クリスマスイブのパーティー前日―。
最後の確認をしていると、宿り木が搬入されてくる。
レオ「そういえば昔、こんな言い伝えを聞いたな 確か…宿り木の下でキスをした2人は永遠に結ばれる…とか何とか」
ユーリ「へえ、そんなのがあるんだ」
(この宿り木の下で、アランと…)
ユーリ「知ってた?イヴ様…」
ユーリに話しかけられたことにも気がつかず、私は頬を染めて宿り木を見つめていた。
レオ「…」
レオは、クスリと笑みを漏らすと、
レオ「そっか」
イヴ「え…?」
レオ「ううん。叶うといいね」
イヴ「…!」
頬が熱を持っていく。
ユーリ「何?2人だけで、ずるい」
レオ「秘密の話」
レオがこっそりと、私に目配せをしてくれた―。
アラン「イヴ」
3人で話していると、アランがやって来る。
イヴ「アラン」
(今の話…聞かれてたかな?)
アラン「…訓練早めに終わったから、何か手伝うことでもないかと思って」
イヴ「ありがとう。でも、大丈夫だよ」
不自然にうわずる言葉が、私の鼓動を早めていく。
イヴ「あ…私、飾り付けの確認をしなくちゃ…」
そう言うと、私は逃げるようにその場を立ち去った。
ユーリ「2人の秘密だって言って、教えてくれないんだ」
ユーリが口をとがらせる。
アラン「…ふーん…」
レオ「聞かなくていいの? 俺、イヴちゃんがしてほしいこと知ってるんだけど」
アラン「…」
アランは、何も聞かずにその場を立ち去って行く。
残されたレオは、使用人を呼んだ。
レオ「宿り木を、バルコニーと会場の柱すべてに飾って」
使用人「かしこまりました」
レオ「それだけあれば…イヴちゃんの願いも叶うでしょ」
イヴの後姿を見つめ、2人はフッと笑いあった。
いよいよイブのパーティーの当日―。
(ドレス…変じゃないかな…)
ドレスアップを終えた私は、アランのお迎えを待っていた。
その時…
???「イヴ
扉が叩かれ、アランが姿を見せる。
アラン「…」
(アラン…礼服着てる…)
しばしの沈黙の後で、アランがゆっくりと口を開いた。
アラン「…似合ってる」
イヴ「え…っ
アラン「その服」
イヴ「…ありがとう…
アラン「…行くぞ」
パーティー会場の前につくと、
アラン「…ほら」
アランが腕を差し出してくれる。
イヴ「え…?」
戸惑う私に、アランはフッと微笑みかけ…
アラン「お手をどうぞ、プリンセス」
優しくそう囁いた。
(今日のアラン…何だか王子様みたい…)
頬を染めて俯くと、私はそっとアランの腕に手を添えた―。
アラン「お手をどうぞ、プリンセス」
そう囁いたアランの腕にそっと手を添えると、私はアランにエスコートされて会場へと足を踏み入れた。
(わあ…)
会場では、普段制服を着ている人々が着飾って楽しそうに過ごしている。
(皆、楽しそう…良かった
しばし皆との楽しい時間を過ごした後で、アランは私をバルコニーへと誘った。
アラン「…やっぱり肩がこるな」
それまで紳士然として振る舞っていたアランが、外に出た途端に肩の力を抜く。
イヴ「ありがとう、アラン」
お礼を言うと、アランはフッと微笑みを漏らした
アラン「お前ってほんと変な奴だよな」
そう言って、アランは私が手にしていたマフラーを私の首に巻きつけてくれる。
アラン「いろんなこと思いついて、ちょこまか動き回って…」
イヴ「そんな事…っ
言いかけると、アランは私を抱き寄せ…
アラン「目が離せねぇって言ってんの」
アランが私の耳元で囁く。
その時…
イヴ「…雪…?」
降り出した雪が私の熱を持った頬に触れる。
(このまま、こうしていたいな…)
アランの腕に抱かれて、私は今年初めての雪を眺めていた。
アラン「…あ―あ…こんなに乗せて」
しばらくすると、アランがクスっと笑って私の頭に乗った雪を払ってくれる。
アラン「戻るか。お前風邪ひきそうだしな」
(…もう少し、2人でいたい…)
気がつくと私は、会場に戻ろうとするアランの服の裾を、そっと引っ張っていた。
アラン「…ん?」
優しく目を細めると、アランはこちらを振り返る。
私は背伸びをして、そんなアランにそっとキスをした。
アラン「………」
アラン「お前、この下でキスする意味知ってんのかよ」
驚いたように押し黙っていたアランが、しばらくすると口を開く。
イヴ「え…?」
アランの言葉に上を見上げると、柱には宿り木が飾られていた。
イヴ「あ…っ」
(アランも…知っていたんだ…)
思いがけない事に頬を染めると、アランの腕が腰に回され…
イヴ「ん…っ」
気がつくと私は、アランの深い口付けを受けていた。
(意味…知ってるよ…)
(アランとずっと…一緒にいたいな…)
唇を塞がれ、言葉を紡ぐ事が出来ない。
静かに降り積もる雪が、世界を白銀色に染めていく―。


