ミウラニシキ | 上総層群

上総層群

上総海盆・古東京湾海底谷の生物たち

なんと、ほぼ30年ぶりに訪れた。そして自分の記憶が当てにならないことに戸惑う。こんな場所だったろうか、こんな入口だったろうか。しかし、展示物は充実していて、観ているだけで1時間があっという間に過ぎてしまった。そういえば、当時は池子のシロウリガイなど展示されていなかったはずだし、話題にもなっていなかった。鹿間先生の標本もあったし、なんといっても無料にも驚いた。アンモナイトもごろごろ(ただし北海道産)残念ニッポは石膏だ。横須賀自然史博物館は一見の価値ありである。しかし、ここで愕然とする津久井浜の露頭が閉塞されてしまったということだ。一度は教育委員会で天然記念物にまで指定されたものの、結局は文化財的価値は低かったということだろう。同じ更新世の露頭でも、木下はよく残ったものである。しかし、沿岸域の開発はすさまじく、行けども行けども家家家である。沿線の斜面も家だらけ。そこからいったん山間に入ると、そこには鬱蒼とした自然の森が広がる。巡検をかねてはいたものの、こうも都市化が進んでは、露頭など悠長に観察していられない。なんといっても車を止める場所すらないのである。先の東北震災や大阪地震を考えながら、今というか近い将来の大規模地震で、この三浦半島西側には、大きな津波が到達すると予想されている。しかし、海側を走る国道沿いは、建物のオンパレードである。しかも、防潮堤らしきものはまったく見当たらなかった。部分部分で高台などはあるものの、おそらく津波が来れば、東北以上に条件の厳しい地形である。葉山の御用邸、その並びの潮騒博物館、貴重な昭和天皇御下賜標本が津波で失われてはならない。

 葉山層にしても三崎層にしても、三浦半島の基盤は、当時の海底にたまった泥や砂である。その泥や砂が幾層にも重なる地層を見ると、当時の地球の変動ぶりがうかがえる。