私の目の前にあるのは先の見えぬ未来
見えぬものは不安を掻き立て、心に暗い影を落とす
えも言われぬ恐怖が私を支配し、立ちすくんでしまう
それでも私は歩かなくてはならない
あの月夜に選んだ道を歩かなくてはならない
月はきっと全てを知っている
私が歩むべき道を知っている
だからその光で彼らを導いたのだ
輝くその光で私を照らし出したのだ
その手から零れ落ちた【をち水】をこの手に戻しておくれと…
【をち水】は月の神が持つという、月の不老伝説に関わる霊薬の事です。
老い嘆き【をち水】を求める和歌が万葉集にいくつか収められています。
本当に月に神がいるとしたら、神は何故人に【をち水】の存在を知らしたのでしょうね。
人はけして神になる事は出来ません。
それでも人は神に近づこうとしている。
物に無理な力を加えれば、必ず歪みが生じます。
その歪みの正体が変若水なのかもしれない…最近そう思うようになりました。
この時代には【りせっと】と呼ばれる便利な機能があると聞きました。
でも人生は最初からやり直す事は出来ません。
失ったものは戻らず、記憶から消すことも出来ない。
あくまでも途中から道を選び直し、再び歩き始めるだけなのです。
だから私はここから歩き出さなくてはならない。
先が見えぬ未来でも、ここから進まなくてはならない。
だから…
だから歩こう あの月夜に選んだこの道を
私の中に浅葱色の風が吹くというのなら
迷わずに先へ進もう 月読が標したこの道を
私の信じる誠を掲げ あの青に向かって ただ真っ直ぐに