喜ぶものだと思っていたが」
ユウ「え?」
B:他の物を薦める
ユウ「あ、もし、ケーキがダメならジェラートもありますよ?」
私はジェラートのお皿をシンさんに差し出す。
シン「ただでさえ寒いのに、そんなもの食えるか」
ユウ「そ、そうですよね…」
シン「俺に気を遣うな」
シン「…お前の嬉しそうな顔を見ているのは悪くないからな」
C:謝る
ユウ「つき合わせてしまってすみません」
シン「俺に気を遣うな」
シン「…お前の嬉しそうな顔を見ているのは悪くないからな」
ユウ「今、何て…」
シン「何も言ってない」
ユウ「そ、そうですか…」
私が聞き返すと、シンさんはさらに不機嫌そうに眉間にシワをよせた。
ユウ(やっぱり怒ってる、よね?)
ユウ(ある程度ケーキは食べれたし、やっぱりどこか別の場所に行こう…!)
ユウ「あの、もうお腹いっぱいなので、どこか別の場所に――」
フォークをテーブルに置き立ち上がろうとすると、腕をつかまれ引き止められる。
ユウ(な、何?急にどうしたんだろう?)
座り直し、シンさんを見つめると、シンさんも黙ったまま私を見つめ返した。
ユウ「シンさん…?」
黙ったままのシンさんに不安を感じ、問いかけると、突然シンさんの顔が近づく。
ユウ(えっ、これって…まさかキス!?)
ユウ(どうして突然…しかもこんな場所で!?)
思わずぎゅっと目を閉じたものの、いくらたってもキスされる気配がない。
ユウ(あ、あれ…?)
ゆっくりと目を開けると、すぐ目の前にシンさんの顔があった。
シン「もう少し落ち着いて食えないのか?」
そう言うと、スッと伸びたシンさんの指が私の唇を拭う。
ユウ(なんだ、キスじゃなかったんだ…)
ユウ(それにしても、私なんて勘違いを…!)
動揺して赤くなっていると、シンさんはクリームのついた指をペロリ舐め、フッと笑う。
シン「…そんなに赤くなって、何を期待していたんだ?」
ユウ(…ぜ、絶対シンさん、分かってて私をからかってる…!!)
恥ずかしさに顔を俯けたその時――
???「シン様!?」
聞き覚えのある声が店内に響いた。
ファジー「やっぱりシン様じゃないか!」
ジャジー「なんだって!?」
ジャジー「ちょっと、ファジー姉さん邪魔よ!!」
ロイ「おい!お前ら、俺様を置いて行くな!」
ロイ「…ん?そこにいるのはシリウスの航海士じゃないか」
ロイ「…こんなところにいるとは」
ロイ「さてはお前も甘いものが大好きだったんだな!?」
シン「違う」
ファジー「ロイ様はちょっと黙ってておくれよ」
ロイ「な、何!?」
ロイ「俺様をないがしろにするとは…」
ジャジー「こんなところで出会えるなんて…」
ジャジー「アタイとシン様はやっぱり運命の赤い糸で繋がっているんだね!!」
ファジー「ちょっとジャジー!」
ファジー「アタイのシン様に来やすくさわるんじゃないよ!」
ジャジー「何さ、ファジー姉さんの男でもないくせに…」
ジャジー「そうだ!シン様、知ってる?」
ジャジー「この島には恋人たちがその場所でキスをすると」
ジャジー「永遠の愛が約束されるとかいうカップルスポットがあるんだよ」
ユウ(それって、さっきサンタさんが教えてくれたカップルスポットかな?)
