今日はバレンタインデーです!
感謝の気持ちを込めて、『いつもお世話になってますチョコ』ではなく、『いつもお世話になってますチョコクッキー』を焼いてきました。
かなり不恰好で見た目が悪いけど…味は大丈夫です!
えっと…たぶん(汗)
薫が文句いいつつ全部食べようとしたくらいだから、そこそこ美味しいハズです!
それでお世話になっている人にクッキーを配りに行こうと思ったら…
『学園で唯一の女子がバレンタインの菓子を配ると聞けば男子生徒が不用意に浮かれ立ち、学内に混乱を来たす。』
と斎藤先輩にひき止められ
『俺の許しも得ずに、千歳の手作り菓子がただで食べられると思ってるわけ?ふん…片腹痛いね。この俺を倒してからにしてもらおうか…その代わり勝っても失点は免れないよ。』
と薫は黒い笑みを浮かべ…
「はぁ…日頃のお礼を形にしただけなのにな…。こんなにハードルが高くなるなんて、思ってもみなかった。」
クッキーを手に溜め息をついていると、元気な声に呼び止められました。
「どうした雪村君、元気がないようだが…よし!この俺でよければ相談に乗ろう!」
「近藤先生。いえそんな…校長先生に相談事なんて…あっ!そうだ!近藤先生、いつもお世話になってます。これは日頃のお礼の気持ちを込めて焼いたクッキーです。不恰好ですが…よろしければお一つどうぞ。」
「うむ、かたじけない…むっ…これは美味い、美味いぞ雪村君!」
「本当ですか!よかった!」
近藤先生は二つ三つと口にして、嬉しそうに笑っています。
「あぁ…いかんいかん。これから誰かに渡すのであろう。せっかくのクッキーがなくなってしまうな。」
「あっ…えっと…その…お世話になった人達にお配りしようと思ったんですが…その…。」
私は思い切って近藤先生に事情をお話しする事にしました。
「…うむ、そういう事か。確かに女子の手作りの菓子が食べられるとあれば、我先へと混乱が生じるかもしれん。……そうだ!雪村君、いい提案があるぞ!こうしたらどうだ?」
「いい提案ですか?」
近藤先生の提案で、私とチョコクッキーは…その…
今、職員室にいます(汗)。
「ここなら不逞な生徒は立ち入る事が出来まい。やましい気持ちなど無ければ、正々堂々と職員室に来れるからな。はははははっ!」
(確かに…)
「うぉぉぉぉぉぉーーー!!!また負けたーーー!!!」
永倉先生がラジオを聴きながら何かを叫んでて騒がしいけど…
(なんだかわからないけど、永倉先生が一番やましい気がする…。)
「うるせぇ!新八!学内で競馬中継聞くなって何度言ったらわかるんだ!!てめぇの耳は節穴か!!!」
それに対して土方先生が怒っていて、すごく入りにくいかもしれないけど…
(土方先生…無理だと思いますが少し落ち着いてください。疲れている時は甘いモノが一番です。)
「ははっ…またか。ん?美味そうだな。一つもらうぜ……うん、美味い。千歳はいい嫁さんになれるな。」
でも原田先生は他人事みたいな顔で無視しながらクッキーつまんでるし…
(原田先生、止めてあげてください。沖田先輩が登場したら、確実に土方先生の血管は切れてしまいます(汗))
「これはこれは…雪村君の手作りですか。では何か飲み物を入れましょう。土方君はコーヒーでよろしいですか?」
山南先生が何故かフラスコとビーカーでコーヒー入れてるけど…
(もしかしたらそれには例の怪しい赤い液体が入ってたんじゃあ…洗ってあってもなんか嫌だ(泣))
あの…よかったら気軽に立ち寄ってください。
というか、なんだか気まずいので、とにかく誰か来てください!
職員室の隅で静かにお待ちししています。
薄桜鬼学園 一年 雪村 千歳