昨夜は仕事が終わってから繕いものをしていて、布団に潜り込んだのは子の刻を過ぎた頃でしょうか。
今日は非番、食事当番もないので寝過ごす予定でしたが、何故かいつもと同じ時刻に目が覚めました。
(寒いし、布団から出たくない。)
少し布団の中でまどろんでいましたが、どうやら眠れそうにありません。
朝の慌しい音を聞きながら、私はゆっくりと布団から這い出します。
襖を開け空を見上げると、眼前には薄墨に似た雲が広がっていました。
(今日は晴れないのかな…でも晴れるといいな。お天気がいい方が気分いいもんね。)
東の空には眩しい太陽の光が見えました。
目を凝らしながら空の青を探しますが…雲と白んだ空しか目に入りません。
(そうか…時間が早いと空って白いんだ。)
顔を思いっきり上げたその時、白んだ空の中に白い三日月が見えました。
「昨日は全然見つからなかったのに。」
それもそのはずです。
月はとても気まぐれなのですから。
毎晩同じ表情を見せる事はなく、浮かぶ場所もまるでその日の気分で決めるように変えてしまう。
俯いていては何も見えない
そう月に言われた気がしました。
朝餉をいただいた後、山崎さんに同行して松本先生を訪ねる事にしました。
白んでいた空も、出かける頃には明るい日差しが射し込み、気温も徐々に上がっています。
空を見上げると、真っ青な空にはやはり白い三日月が浮かんでいました。
見にくいかもしれませんが、中央辺りに右にかけた月がある事がわかりますか?
いろいろ努力してみましたが、もばいるではこれが限界のようです(苦笑)
小さな 小さな 白い月
この手に収まるくらい小さな月
あの空へと手を伸ばせば、月は手に入るのでしょうか。
近くて遠い 遠くて近い
あの空へと手を伸ばせば
私が思い描く未来は…いつか手にはいるのでしょうか。
貴方が望む未来は…あの空の向こうにあるのでしょうか。
私はただ黙って、空へと手を伸ばしました。
いつか手に入るようにと
約束が果たされるようにと
失ったものを取り戻せるようにと
ただそれだけを切に願いながら…。