ユウ(本当はそこにも行ってみたいけど…)
ファジー「ジャジー!」
ファジー「抜け駆けは許さないよ!」
ジャジー「ねえ、シン様~」
ジャジー「アタイと一緒に行きましょうよ~」
シン「断る」
ファジー「そうだよねえ!」
ファジー「アタイと一緒のほうが良いに決まってるよね~」
シン「お前もだ」
ファジー「そんなつれないこと言わないでおくれよ~」
ユウ(ふ、2人とも、相変わらずだな…)
私は言い争っているファジーさんたちを見て苦笑いを浮かべる。
ユウ(でも、少し羨ましいかも…)
ユウ(私もこのくらいアピールできたらいいのに…)
その時ふと、店内にいる女の子たちの視線がシンさんに向いているのに気づく。
ユウ(ファジーさんとジャジーさんだけじゃない)
ユウ(みんなシンさんのこと見てる…)
ユウ(やだな…私とシンさんじゃ)
ユウ(つりあってないって思われてるのかも…)
ジャジー「ちょっとアンタおどきよ!」
ユウ「え!?きゃっ…!!」
突然、ジャジーさんが私とシンさんの間に割り込むように座ってくる。
ジャジー「ねぇ、シン様~」
ジャジー「こんな小娘と一緒にいるより、きっとアタイたちと一緒にいた方が楽しいよ」
ファジー「そうだよ、そうだよ」
ファジー「アタイたちとさー」
ファジー「ちょっとアンタ邪魔だよ!」
ユウ「ちょ、ちょっとファジーさん!?」
ファジーさんに突き飛ばされた私の身体は、そのまま椅子と一緒に床に倒れそうになる。
ファジー「あ…」
シン「ユウ!」
その瞬間、シンさんの腕が私に伸ばされ、間一髪、転ばずにすむ。
ユウ「すみません…!」
ユウ「シンさん、大丈――」
顔を上げると、椅子が倒れた衝撃でテーブルが倒れ、家にあったケーキや飲み物が床に散乱していた。
ユウ(ど、どうしよう、床がケーキまみれに、しかも…)
目の前のシンさんの身体にはケーキのクリームやチョコが飛び散っていた。
ユウ「あ、あの…」
ユウ「シン、さん?」
ファジー「シ、シン様…?」
ジャジー「ファ、ファジー姉さん!!」
ジャジー「アンタが無理やり割り込んでくるから!!」
ロイ「ふははは!」
ロイ「よくやったな、お前ら!」
ロイ「これは面白いものが見れたぞ!」
ユウ「シンさん、あのこれで…」
私が持っていたハンカチを差し出すも、シンさんはそれを受け取らず無言で立ち上がる。
シン「…お前ら覚悟はできてるんだろうな」
ファジー「ご、ごめんなさいシン様~!!」
ジャジー「ま、またの出会いを待ってることにしますね~!!」
ロイ「おい、待て!!」
ロイ「ロイ様を置いて行く気か!!」
ロイさんたちは目にもとまらぬ速さで、一目散に逃げていった。
レストランに隣接しているホテルの一室。
部屋のバスルームからはシャワーの音が響いていた。
ユウ(ホテルのほうの好意で部屋のシャワーを使わせてもらうことができたけど…)
ユウ(あれから、シンさん、一言も口を聞いてくれなかった)
ユウ「シンさん、あの…」
閉ざされたバスルームに向かって話しかける。
ユウ「服はクリーニングが終わり次第、部屋に持ってきてくれるそうです」
ユウ(うっ…何も答えてくれない…)
ユウ(無理して私につき合ってくれた上に)
ユウ(あんな目に合ったんだもん、怒って当然だよね…)
私はどうやってシンさんに機嫌を直してもらおうか、頭を抱えながら重いため息をついた。
シン「手を貸せ」
ユウ「え、でも…」
シン「…チッ」
シンさんは面倒そうに舌打ちすると私の腕をつかみ歩きはじめた。
ユウ「あ、あの…!」
シン「ごちゃごちゃ言わずに歩け」
シン「お前に合わせていたら日が暮れる」
凍った道をシンさんに引きずられるように歩く。
ユウ(言い方はキツいけど…)
ユウ(シンさんは私が転ばないように気を遣ってくれたんだよね…)
繋いだ手からシンさんの優しさが伝わってくる様で、思わず頬笑みがこぼれた。
その時、突然シンさんが立ち止まり、私も足を止める。
シン「…まったく、ふざけた街だ」
ユウ「え?」
シン「どうやら、トワとお前が喜びそうな町へ来たようだな」
シンさんの不機嫌そうな視線の先に、真っ赤な服、真っ赤な帽子をかぶった人たちが大勢歩いていた。
ユウ「もしかして、あれは…」
トワ「ユウさん、見てください!」
トワ「ここの島の人たちはみんな、サンタクロースみたいですよ!」
ハヤテ「マジかよ…」
