麻酔のお話~その1~ | HIROのホリスティックヘルス探究記

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人を「本当の健康」に導きたい!大きすぎる人生目標がある。人は十人十色。みんなみんな違うのに「この方法なら大丈夫」なんてのがあるわけない。どうすればいい?まだまだ探究中。そんな私の探究記録です。

本業は歯医者なのに、歯医者ネタを一回も書いていないので、そろそろ書かなくちゃと思い今日は歯医者ネタで行ってみます。
なんだか歯医者って言うと、イメージが怖いから、「歯医者のHIROちゃん」で歯医者ネタを書くことにします

さて、歯医者っていったら、「怖い」とか「注射される」とか・・・いやーなイメージですよね。
それで足が遠のいている人もきっといることでしょう。

行く必要がなくて行っていない人は良いんですけど (とは言うものの、「もう何年も歯医者に通ってなかったです」と言いながら受診する方で、本当に状態が良い場合は少ないですが)、時々おかしい感じがあったり、何ヶ月かに1回くらいで痛くなるけど、しばらく我慢していると、いつも痛みが無くなるから放っていたりする場合・・・いずれはドカンと来ることが多いです。

人間は個々に反応が違うので、時々おかしい感じがしている人全員が、必ずそのうち痛くなるわけではないです。そういう個人差とか、同一人物でも部位差というものがあることをまずは理解してください。その上で「歯医者のHIROちゃん」を読んで頂き、一つのアドバイスとして受け止めてほしいと思います。


さて、麻酔の話に入ります。
歯医者から足が遠のいている人は、歯医者が嫌いだからでしょう。嫌いな理由は怖いから、痛いから、注射したくないから、ですよね。

怖いというのは、どんなに私たちが努力しても、なくすのは難しいですよね。その方の持つイメージですから。
なるべくそのイメージをなくしたくて、リゾート風の待合室を作ったわけですが、それで万全ではないことは分かっています。

痛いというのは、①麻酔をする時の痛みと、②処置をする時の痛み、③終わって帰宅した後の痛みがあると思います。
③を話すと色々なパターンがありすぎるので①と②について今日はお話します。

麻酔をする時に痛みを感じるのは、麻酔の針を刺す時と、麻酔の液が身体の中に入っていく時の2回がメインです。
針を刺す時の痛みは、「表面麻酔」という、多くはフルーツの香りのついたクリーム状の麻酔を、針を刺す予定の部分に塗ることで回避出来ます。とは言うものの、「塗る」程度では効かないので、5分位はクリームをつけた綿球を置いておく方が良いです。

するとだんだんジンジンしてきます。
「え?これが最新の麻酔なんですか?今はこれだけで麻酔が終わるんですか?」
と、おっしゃる方もちらほらいますけど、残念ながらそんなワケはないです

次がイメージの悪い「針を刺す麻酔」の登場です。

はい、ストーップ

ここからが雑学の宝庫ですよ。

麻酔の液、常温で使うのと、温めて使うのとでは痛みの感じ方が違います。
体温と同じくらいに温めるほうが痛みは少ないです。だから歯科医院ではちゃんと温める機械があるんです。




次は麻酔の針。
1種類しかないと思っていませんか?
何種類もあるんですよ。うちでは4種類そろえています。長さと太さの違いです。歯科では主に27G(ゲージ)、30G、31G、33Gという太さの物を使用します。どれが一番太いでしょうか?


数字が小さい物が一番太いです。

左から順に33・31・30・27Gです。見にくいですが、少しずつ長く、太くなっています。

一番右の太くて長いのは、親不知を抜く時など、限られた時にしか登場しませんのでご安心を。親不知を抜く時も私はこれは使用せず、右から2番目のものでやってますが、十分効きます。

細い針が刺さる方が痛みは少ないだろうなという予測は付きますよね。

その通りです

「じゃあ細い針だけでいいじゃん。痛いの嫌だもん。」って思いますよね。


あま~い


人間の顎の骨は全てが同じ厚みではありません。密度も違います。
厚みがあって緻密なのは下顎の奥歯のあたりです。一番骨が軟らかいのは上顎の奥歯のあたりです。ただし人によっては厚みがあることもあります。前歯の骨は上下とも薄いです。硬さはどちらかというと下の方が硬いです。
骨が厚くて硬いところは麻酔が浸透しにくいので、ある程度の深さまで針を入れてしっかりと麻酔の液を作用させないと効きが悪くなってしまいます。


