菜食ですべての栄養素がまかなえることは、ここ最近、数多くの栄養士の方から聞かれるようになりました。
カナダでは、2019年に政府が食事ガイドを更新しています。
見てもらえば分かる通り、植物性のものを取ることを、国が勧めているんですよ。
乳製品は完全に排除され、肉や卵もかなり存在感がなくなりました。
菜食が体に悪いのであれば、カナダは自国民を殺しにかかっているんでしょうか?
私を含め、世の中の菜食の人たちは、必ず体調を崩すのでしょうか?
そんなわけがありませんね。
このガイドは、世界で初めて、業界に忖度を行っていないものとして、賞賛されています。
なぜ今まで、肉・卵・乳製品ばかりがガイドにのせられていたかというと、畜産業界の力に左右されていたからです。
国やテレビによって洗脳され、肉や卵を食べなければタンパク質不足になる、牛乳を飲まなければカルシウム不足になる、と思い込まされている国民は一体どれだけいるのでしょう。
とはいえ、菜食に慣れていない人が、勉強をせずに始めてしまうことにより、体調を崩す例は実際にあります。
なので、今日は菜食の基礎知識となる動画を紹介します。
動画の右の女性は、山崎ゆかさん。
カナダに留学し、大学で栄養学を学び、首席で卒業された方です。
留学中は、youtubeもされていました。
ヴィーガンになって4年以上。
菜食におけるバランスのとれた食事を、動画で解説しています。
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菜食が気をつけたい栄養素
一般的な食事では、主に3つの栄養素 タンパク質、鉄分、カルシウム を
ホールフードなどの、あまり精製されていない、加工されていない食品を取るようにすれば、他の必須栄養素もとれる。
菜食は、さらに3つの栄養素 ビタミンB12、オメガ3、ビタミンD にも気をつける。
なので 菜食は
①タンパク質 ②鉄分 ③カルシウム ④ビタミンB12 ⑤オメガ3 ⑥ビタミンD
の6つの栄養素に気をつけて、食事を行う。
① タンパク質
一般的な食事であっても、人間が摂取しているタンパク質の65%は、すでに植物性のものから摂取している。
なので、菜食に切り替えたときに、動物性の食材を抜くのではなく、その分を植物性の食材に切り替えれば、残りの35%は簡単に補える。
野菜はタンパク質の摂取源ではないと考えている人が多いけど、知らないうちに野菜や果物や穀物からタンパク質が取れていることが多いので、皆が思っているほどタンパク質に目を向ける必要はあまりない。
普段から十分な量、お腹いっぱいになる量をしっかり食べて、バランスよく食べていれば、気にする必要はない。
菜食を始めて、タンパク質不足になった人は
単純に食べる量が足りていないということや、
野菜中心の食生活になっていて、豆腐や豆などの他の食材を食べていない、ご飯を白米のままにしているなど、肉や魚を抜いただけの食生活になっている。
今までの食事量と同じ量を食べているだけだと、菜食ではカロリーが低いので、お腹いっぱいまで食べるということが大切。
<タンパク質の豊富な食材>
枝豆、 豆腐、 大豆ミート などの大豆製品。
レンズ豆、 小豆 などの乾燥豆。
キヌア、 オーツ麦、 蕎麦、 玄米 などの全粒穀物。
ごま、 カシューナッツ、 アーモンド などのナッツやシード。
焼きのり、 わかめ、 昆布 などの海藻類。
その他、インゲン豆、 グリーンピース、 さやインゲン、ブロッコリー、 ほうれんそう、 ケール、 キャベツ など。
② 鉄分
菜食に含まれている鉄は、非ヘム鉄 という鉄で、動物性に含まれる ヘム鉄 という鉄よりも 吸収率が低い。
一緒に食べるものによって、吸収率が上がったり、下がったりする。
非ヘム鉄の吸収率を上げる方法は
ビタミンCやクエン酸が含まれている食材と一緒に取る。
例えば、サラダを食べるときにレモン汁をかけたり、梅干しを一緒に食べたり、キャベツのサラダを一緒に食べたりすればよい。
豆類や穀物は、しっかり浸水して、よく炊いてから食べる。
料理に、にんにく、たまねぎなどの有機硫黄化合物が含まれている野菜を取り入れると、非ヘム鉄が吸収されやすくなる。
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ココア、赤ワインなどの、ポリフェノールが含まれている飲み物ものは、鉄の吸収を妨げるので避ける。
<鉄分の豊富な食材>
大根の葉っぱ、 小松菜、 インゲン菜 などの葉野菜。
切り干し大根。
大豆製品、 レンズ豆、 小豆。
キヌア、 オーツ麦、 蕎麦。