ハヤテ「サンタクロースがこんなに…」
ナギ「サンタクロースの街か」
ソウシ「ふふ、こんな島があるなんて、やっぱり世界は広いね」
リュウガ「こりゃあ、面白くなってきたな」
ユウ「うわぁ…サンタクロースって、本当にいるんですね!」
シン「…」
私は期待に胸が高鳴るのを感じながら、足取り軽く街中へと歩いて行った。
サンタ「遠い所からようこそいらっしゃいました」
サンタ「ここはサンタの住む島」
サンタ「年に1度のクリスマスを存分にお楽しみください」
出迎えてくれたサンタクロースは親切に街を案内してくれる。
トワ「綺麗な街ですね!」
ユウ「うん」
ユウ「街全体が飾り付けされていて、まるでツリーみたい…!」
サンタ「夜になると、明かりが灯され、それは美しいですよ」
リュウガ「これは、クリスマスパーティーが楽しみになってきたな」
サンタ「会場はもちろんの事、宿泊施設、観光名所」
サンタ「すべてがクリスマス一色です」
ナギ「クリスマスか…」
シン「フン、クリスマスなんてガキのイベントだ」
ソウシ「また、シンは…」
ソウシ「ユウちゃんが楽しそうにしているんだ、シンも楽しむといいよ」
シン「…」
シンさんは隣にいる私を見ると、小さくため息をついた。
ソウシ「それに、船長も楽しんでいるようだしね」
ソウシ「きっと、ちょっとやそっとじゃ帰れないよ」
シン「…分かってます」
シン「船長の気まぐれに振り回されるのはいつものことですから」
ユウ(この島に着いてから、シンさんずっとつまらなそうだな…)
ユウ(まぁ、シンさんがこういうイベントに興味がないのはいつものことだし…)
ユウ(一緒にクリスマスを楽しみたい気持ちはあるけど)
ユウ(私はシンさんと一緒に過ごせるだけで充分かな…)
少し残念に思いながらも、色とりどりに飾り付けされた町並みを見つめる。
リュウガ「よし、パーティーまではまだ時間がある」
リュウガ「各自、自由行動だ!」
リュウガ「パーティー会場で落ち合うぞ」
トワ「わーい!」
トワ「僕、クリスマス広場ってところに行ってみますね!」
ハヤテ「あ、トワ!俺も連れて行け!」
ハヤテ「そこ、屋台が出てるんだってよ!」
ハヤテ「すげーでかいローストチキンがあるって、さっき書いてあった」
ナギ「…ローストチキンか」
ナギ「それは興味があるな」
トワ「じゃあ、皆で行きましょう!」
トワ「ユウさんも一緒に行きますか?」
ユウ「え、いや、私は…」
リュウガ「ユウはシンと一緒だろ?」
リュウガ「さーて…俺もちょっと街をふらついてみるか」
ソウシ「船長、私も行きますよ」
ソウシ「一人で行かせたら、きっとパートナーには」
ソウシ「間に合わないでしょうからね」
シン「…そうですね」
ソウシ「じゃあ、またパーティー会場で」
トワ「ユウさん、楽しんできてくださいね!」
ユウ「うん、また後でね」
皆の姿が見えなくなると、シンさんとふたり街中に取り残される。
ユウ(シンさんと一緒に、と入ったものの…どこに行こう…)
ユウ(どこかシンさんの行きたい場所があるなら…)
島の地図を見ながら悩んでいると、案内役のサンタクロースが遠慮がちに話しかけてくる。
サンタ「…もしかしてお2人は恋人同士ですか?」
サンタ「恋人同士なら有名なカップルスポットが――」
シン「そんな所に行く気はない」
ユウ「い、行かないそうです」
サンタ「そ、そうですか?」
サンタ「じゃあ…」
サンタ「あ、そうそう!」
サンタ「今、パーティー会場の隣にあるホテルで」
サンタ「クリスマス限定のケーキバイキングをやってるんですよ」
ユウ「ケーキバイキング…」
シン「…」
サンタ「はい!」
サンタ「島で有名なシェフがさまざまにケーキを作っていまして…」
サンタ「女性に大人気なんです!」
ユウ(ケーキバイキングかぁ…しかもクリスマス限定だなんて…)
ユウ(でも、シンさんはケーキバイキングなんて絶対に行かないだろうし…)
ユウ(きっと、また子どもっぽいってバカにされちゃうよね)
ユウ(うーん、でも、やっぱり…)
シン「…行きたいのなら好きにしろ」
ユウ「え!?」
ユウ「わ、私は別に…」
シン「カップルスポットでも、ケーキバイキングでも」
シン「好きな方に行けばいいだろ」
ユウ「えっ、でも…」
ユウ(それじゃあ、シンさんが楽しめないんじゃ…)
ユウ「私はどこでもいいので…」
