ケーキには夢がある。

可愛い見た目

ひと口食べると、口の中いっぱいに拡がる幸せな気分になれる魔法

食べた人だけが味わえる至福の時

一人でなら、自分だけの特権

みんなでなら、思わず目を見合わせて、目を丸くして幸せの共有、仲良しの集りでも、見知らぬ同士の心もひとつにできる

ケーキにはそんな特別な力がある


もう随分前の話

生前、大の甘党だった父は良く色んなものを作っていた。
ある時は焼き芋、ある時はぜんざい、ある時はホットケーキ、まあそこまでなら判るが、おはぎや石垣饅頭(ダイス状にカットしたサツマイモを混ぜて作った饅頭)桜の葉で包んだ饅頭等、レパートリーは広かった。

ある父の誕生日、兄妹の1番末の妹が父にケーキを買って来てプレゼントした。

父が俺の所に来て申し訳なさそうに言った。

『ケーキは好きで折角貰ったけど、私の口にはどうも合わんばい。
すまんけど、食べかけで悪いけど残りはあんたが食べてくれんかね🍀』

そう言い残して、食べかけのケーキを置いて行った。

チョコレートケーキっぽかったが、食べた感じ、

❓❓❓

なんだこの味は⁉️

一体、どうやったらこんな不味いケーキが作れる⁉️

特に変な匂いも変な(腐敗とかそんな類い)味では無いが、兎に角不味い、ひと口食べるともうフォークが進まない

愕然として、妹に電話して何処で買ったか尋ねて、店名聞いて更に言葉失った

敢えて此処では店名は出さないが、それは某有名洋菓子店

オープン当所はX'masケーキ買うのに行列が出来ていたのに

案の定、それから暫くしてその店は無くなった

少なくとも、お客さんの期待を踏みにじるようなケーキは決して作っちゃいけないと

その時誓った



俺が作ったケーキの中で妹が1番、大好きなチョコムースケーキ



嬉しい事と哀しい事

最近五官の衰えを感じる。

視力は当然、嗅覚も😥

味覚だけは職業柄何とか死守したいが、過去と現在を比較するのは難しい。

先日、出来あがって粗熱の取れたベイクドチーズケーキを某音楽教室にデリバリーした。

丁度ピアノレッスンが終わったばかりの女の子がレッスン室から出て来て、靴を履きながら『なんかいい匂いがするよ?』

先生にそう言って、一人だけの発表会🎵

なんでも、近々発表会があるそうだが、その子は日程的に参加出来なくて今日は一人だけの発表会らしい。運良く観客になれた。

ハコに入っているケーキの匂いに敏感に反応してくれて嬉しかった。

料理やケーキはどれだけ五官にアピール出来るかが勝負!

見ためで食べたいと思えるか?
香りで食欲がそそられるか?
食べた時の食感は?
味は期待以上か?
トータルとして感動はあるか?
結果、又食べたいと思うか?
その気持ちを誰かに言わずには居られないか?

幸せを感じれる、ケーキとはそういうものでなければならない。