皆様は今夜『すとろべりーむーん』と言われる、赤っぽい月が見られる事をご存じでしょうか?
『すとろべりーむーん』とは、年に一度夏至が近い時だけに見る事が出来る、不思議な満月のことです。
六月は梅雨の季節。
晴れて『すとろべりーむーん』が見られる事は珍しいのだそうです。
すとろべりーとは苺のこと。
『すとろべりーむーん』と呼んだ人達が住む地では、六月に苺が赤くなる事から月に苺の名前を与えたようです。
さて、今夜の赤い月ですが、見ると幸せになれるとか。
朝にその情報を得た私は、一番に土方さんに報告に行ったのですが…
「めでたいやつだな。だったら何十、何万、何億かは知らねぇが、世の中幸せな奴だらけになるじゃねぇか。ありえねぇ。」
「でも、何か御利益があるかもしれません。」
「だからめでたいやつだと言うんだ。」
と一笑されてしまいました。
(恥ちゃったな…)
シュンとしながら部屋に戻る私に、土方さんは「おい」と声をかけました。
「月を眺めるのは良いが、今夜は満月だ。それも特殊な。何時も以上に何が起きるかわからねぇ…。くれぐれも部屋から出るなよ。そして襖を開けっ放しにするな。それから…夜更しするんじゃねぇぞ。」
「はい!」
今夜は『すとろべりーむーん』
特別な満月の夜。
たくさんの人が幸せになりますように。