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行徳の訪問マッサージ師 田口です。
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人は脳卒中を発症すると、多くの場合に後遺症が現れます。
その中でも、体の右(or左)半身が麻痺する『片麻痺』(かたまひ)は、大多数に見られる症状です。
神経が麻痺するため、脳から「動かせ」という指令が伝わらない、あるいは伝わりにくくなります。
そのため手足が動かせない、または動かしづらくなります。
逆に、「力を抜け」という指令も影響を受けます。
そうなると今度は、筋肉が緊張し続けます。
その結果、力がうまく抜けないため、関節を曲げるのも一苦労のことがあります。
力が入らないことも抜けないことも、厄介な症状ですね。
この動きが硬くなるという症状に対して、最近はよく『ボツリヌス療法』が用いられています。
ボツリヌス療法とは、その名の通りボツリヌス菌が関係します。
ボツリヌス菌は食中毒の原因として有名ですが、ここでは食中毒とはまったく関係ありません。
ボツリヌス菌が作り出す、天然のたんぱく質を用いるのです。
このたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉に注射する、『ボトックス注射』と呼ばれる治療法です。
ボトックス注射の効果は、簡単に言うと次のとおりです。
人の神経は、細胞同士が信号をやり取りすることで伝わります。
このときに『神経伝達物質』というものを発して伝えます。
陸上のリレーで、バトンを手渡しするイメージですね。
神経伝達物質が次々と伝わることで、脳からの指令が体の各部分へ伝わります。
ボツリヌス菌が作り出すたんぱく質には、神経伝達物質の伝わりを弱める効果があります。
筋肉が緊張している部分にボトックス注射をすると、「筋肉を動かせ」という指令の伝達が弱められます。
つまり、筋肉の過度な緊張を和らげることになります。
その結果、手足が動かしやすくなるのです。
先日、脳出血で左片麻痺のあるAさん(60代男性)から、ボトックス注射について質問されました。
「注射して筋肉が柔らかくなるなら、グニャグニャになり過ぎて、力が入らなくならないのかな?」
時々聞かれる、鋭い質問です。
脳卒中の後遺症で筋肉が硬くなっている場合、「収縮しろ」という指令が過度に伝わっていることが要因でもあります。
あるいは、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に収縮してしまい、動きが硬いということもあります。
ボトックス注射の効果は、その”過度な緊張”を弱めるのです。
例えば、麻痺がなく通常の状態での筋肉の硬さを「ゼロ」とします。
脳卒中で筋肉が硬くなった状態を「プラス10」とします。
注射することで、プラス10からゼロへ近づける作用はあっても、ゼロからマイナスへ作用することはないという意味です。
つまり、通常レベルの動きへ戻すというニュアンスですね。
ボトックス注射の効果は、私も感じることがありました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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