先日のアメリカで、牛40頭が脱走した件です。
アメリカ・カリフォルニア州の食肉加工工場から40頭の牛が逃げ出しました。
しかし、1頭は射殺され、38頭は捕まり工場に戻されました。
最後の1頭は、長時間逃げましたが、最後には捕まりました。
昨日のカリフォルニア屠殺場から逃げた40頭の牛達。生き残るために走った
— Eugene_Vegan (@eugene_vegan) June 25, 2021
最後に残された牛がサンクチュアリに引き取られる事になったとのこと。
ただ一頭だけ、他の仲間は屠殺送り。
悲しいけれど一つの命は救われた。#endspeciesism #animalrights
📷thesavemovent pic.twitter.com/m5d5yDsQ5q
ですが、この子は幸運にもサンクチュアリに引き取られることになりました。
サンクチュアリに着いたときの映像です。
家畜の証、牛を識別するための耳標(418)がついています。
この子は、june B free と名づけられました。
この件は、これで終わりと思っていましたが、なんともう1頭、さらに遠くに逃げた子がいたようです。
先日のLAの屠殺場から逃げた牛達
— Eugene_Vegan (@eugene_vegan) July 2, 2021
もう一頭自力で生き残り19キロ離れた公園で発見された。
そして無事にサンクチュアリへ、先に助かった一頭(june B free)と再会
日本でさえ牛の屠殺1日3000頭
なので助かるのは奇跡
8日間も走っていたことになる。
生きる力 https://t.co/iaf37P7ZHE
8日もの間、生きるために走ったこの牛は、
牛肉のために殺されることなく、サンクチュアリで余生を過ごせるという奇跡を勝ち取りました。
そして、先に到着していた、june B freeと再会しました。
日本ですら、1日3000頭も殺される牛。
畜産動物と呼ばれる動物達が、寿命を全うできることがどれだけ奇跡的なことか。
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牛の寿命は20年ほどと言われていますが、肉用に飼育される牛は2年から2年半ほどで出荷、と殺されます。
霜降り肉がもてはやされる日本では、肉牛の多くは牛舎内で一生のほとんどの時間を過ごしており、
特に肥育後期にはより太るよう濃厚飼料が多給され、
生後1年以上の肥育牛の約90%は、放牧場や運動場に放されることなく(2009年畜産技術協会調査)、
出荷されるまでの期間を牛舎内で過ごします。
肉牛のオスは、性質をおとなしくさせ牛同士の闘争を防ぐため、やわらかい肉質にさせるためなどの理由で、去勢されます。
生後2か月ほどで腹腔から睾丸が降りてくるため、去勢はそれ以降に行われます。
皮膚を切開して、精索と血管を何度か捻りながら、引いてちぎるという去勢が多くの場合麻酔なしで、獣医師ではなく肉牛農家自身の手で行われています。
肉牛は、一般的には囲いの中で放されていますが、鼻環でつないで飼育しているところも多くなっています。
牛にとって鼻は敏感に痛みを感じる部分です。
鼻環は、敏感な部分を刺激して牛を扱いやすくするために、生後3ヶ月くらいで専用の道具でつけられますが、その際牛は痛がります。
鼻環は肉牛の84%で実施されています(2009年畜産技術協会調査)
耳標(個体識別番号とバーコードが書いている耳に付ける黄色いフダ)は、
牛のトレサビリティ法(追跡調査ができるようにする為)により、必ず両耳につけられます。
生後2ヶ月くらいで子牛検査(登録)のさいに着けられますが、この時も子牛は痛がります。
牛に限らず畜産動物へのこういった外科的処置は、基本的に麻酔なしに行われます。
牛は忍耐強いと言われる人もいますが、牛が忍耐強さを示すからといって痛みを感じていない証拠にはなりません。
動物福祉の専門家ジョン・ウェブスター教授は「牛や羊が忍耐強さを示すのは、自分の負った打撃や苦痛をライオンなどの捕食者に悟られないようにしているからだろう」と言っています。
傷を負った姿を知られると、たちまち捕食者に狙われてしまうからです。
牛の性質をおとなしくさせる、飼育者が怪我をするのを防ぐといった目的で、
角の切断(断角)か、角を根元から焼切る除角が行われます。
角の表面は爪と同じで硬くて痛みを感じませんが、角の中には神経と血管が通っており、
角の切断の際には、血が噴き飛ぶこともあり、断角・除角は牛に大きな痛みを与えます。
角の断角・除角は肉牛の約50%に実施されており、そのうち80%以上は麻酔なしで行われています。(2009年畜産技術協会調査)
筋肉繊維の中へ脂肪を交雑させるために、脂肪細胞の増殖を抑える働きのあるビタミンAの給与制限が行われます。
ビタミンA欠乏が慢性的に続くと、光の情報を視神経に伝えるロドプシンという物質が機能しなくなり、重度になると、瞳孔が開いていき、失明に至ってしまいます。
信濃毎日新聞記事より、以下一部抜粋(2011 年6 月11 日付)
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その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。
黒目は焦点が定まっていない。
ほかの牛と体をぶつけることも多い。
「盲目の牛です」。
ステーキなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の50 代の男性農家が打ち明けた。
「おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう」と男性。
飼育中の約130 頭のうち、1 頭が完全に目が見えず、10 頭弱は視力低下が進んでいる。
こうした牛も人体への影響はまったくないとされ、普通に出荷される。
盲目になるのは、肉に「サシ」と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄養が偏ってしまうことが原因だ。
和牛の価格は、サシの入り具合で決まる。
多くの農家の目標は、高値で取引される細かなサシが入った「霜降り」の牛を育てることだ。
そのため、農家は生後約1年半から数カ月間、ビタミンを多く含む牧草などの餌を抑え、穀物が中心の飼料で太らせる。
これがサシを入れるために欠かせない技術とされる。
「霜降り」という日本の食文化を支える生産者の知恵だ。
しかし、ビタミンは、視力維持に必要な成分。
欠乏がひどくなると盲目になりやすい。
足の関節が腫れて歩行に障害が出る場合もある。
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憶病で繊細な生き物を苦しめなくても、私たちはもっと、牛とよりよい穏やかな関係を築けるはずです。
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これが牛肉になる牛たちの真実のほんの一部です。
感謝すればいいとか、いただきますに意味があるとか、そんな表面的な言葉で正当化できることではありません。
人間は肉を食べなくても生きていけます。
美味しいという欲のために、牛たちを苦しめるのをやめましょう。