効きが悪くて、治療途中で「痛い」と一度感じてしまうと、そのあとに麻酔を追加しても、最初にしっかり打つ時よりも効き目が悪くなります。後に出てきますが「痛みの閾値(いきち)」が下がるからです。なので、麻酔液の量も最初にある程度多めに入れておく方が歯医者としては安心です。

それとは別に、「痛点」という痛みを感じる点があちらこちらにあるのですが、口の中では、この痛点が前歯に多くあります。「この前奥歯に麻酔した時には痛くなかったのに、今日の麻酔は痛かった~」という感想を、特に前歯の麻酔の後に聞くことがありますが、これは痛点の数が奥歯より前歯に多いから、です。
だから、骨が薄く、密度もそんなに高くなく(骨の条件としては麻酔が効きやすい、ということです)、しかも痛点が多く痛みを感じやすい前歯には、なるべく細い針を使うことで物理的な痛みを軽減でき、骨の条件上、麻酔は細い針でも問題なく効いてくれるという事になります。


では下顎の奥歯以外は細い針で良いか、と言うと、そうでもなく、レントゲンでないと見えないところですが、歯の根っこの長さと本数、形によりやはり効きやすいところと効きにくいところが出来てきます。

ですので針の選択はその先生のセンスと判断に基づくようになりますね


でも、麻酔をする時の痛みはほとんどが、針を刺す時ではなくて液が体内に入っていく時に感じるものです。

通常身体は弱酸性。
麻酔の液はアルコールなのでアルカリ性。

酸性の中にアルカリ性が入っていくので刺激があり痛みを感じます。


この痛みを軽減するためには・・・「酸性とアルカリ性をゆっくりなじませる」

つまり麻酔の液をゆっくり注入すれば痛みも少ないわけです。
麻酔液のコントロールは、人間の手でも出来ます。
でも、コンピューター制御された麻酔器を使用すれば、一定量の麻酔液を一定の時間をかけて注入していく事が容易にできるのは確かです。


こんな風に今の歯科医院は色んな工夫があって、痛みの軽減に取り組んでいますので「昔」のイメージが強い方は、「今」を体験するとずいぶん違うかもしれないです。


ただし

行きたくなくて放置してしまい、もう痛くて仕方なくなって歯医者に駆け込むとか、腫れてしまったから歯医者に行くとか・・・ドカンと来てしまってから歯医者を受診する場合

こういう場合は、最も経験したくないパターンに陥ります。


今まで話した「今」の歯医者の工夫なんて一つも感じられないことでしょう。


先ほど、通常は組織は「弱酸性」と言いました。

痛くて仕方ないとき、腫れている時、つまり、急性の炎症がある時には、組織は「めちゃくちゃ酸性」です。そこにアルカリ性の麻酔液を入れても、酸+アルカリ=中和が起こり、麻酔の液なんて体内に入らないのと同じになります。

効きません。

痛いです。

しかも、もともと痛みを感じている時は、「痛みの閾値(いきち)」というのが低くなっているので、少しの刺激に対しても、ものすごく痛く感じてしまうんです。


でも急性の痛みです。
急性の時こそ西洋医学が主役。一番役に立つ時です。


何度も涙を見てきました。やる方も嫌ですが、やらなかったらもっと炎症が拡大しますので、やらざるを得ないことは多々あります。麻酔が効いていないのは分かっているけれど、処置しなくてはいけないんです。


炎症の初期なら投薬で効いてしまうこともありますのでね。毎回「怖い歯医者」になっているわけではありませんから、誤解のないようにお願いします

行きたくない⇒我慢⇒腫れる⇒麻酔効かない⇒痛い⇒歯医者怖い⇒また放置⇒また痛くなる・・・

という悪循環に陥らないように、早めの受診をお勧めします

口の中だけでなく、身体のどこかに痛みやかゆみ、つまり炎症がある時には、同じく身体は酸性になっていますので麻酔は効きにくいかもしれません。
あとは、お酒に強い人。
アルコールを容易に分解してしまう人も麻酔は効きにくいです。

寝不足や疲れがある時、甘い物が好きで砂糖を良く摂取している人、も、酸性体質ですので「お酒は強くないのに麻酔が効きにくいんです」という方は、こんな所に原因があるかもしれません。


痛くなる前に歯医者に行きましょうね