22.女神さまの降臨だ。 | FOXGODへの道

FOXGODへの道

定年間近のあるテレビマンは、1枚のFAXをきっかけにある3人の女の子に出会った。その瞬間から彼の人生は一変する。そして全くの異業種に転職。彼が営む大人の秘密基地の名は、「FOXGOD TOKYO」

 

アンコール。。じゃなくて
「WANT MORE」が始まるぞ!

 

それにしても、

3人の女の子の体力ハンパじゃない。
セットリストで多少休憩できるように

配慮されてるとはいえ、曲の間は全力で歌い

全力でダンスしている。
これ、スポーツ選手と同じトレーニングして

ないと体力もたないでしょ。

テニス、バレーボールと同じくらいの運動量

じゃないかな。

 

そして、パッキングバンドの皆さんも。
実質的に今が3度目の休憩のはずだ。

1回目は真ん中の女の子のソロ2曲目、

ピアノのマニピュレーションの時。

2回目はキツネの歌の前奏。
両方で2分位あったかな。

とにかくドラマーが大変だよ。
ツーバス鳴らしっぱなしの1時間だもん。
真ん中の女の子のソロの時も最初は

バラードかなと思ったら、途中から

スピードメタルの様なツーバス連打だった。
まぁ、YOSHIKIとかも、あの細い体で

3時間近くツーバス鳴らしっぱなしな訳だか

ら、メタルドラマーの宿命といえば宿命だけ

どね。

 

そして、「WE WANT MORE」と
「ベイビイメロゥ」の大合唱。
ワイルドワイドな経験だった。 

 

そうだ!

カバンの中に確かプレスリリースあったな。
急に思い出してゴソゴソと取り出した。
暗転してて真っ暗なので、よく読めない。
スマホの待ち受け画面をライト代わりにして

見た。

このロンドン、「2014年世界ツアー」の

ひとつらしい。
即日ソールドアウトしたので、大きな会場に

変更したと書いてある。

凄い。
えっ、このツアー、フランス、ドイツ、

英国、アメリカを周るんだ。

その下に書いてある文章を読んで愕然とした。
なんと、この後レディー・ガガの前座も

やるという。
ガガの前座だよ!それもアメリカ公演の。

凄すぎない?
なんで自分のアンテナに引っかからなかった

のだろう。

 

そう思っていたら、
雷の音がいきなり鳴った。
そして、パイプオルガン?の音。
今までの東洋の神秘+メタルとは真逆の

西洋をイメージさせるメロディーだ。

それもオカルトチック。
なんか、ディズニーランドのホーンテッド・

マンションで流れていそうなメロディーだ。
ステージが暗転してるだけに、より一層

オカルトっぽい。

ステージに幽霊が。。

いや白塗りのバンドのメンバーが入ってきた。

ロンドン・東京共に大歓声だ。

 

その曲は、真ん中の女の子のスローテンポな
ハイトーンボイスで始まった。
そしていきなり転調、ハイテンポ。
「ヘドバン!ヘドバン!」って、
これヘッドバンギングの事?
3人の女の子左右にヘッドバンギングしている。

 

ヘドバンといえば、スラッシュメタル四天王

のひとつスレイヤーだよね。

メンバー全員が上下に動かすヘドバン。

カッコ良かったな。
長髪が上下にたなびいて、これぞメタル!

という感じだった。

でも、この女の子たちは、左右にに

ヘドバンしている。
そうか、ふたりの女の子、ツインテールだから、
左右のヘドバンすることによって
髪の毛のたなびきもスレイヤーに負けてない。
カッコいいし、なによりもカワイイ!

 

グループ名にMETALを入れているだけに
これまでも色々なメタルの要素を詰め込んで

いたけどヘッドバンギングをついに

持ってきたか。

 

真ん中の女の子はマイクスタンドの上部を
振り回しながら歌っている。それもそれで

カッコいいし、女王さま的な威厳も出てき

ている。

 

そして、歌詞で聞こえてくる「ドセン」

「上手」「下手」「逆ダイ」「棚ダイ」

「コロダイ」って、
これ、観客に暴れろっていう歌詞でしょ。
それぞれ、真ん中、左、右の観客に
「かかってこいやー!」でしょ。
また、「前列へダイブしろ」

「棚からダイブしろ」
「クラウド・サーフィンしろ」の意味でしょ。

日本では、危険なので禁止されている事を
堂々と歌詞で歌ってる。
真ん中の女の子、かわいい顔して歌は超過激。
これをメタルと言わず何というの。

 

ほらほら、触発されてロンドンでは、

またまたクラウド・サーフィンが発生して

るよ。

 

おっと東京で動きがあった。
手摺りで5メートル間隔に仕切られている

会場の2ヵ所位のところで、観客たちが

座りだしたぞ!
えっ、何が始まるの?

 

うわ、

べドバンの声に合わせて土下座というか、
手を挙げて神を拝む仕草を続けている。
ロンドンの映像観ると、ステージ上でも
左右の女の子が真ん中の女の子に向かって
座り込んで同じ事をしている。
わわわわ、なんじゃこれ。真ん中の女の子が
神になってる!何か教祖さまを拝む宗教の

一部を観ている様だ。

女神さまも睨みをきかせてる。
さすがにロンドンの観客でそれをしている

のは見当たらない。
海外のファンはまだそこまで行ってない

のかな。

 

もしこの東京の光景がロンドンの会場に

流れたら、それこそ、もっとロンドン・東京

がひとつになるのにな。

ロンドンにモニター無さそうだから無理だよ

ね。

もったいないな。

ロンドンの観客、自分たちが観てるのと同じ

光景を東京に生中継されて、

およそ2000人が観てるって知ってる

のかな?

こんなイベント、このベビーメタルじゃない

と出来ない

でしょ。凄いグループが現れたもんだよ。

 

でもね、ロンドンはロンドンらしく、
大暴れしているよ。

ほらね、体当たり、肩車、ジャンプ、
クラウド・サーフィン。ヘッドバンギング。

映像からでも熱気が伝わってくる。

 

バンドの音が一瞬、ピタっと止まった。
その瞬間、ロンドン・東京共に
「消えろ!」の大合唱だ。
また日本語をロンドンの観客が大合唱だよ。

 

1万キロ離れたふたつの会場のおよそ

4000人をこの十代の女の子が一人で

操っている。

 

ステージにメタルの女神さまの降臨だ!

 

もう頭の中がパニック。
この後どうなっちゃうの?誰か教せーて。

 

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