クリスマスの気配に、町がキラキラと輝く季節―。
(アランの真剣な顔)
ウィスタリア城では、アランがいつものように剣の稽古をしていた。
いつもより少し険しい表情のアランに、私の胸はドキドキと音を立てた。
アラン「ったく…」
こっそりと見ていたつもりだったのに、アランが私に気付く。
アラン「お前、こんな所にいていいのかよ クリスマスパーティーの準備で立て込んでるって、ジルが言ってた気がするんだけど…」
イヴ「うん…もうすぐ、打ち合わせの時間なんだけど…」
そう言うと、私はアランの顔を覗き込む。
(…言っても、迷惑にならないかな…)
伝えようか迷っていると、
アラン「なんだよ」
アランが優しく微笑みかけてくれる。
イヴ「…あのね…」
私は思い切って、聞きたかったことを口にした。
イヴ「クリスマスパーティーには、一緒に出られるかな…?」
私は思い切って、聞きたかったことを口にした。
アラン「まあ…出ることは出るけど 俺は護衛。他国から要人も来るだろ」
予測はしていたものの、アランの答えに、私はそっと溜息をついた―。
打ち合わせに間に合うように急いでお城に戻ると、お城ではメイドさんや使用人さんたちが忙しそうに働いている。
(わあ…綺麗)
お城がクリスマス仕様に飾られていく光景は、私の胸を明るく照らしてくれた。
(城下では、クリスマスって皆でお祝いするものだったけど…お城では、外交パーティーみたいになっちゃうからメイドさんたちは、クリスマスもお仕事なんだよね…それに…)
私は、クリスマスも護衛のお仕事をするアランに想いを馳せた。
(当日は難しくても、イブの日にお城の皆でパーティーを出来ないかな)
ジル「プリンセス」
素敵な思いつきに嬉しくなっていると、後ろからジルに声をかけられた。
ジル「もう皆様がお揃いですよ」
打ち合わせのお迎えにきてくれたジルに、私は早速イブのパーティーのことを相談した―。
数日後―。
ジルの許可を得た私は、イブのパーティーに向けて、着々と準備を進めていた。
イヴ「あ、アラン」
久しぶりに見るアランの姿に、私は胸をときめかせる。
アラン「お前…最近妙に忙しそうだな」
イヴ「えっと…」
(どうしよう…イブのパーティーのこと、アランには秘密にして驚かせたい…)
私が言葉に詰まっていると、ユーリに声をかけられる。
ユーリ「イヴ様、ちょっといい?」
イヴ「アラン、ごめんね。また後で…」
アラン「……」
足早に去っていく私の後ろ姿を、アランが見つめていた。
レオ「イヴちゃんって、見てて飽きないよね」
通りかかったレオが、クスクスと笑いながらそう言う。
レオ「ところでアラン。クリスマスはイヴちゃんに何かするの?」
アラン「……」
レオ「もしかして、何も考えてないの? ダメだな、アランは。そんなんじゃ、イヴちゃんに嫌われちゃうよ」
そう言うと、レオは去って行く。
アラン「…うるせえな…」
その夜―。
アラン「おい」
私が書類に目を通していると、アランが私の寝室を訪れた。
イヴ「アラン…どうしたの?」
アラン「お前…クリスマスに何かしたいことあんの?」
イヴ「えっ…」
(パーティーのこと…何か聞いたのかな?)
アランの急な言葉に戸惑いながらも、私は何とか口を開く。
イヴ「えっと…アランとクリスマスを迎えられたら、それだけで嬉しいよ」
アラン「…そうかよ」
イヴ「でも…クリスマスは外交パーティーだから…」
(だから、イブにクリスマスの分までお祝いできるように、準備頑張ろう…)
アラン「……」
密かに決意を固めていると、アランの表情が曇る。
イヴ「…アラン…?」
アラン「…ああ…」
(何か、気に障ること言っちゃったかな…?)
私が心配していると、
レオ「イヴちゃん、ちょっといい?」
レオが扉を開けてひょっこりと顔を出した。
イヴ「レオ…」
レオ「アラン。向こうでジルが探してたけど」
アラン「……」
アランは、何も言わずに部屋を出て行った。
アラン「…なんだよ…」
扉を閉めると、そう呟く。
そして扉の方を見ると、アランは足早に歩き出した―。
(アラン、様子がおかしかったな…)
レオ「イヴちゃん、どうかした?」
私が扉の方を見つめていると、レオが私を気遣ってくれる。
イヴ「…じつは…」
レオに相談すると、レオは何故だか嬉しそうに笑った。
レオ「へー、本当にイヴちゃんのこと好きなんだ」
イヴ「え?」
レオ「ううん」
レオの言葉に首をかしげながらも、私はレオに渡された書類の確認に追われていった―。