現在は女性活躍推進法により、AGC株式会社のように常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となっている。
しかし、AGC株式会社は従業員数が7,000名を超えるにも関わらず、2023年7月末日時点で、自社のホームページにて公表していないのであった。
(参考 本ブログ2023/8/11公開記事)

 

 

その後、発行年月が2023年8月の「サステナビリティデータブック2023」が、「サステナビリティ>報告書ダウンロード」のページにて、ひっそりと公開(AGCホームページのトップページのニュースリリースには公開の旨は非掲載)された。

このデータブックの74ページに「男女の賃金の差異に関する実績」が新たに設けられたものの、以下の情報のみであった。

管理職(課長以上)

管理職以外

2022

98.7%

81.1%

※ 正規社員を管理職と管理職以外に分けたときの差異

 

厚生労働省が作成しているこの情報公表義務に関する周知リーフレット(女性の活躍に関する「情報公表」が変わります)に説明があるが、

「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の区分での公表が必要である。

しかし、AGC株式会社では、「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分で公表していないのである。

 

厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課が作成している、女性活躍推進法に基づく「男女の賃金の差異」の公表等における解釈事項についてでは、問8(12ページ)での(答)になるが、

「男女の賃金の差異」の情報公表は、企業間の比較可能性の観点から、公表区分について、少なくとも、正規雇用労働者、非正規雇用労働者、全労働者の3区分を必須としている。したがって、正規雇用労働者のうち「総合職」のみの「男女の賃金の差異」を公表しても、法律上の義務を果たしたことにはならない。

とある。

よって、AGC株式会社は「全労働者」等この法律で定められた3つの公表区分で男女の賃金格差を公表していないのであるから、法律上の義務を果たしたことにはならないといえる。