上述した事業承継の実需に基づくM&A市場の拡大に加え、最近では、上場企業を対象とするM&A市場も動き始めました。「同意なき買収」の影響が拡がり始めた為です。

まだ件数的には多くはありませんが、その背景となる考え方、つまり、買収提案を受けた場合、経営者には株主利益を考えて当該提案について真摯に検討する責任がある、という(当たり前の)考え方が上場企業に広く浸透し始めたという点で、歴史的な転換点を迎えたように思います(ここでは詳細には入りませんが、経産省や著名弁護士事務所等の有識者が長年にわたって議論してきた成果(「企業買収における行動指針」等)でもあります)。

以前から同意なき買収(当時は敵対的買収と言われていました)は存在しましたが、どちらかと言えば、買い手は短期的なリターンを目的とした(世の中的には悪い買い手と見なされる)ファンド等が多かった為、狙われた上場会社側は防衛ありきで対応策を検討するケースがほとんどでした。

最近の同意なき買収では、買い手はシナジー等が期待できる事業会社やファンドであり、しかも(実質国のお墨付きを得た)「企業買収における行動指針」等に基づいてアプローチしてくる為、以前のように防衛ありきの対応がとれなくなってきた訳です。