ユウ「シンさんの好きなところで大丈夫ですよ」
シン「嘘を言うな」
シン「行きたいって顔に書いてあるぞ」
シン「俺に隠し事をするなら、そのまぬけな顔をなんとかするんだな」
ユウ「うっ…」
シン「行くなら、さっさと行くぞ」
ユウ「あ、待ってください!」
背を向けて先に歩いて行ってしまったシンさんを、私は慌てて追いかけた。
数種類のフルーツタルトに絵本の中でしか見たことないようなデコレーションケーキ
私はお皿に取り分けられたケーキのひとつを口に運んだ。
ユウ「お、美味しい!」
ユウ「ここのケーキ、甘くてとても美味しいですよ」
ユウ「シンさんも騙されたと思って一度食べてみてください!!」
フォークを差し出すと、シンさんは黙ってそっぽを向いてしまう。
ユウ(そ、そうですよね…)
ユウ(どうしよう…)
ユウ(結局また私の我儘にシンさんを付き合わせたことになっちゃう…)
ユウ(どうしたらシンさんも一緒に楽しんでくれるんだろう…)
A:考え込む
ユウ(とは言っても、ここにはケーキしかないし…)
ユウ「…」
シン「…何だ?」
シン「もう食べないのか?」
シン「…もっと喜ぶものだと思っていたが」
ユウ「え?」
B:他の物を薦める
ユウ「あ、もし、ケーキがダメならジェラートもありますよ?」
私はジェラートのお皿をシンさんに差し出す。
シン「ただでさえ寒いのに、そんなもの食えるか」
ユウ「そ、そうですよね…」
シン「俺に気を遣うな」
シン「…お前の嬉しそうな顔を見ているのは悪くないからな」
C:謝る
ユウ「つき合わせてしまってすみません」
シン「俺に気を遣うな」
シン「…お前の嬉しそうな顔を見ているのは悪くないからな」
ユウ「今、何て…」
シン「何も言ってない」
ユウ「そ、そうですか…」
私が聞き返すと、シンさんはさらに不機嫌そうに眉間にシワをよせた。
ユウ(やっぱり怒ってる、よね?)
ユウ(ある程度ケーキは食べれたし、やっぱりどこか別の場所に行こう…!)
ユウ「あの、もうお腹いっぱいなので、どこか別の場所に――」
フォークをテーブルに置き立ち上がろうとすると、腕をつかまれ引き止められる。
ユウ(な、何?急にどうしたんだろう?)
座り直し、シンさんを見つめると、シンさんも黙ったまま私を見つめ返した。
ユウ「シンさん…?」
黙ったままのシンさんに不安を感じ、問いかけると、突然シンさんの顔が近づく。
ユウ(えっ、これって…まさかキス!?)
ユウ(どうして突然…しかもこんな場所で!?)
思わずぎゅっと目を閉じたものの、いくらたってもキスされる気配がない。
ユウ(あ、あれ…?)
ゆっくりと目を開けると、すぐ目の前にシンさんの顔があった。
シン「もう少し落ち着いて食えないのか?」
そう言うと、スッと伸びたシンさんの指が私の唇を拭う。
ユウ(なんだ、キスじゃなかったんだ…)
ユウ(それにしても、私なんて勘違いを…!)
動揺して赤くなっていると、シンさんはクリームのついた指をペロリ舐め、フッと笑う。
シン「…そんなに赤くなって、何を期待していたんだ?」
ユウ(…ぜ、絶対シンさん、分かってて私をからかってる…!!)
恥ずかしさに顔を俯けたその時――
???「シン様!?」
聞き覚えのある声が店内に響いた。
ファジー「やっぱりシン様じゃないか!」
ジャジー「なんだって!?」
ジャジー「ちょっと、ファジー姉さん邪魔よ!!」
ロイ「おい!お前ら、俺様を置いて行くな!」
ロイ「…ん?そこにいるのはシリウスの航海士じゃないか」
ロイ「…こんなところにいるとは」
ロイ「さてはお前も甘いものが大好きだったんだな!?」
シン「違う」
ファジー「ロイ様はちょっと黙ってておくれよ」
ロイ「な、何!?」
ロイ「俺様をないがしろにするとは…」
ジャジー「こんなところで出会えるなんて…」
ジャジー「アタイとシン様はやっぱり運命の赤い糸で繋がっているんだね!!」
ファジー「ちょっとジャジー!」
ファジー「アタイのシン様に来やすくさわるんじゃないよ!」
ジャジー「何さ、ファジー姉さんの男でもないくせに…」
ジャジー「そうだ!シン様、知ってる?」
ジャジー「この島には恋人たちがその場所でキスをすると」
ジャジー「永遠の愛が約束されるとかいうカップルスポットがあるんだよ」
ユウ(それって、さっきサンタさんが教えてくれたカップルスポットかな?)
