一般に、M&Aには資金面や契約上等に係る大きな諸リスクを伴う為、取締役は、M&Aの実施に関する意思決定に慎重にならざるを得ません。従って、大型のM&A、株主等からの監視が厳しい上場会社が絡む案件では、M&Aの検討に関連する法律・会計・税務・環境・バリュエーション(買収価格など)・ビジネス等のそれぞれについて専門家を雇い、アドバイスをもとめることが一般化してきています。専門家とは、弁護士・会計士・環境コンサル、ビジネスコンサル、投資銀行・FA(Financial Advisor)などです。
売り手と買い手はそれぞれの立場で専門家を雇い、交渉を行います。立場の異なる専門家がそれぞれの立場のリターンを極大化すべく、ガチの交渉を行ない、買収条件を合意していくのです。このようなガチのプロセスを経て合意された条件は、フェアである、と理解されています。
一方、仲介の場合は、売り手と買い手双方が合意するであろう条件(仲介案)を双方に提示し、双方の言い分を聞きながら買収条件の合意を目指していきます。
落としどころに近い(と仲介者が判断する)ところから交渉をスタートできるので、より早い合意形成を期待できますが、結果的に合意された条件が、果たして買い手あるいは売り手にとってベストだったのかが不明確になります。
従って、上場会社が絡む大きな案件の場合には、自社の利益の極大化に向けて最善を尽くした、とは言いづらい仲介方式は避けられるようになりつつあります。
少し細かい話になりますが、上場会社(買い手)が大株主(売り手)のいる上場会社(対象会社)を買収する案件などの場合、売り手と買い手以外に対象会社も専門家を雇うのが一般的になっています。対象会社の取締役にとっては、大株主以外の株主に対しても責任がある為です。
専門家が大勢関与することになるので費用もばかになりません。大型案件では、専門家費用だけで10億円単位になることもあります。
それでは仲介だと専門家費用は節約できるのでしょうか?
残念ながら、仲介の場合、仲介者は買い手・売り手双方から手数料を徴収するのが一般的であり、更に手数料率も高く設定されていることが多い為、費用が安く済むケースはあまりありません。仲介業者の儲け過ぎ批判があるくらいです。