土方さんが冗談のようにつけた『雪積姫』のあだ名ですが、伊達ではない気がします。
初夏には美味しそうな実を付けていた枇杷は、雪の重みで囲いから飛び出していました。
やがて気温が上がり、雪が雨に代わり雪解けを迎えます。
屋根雪の落雪には十分お気をつけください。
なんて日記を書いていると
ドサドサー
ドーン
いきなりの爆音に、身体がビクッと震えました。
「新八っさん!危ねえだろ!」
「平助こそ屋根下でちょろちょろすんじゃねぇ!おらおら!どんどん落とすぜぇ!」
どうやら永倉さんが屋根の雪を降ろしているようです。
私は筆を置き、庭へ出てみました。
「永倉さん、落ちないように気をつけてくださいねー!」
「おー千歳ちゃん!後で雪合戦でもするか?」
「ふふっ…楽しそうですけど、土方さんに怒られますよ。雪降ろしに集中してください。」
「任しとけ!全部落としてやるぜ!」
「熱いお茶を用意しますねー!」
「おぅ!ありがとな!」
ドサドサと雪が落ちる音を聞きながら、私は勝手場へと向かいました。