ユウ(本当はそこにも行ってみたいけど…)
ファジー「ジャジー!」
ファジー「抜け駆けは許さないよ!」
ジャジー「ねえ、シン様~」
ジャジー「アタイと一緒に行きましょうよ~」
シン「断る」
ファジー「そうだよねえ!」
ファジー「アタイと一緒のほうが良いに決まってるよね~」
シン「お前もだ」
ファジー「そんなつれないこと言わないでおくれよ~」
ユウ(ふ、2人とも、相変わらずだな…)
私は言い争っているファジーさんたちを見て苦笑いを浮かべる。
ユウ(でも、少し羨ましいかも…)
ユウ(私もこのくらいアピールできたらいいのに…)
その時ふと、店内にいる女の子たちの視線がシンさんに向いているのに気づく。
ユウ(ファジーさんとジャジーさんだけじゃない)
ユウ(みんなシンさんのこと見てる…)
ユウ(やだな…私とシンさんじゃ)
ユウ(つりあってないって思われてるのかも…)
ジャジー「ちょっとアンタおどきよ!」
ユウ「え!?きゃっ…!!」
突然、ジャジーさんが私とシンさんの間に割り込むように座ってくる。
ジャジー「ねぇ、シン様~」
ジャジー「こんな小娘と一緒にいるより、きっとアタイたちと一緒にいた方が楽しいよ」
ファジー「そうだよ、そうだよ」
ファジー「アタイたちとさー」
ファジー「ちょっとアンタ邪魔だよ!」
ユウ「ちょ、ちょっとファジーさん!?」
ファジーさんに突き飛ばされた私の身体は、そのまま椅子と一緒に床に倒れそうになる。
ファジー「あ…」
シン「ユウ!」
その瞬間、シンさんの腕が私に伸ばされ、間一髪、転ばずにすむ。
ユウ「すみません…!」
ユウ「シンさん、大丈――」
顔を上げると、椅子が倒れた衝撃でテーブルが倒れ、家にあったケーキや飲み物が床に散乱していた。
ユウ(ど、どうしよう、床がケーキまみれに、しかも…)
目の前のシンさんの身体にはケーキのクリームやチョコが飛び散っていた。
ユウ「あ、あの…」
ユウ「シン、さん?」
ファジー「シ、シン様…?」
ジャジー「ファ、ファジー姉さん!!」
ジャジー「アンタが無理やり割り込んでくるから!!」
ロイ「ふははは!」
ロイ「よくやったな、お前ら!」
ロイ「これは面白いものが見れたぞ!」
ユウ「シンさん、あのこれで…」
私が持っていたハンカチを差し出すも、シンさんはそれを受け取らず無言で立ち上がる。
シン「…お前ら覚悟はできてるんだろうな」
ファジー「ご、ごめんなさいシン様~!!」
ジャジー「ま、またの出会いを待ってることにしますね~!!」
ロイ「おい、待て!!」
ロイ「ロイ様を置いて行く気か!!」
ロイさんたちは目にもとまらぬ速さで、一目散に逃げていった。
レストランに隣接しているホテルの一室。
部屋のバスルームからはシャワーの音が響いていた。
ユウ(ホテルのほうの好意で部屋のシャワーを使わせてもらうことができたけど…)
ユウ(あれから、シンさん、一言も口を聞いてくれなかった)
ユウ「シンさん、あの…」
閉ざされたバスルームに向かって話しかける。
ユウ「服はクリーニングが終わり次第、部屋に持ってきてくれるそうです」
ユウ(うっ…何も答えてくれない…)
ユウ(無理して私につき合ってくれた上に)
ユウ(あんな目に合ったんだもん、怒って当然だよね…)
私はどうやってシンさんに機嫌を直してもらおうか、頭を抱えながら重いため息をついた。
久しぶりに レポ 更新しました(‐^▽^‐)
余裕を見て 他もアップして行こうかと思います![]()
昨年は 「たまには無駄使いしたら
」 と言われ
ゲームの 薄桜鬼 を中古←(笑)で購入![]()
う~ん 正確には 薄桜鬼・巡想録 です
普段から時間も買い物も十分に無駄使いしていると思うのですが
薄桜鬼を始めたら 関連する動画を見たり、サイトを見たりと だいぶ時間を費やしました
最初の攻略キャラは 風間
…おもしろい
次は 斎藤
…?
そして 沖田
…なるほど
気になるキャラは 山崎
何で攻略キャラじゃないんだろう…
とりあえず 薄桜鬼熱は落ち着いてきたので 携帯ゲームに戻ろうかと思います![]()
イベントだけじゃなくて 攻略したいゲームもあるし がんばろうっと