M&A取引には、株価や事業の価値を算定し、売り手・買い手等の関係当事者間で合意するプロセスが必要不可欠です。
教科書的な本を見ると、DCFとかマルチプル方式など、テクニカルな算式が詳しく述べられています。これらを学び、算式通りに計算していけば、株式価値がある程度自動的に算定され、関係当事者間の合意も得られるような気がしてきますが、残念ながら、そんなに簡単なものではありません。
大昔は、純資産方式がよく用いられました。会社の資産から負債を引いた純資産が会社の価値を示しているという考え方です。
この方式の大きな問題点は収益性や成長性の違いを反映できない点でした。同じ売上10億円でも営業利益5億円と5000万円の違いがあった場合、それをどのように株価に反映すべきか?同じ売上10億円でも売上成長率30%と0%の違いがあった場合、それをどのように株価に反映すべきか?
M&Aの現場では、純資産価格に暖簾(例えば利益の3年分)を加算するなど、様々な工夫で関係当事者間の合意を目指しました。しかし、小手先の調整では対応が難しいケースが出てきて、そもそも純資産価格がM&Aの取引価格として妥当なのか、と考える人も増えてきました。
このような時代背景のもと、DCF、あるいはDCFのベースにある資本理論を取り入れる動きが出てきた訳です。