今日の新聞ではないですが、たまたま手に取った古新聞がこんなに読み応えがあるとは、改めて驚きました。人の書いた活字を読むことで、こんなにも満たされた気分になるのかと今更ながら新鮮な感動を受け、ますます古新聞を捨てられなくなります。
◾️教育依存のサイクルには飽きがこない。「もっと、もっと」と教育に依存していく「悪性サイクル」だという。
…解けなかった問題が解ける、友達に勝つ、偏差値が上がる、上位のクラスに入る。子どもにとっても快感であり、飽きずに上を目指すには自然の流れとなる。そして必ず限界を迎える子が出てくる。「依存状態では、潰れるまで『次』が襲ってきます。頂点を極めない限り、必ず『もっと上!』という禁断症状が子どもたちや親を待ち受けています。」
…(小児科医・高橋孝雄さんの)アドバイスはいたってシンプルだ。「どうしたらいいかを意識せず、本能的にお子さんと向き合っていかがですか」毎日新聞 2024/7/8 7【教育】
◾️出会い重ね、視野を広く
…実践で覚えたので、大学は基礎を学ぶというより、チャンスを見つける場でした。
学びは自分の知らないことに気付かせてくれて、人を謙虚にしてくれます。学生時代にいろんな人に出会って、さまざまな視点を持つといいでしょう。 放送作家 小山薫堂さん
毎日新聞 2024/7/8 7【教育】
◾️読書って、すばらしい!
…「分かっているつもり」になっているから、思い違いや齟齬といったトラブルが起こる。分かり合おうとするより、伝え合うことのほうが大事だとぼくは思う。読書による追体験は、相手にどう伝えたらいいかの練習だ。この練習をたくさんしている人は、人といいコミュニケーションができる。
会話とはキャッチボールだとよく言われる。でも今のSNS(ネット交流サービス)を中心にしたコミュニケーションは、自分の投球能力を見せびらかす投げっぱなしのコミュニケーションだ。相手のことを想像し、相手のキャッチしやすさなんて考えていない。だから言葉が暴力にもなる。読書は、言葉がどんな力をもつのかを、安全に体験できる機会だと思う。
医師・作家 鎌田 實
◾️毎日ことば 法律には抜け穴が
【呑舟の魚/どんしゅうのうお】----舟をのむほど大きな魚。大物のたとえです。「網、呑舟の魚を漏らす」という法律の網が緩やかすぎて悪の大物を取り締まれないこと。中国の「史記」に出てきて、法よりも道徳による統治が大事と唱えます。
吞舟之鱼,能吞舟的大鱼。常以喻人事之大者。出自:《庄子·庚桑楚》:“吞舟之鱼,砀而失水。”《列子·杨朱》:“吞舟之鱼,不游枝流;鸿鹄高飞,不集污池。”《史记·酷吏列传序》:“网漏于吞舟之鱼,而吏治烝烝,不至于奸,黎民艾安。”
◾️片付けられない人間には、二つのタイプがあるらしい。
在庫があってもさらに買い込みストックする「未来不安型」と、思い出のあるものが今は不要だとわかっていても捨てられない「過去執着型」。私は両方に当てはまると自覚している。
2024/6/20 毎日新聞15
◾️日本に帰ってきていまだに不思議なのは、「保守」な人々が家族を大切にしない、家族と共に過ごす時間を大切にしないことである。彼らが守っていると思っている「家」とは、企業戦士が仕事に身を捧げ、妻は家事と子育てに専念し夫を支える高度成長期特有のシステムである。日本の伝統でも何でもない。「休むこと」が悪いというだけでなく、およそ家族が一緒に過ごす時間がないがしろにされている。夫は家族と一緒に夕飯を食べるどころか、残業か飲み会である。土日は接待ゴルフ。子どもは一定年齢に達すれば、日が暮れるまで部活、土日は部活、そうでなければ塾三昧。結果的に日本の「家族」はどんどん空洞化し、誰も子育てなどしたいと思わなくなってしまった。
毎日新聞 書評 岩間陽子評
学校と日本社会と「やすむこと」保坂 亨著