枝豆 【SSL】 | 千歳日記

千歳日記

この先にある未来を…

たとえどんな未来でも私は見届けてみせる

最後まで…必ず

私は豆類が大好きです。

大豆、金時豆、小豆、黒豆…秋が深まり冬が近くなると、これらの豆の新豆の季節となります。

加工された納豆も大好物ですが、ひきわり納豆だけは苦手です(汗)

巻き寿司に入ってるなら大丈夫なのですが。





さて、今が旬の豆と言えば『枝豆』です。

枝豆は大豆の若いもので、熟すと大豆になります。

新豆の大豆を塩茹ですると、枝豆に似たフレッシュな味がするのですよ。

枝豆の話に戻りますが(笑)

最近コンビニで、茹で枝豆を買う事を覚えました。





それは剣道部の合宿が行われた日の事でした。

飲み物の買い出しについて行った時、永倉先生が『あった!これ!これ!』とビールと三角形の袋を手にしていました。

「永倉先生、何ですか?それ」

「千歳ちゃんも食べるか?枝豆」

「枝豆!こんなところで枝豆が?

「ずいぶん前から売ってるぜ。夏と言えば、やっぱビールと枝豆だろう?」

「でも…」

枝豆はすごく食べたいんだけど、土方先生は

『飲み物と菓子を買ってこい。アルコールやつまみは買ってくるんじゃねぇぞ。こいつら未成年なんだからな』

と言っていて、永倉先生も

『任せておけって!未成年にアルコールなんか飲ませるわけねーよ』

と言い切っていたハズ。

「これは俺の飲む分、左之助の分。あっ…土方さんには内緒な」

「はぁ」

そして私達は学校へと戻りました。





「千歳おっ帰り~。コーラ買ってきてくれたか?あとポテチ」

「平助…コーラの飲み過ぎは歯が溶けると忠告しただろう。雪村、烏龍茶はあるか?」

「一君それいつの時代の情報?僕は天然水のスパークリング。チョコ、もちろん買ってきたよね?」

「千歳、むさっ苦しい新八と二人で買い出しに行かせて悪かったな。好きなもん買えたか?」

「左之助、つまみも買ってきたぜ!土方さんの居ない内に食っちまおう」

「ビールと枝豆じゃねーか。よし!場所を変えるぞ。こいつらにチクられる前に食っちまおう」

(枝豆いいなぁ…)

なんてぼんやり枝豆を眺めていたら、恒例の怒涛の声が響き渡ったのです。

「新八!てめぇ…ビールにツマミまで買って来やがって!」

「うわっ!鬼土方さんにバレた!」

「誰が鬼だ!ったく未成年にこんなもの見せるんじゃねぇ!合宿が終わるまで没収だ!」

「マジかよ!合宿は始まったばっかりじゃねぇかよ!」

(あぁ…枝豆も没収…)

「ったく…雪村、お前は宿泊は無しだからな。家まで送る。荷物持ってこい…ってどうした?まさかお前までビールを飲むつもりじゃ…」

「違います(汗)私は紅茶とチョコを買って貰いましたから。あのえだ…まめが」

「まめ?」

「いえ!何でもないです。荷物取ってきます!

枝豆が名残惜しいとは、言えませんでした。





帰りの車の中でも、頭の中は枝豆でいっぱいなっていました。

黙りとしている私に、土方先生が声をかけてきました。

「慌ただしくて悪いな。しかし女のお前を泊まらせるわけにいかねぇからな」

「いいえ。日中に皆といるだけで、十分楽しいです♪」

どうやら私の黙りの理由が『枝豆』ではなく『一人で帰された』事だと思っているようです。

(帰りに枝豆買いにコンビニ寄りたいなんて、土方先生には言えない…)

「辛い事があれば言えよ。と言っても女子はお前一人だからな。言い難いだろうが」

「はい。お気遣い有難うございます」

(枝豆買いたいなんて…言えないいえない)

そして『枝豆買いたい』と言えぬまま、とうとう家に到着してしまいました。

「土方先生、送っていただき有難うございました」

「明日また頼むな。やつらに振り回されて倒れないよう、しっかり休んでおけよ。っと…雪村コレ持っていけ!」

「はい?」

手渡されたのは三角の袋。

「あっ!枝豆!」

「お前豆が好きだって言ってただろ?没収した枝豆だが食っちまえ(笑)」

「うわぁ~有難うございます!」  

と言うわけで、私は枝豆を手に入れたのでした。





枝豆は薫と半分こして、御夕飯にいただきました。

(永倉先生ごめんなさい、永倉先生ごめんなさい…)

と呪文のように唱えながら(笑)