ごま、アーモンド。
焼きのり、 青のり。
※ ほうれん草は、シュウ酸が入っていて鉄分吸収しにくい。
※ ひじきは鉄分測定のときに、鉄なべを使っていただけで、ひじきには鉄分は少ない。
③ カルシウム
牛乳が体に合っていない話、カナダが食事ガイドを更新した話が、ここでも登場。
骨粗鬆症予防や、成長のために
カルシウムを摂るだけではなく、カルシウムをとどまらせるために、習慣的にエクササイズをするのが大事。
エクササイズをして、骨に負担をかけることで、骨密度が増える。
アルコール、カフェイン、塩分の摂りすぎや、喫煙 を避けることにより骨は丈夫になりやすい。
動物性のタンパク質も摂取すると、カルシウムを体の外に流れ出しやすくしてしまう。
菜食にすると、カルシウムの摂取量は減るが、体から出る量も少なくなるので、バランスはとりやすくなる。
<カルシウムの豊富な食材>
野菜は、切り干し大根、大根の葉っぱ、モロヘイヤ。
海藻は、ひじき、こんぶ、わかめ。
大豆製品は、油揚げ、高野豆腐、大豆ミートなど全般。
豆類は、小豆、インゲン豆、ひよこ豆。
ナッツ・シード類だと、ごま、チアシード、アーモンド。
④ ビタミンB12
一般的に、肉、魚、貝などから摂れると言われているが
本来はそれらに含まれているのではなく、自然界の水や土の中にいる微生物が作り出している。
肉に含まれるのは、家畜がビタミンB12を含んだ植物を食べているから。
昔は衛生管理されていなかったため、飲み水や植物にも含まれていた。
今は良くも悪くも、衛生管理されているため、飲み水が綺麗になり、土壌汚染により微生物の数が減ってしまい、植物にはビタミンB12は含まれなくなった。
なので最近では、家畜の飼料であるトウモロコシ、大豆、穀物にも、ビタミンB12が入っていないため、家畜もビタミンB12不足になる。
そのため、ビタミンB12をサプリで与えたり、飼料に混ぜられている。
つまり、現代の肉食をしている人たちは、そのビタミンB12か、エナジードリンクのビタミンB12を摂っている。
自然由来のビタミンB12はほとんどない。
菜食で、ビタミンB12を摂る方法は
1000マイクログラム入っているサプリを、週に2回飲む。
ニュートリショナルイーストを、1日おおさじ1杯。
マルチビタミンB12かいわれを、1日 1/3~1/2パック食べる。
など。
⑤ オメガ3
DHAやEPAは、魚から摂らなくても、オメガ3のα-リノレン酸を摂っていれば、体の中で作り出せる。
<α-リノレン酸の豊富な食材>
えごま、えごまオイル、亜麻仁、亜麻仁油、チアシード
オイルの場合は、1日小さじ1杯~大さじ1杯。
シードの場合は、1日大さじ2杯。
オメガ3は酸化しやすいので、加熱をせず、直射日光にあてないように、調理・保存する。
⑥ ビタミンD
日光浴、天日干ししたキノコを食べる、サプリにより補給する。
ビタミンDはまだまだ分からないことが多い栄養素で、何をどのくらい食べればいいかといったはっきりしたことは分かっていない。
日焼け止めをせずに肌を日光にあてる。
天日干ししたキノコは、3時間ほど日光にさらしたものを1日10g程度とる。
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菜食でもバランス良く食べれば、栄養不足に陥ることはありません。
ポイントは、ホールフーズを中心に、上記の栄養を摂ることを意識して、お腹いっぱいの食事をとることです。
菜食は、タンパク質不足が不安と感じる方が多いようですが、バランス良く食べていれば、タンパク質不足にはまずならないということですね。
これに関しては、ヴィーガンの管理栄養士さんのこちらの記事もご覧になるとよいと思います。
タンパク質ではなく、どちらかというと、鉄分不足、ビタミンB12不足の方が懸念されるので、菜食はそちらの意識が必要です。
菜食は正しく行えば、栄養が摂れるだけでなく、病気のリスクが下がります。
動物性のものを食べていると、ガン、心疾患、糖尿病などのリスクがありますが、健康的な菜食はこれらのリスクはかなり下がります。
(ただし、偏った食事、添加物まみれの食事、ジャンキーな食事を行い続けている場合は、健康的な菜食ではない。)
TOKYO VEG LIFEさんが、動画で菜食の始め方や
菜食料理の作り方を上げられています。
健康に配慮した料理となっているのが特徴です。
代替品から入りたい人は、アビーさんの動画が参考になります。
キャラクターのおもしろい、シングルマザーな、ヴィーガンのアビーさん。
かなりクオリティの高い代替品の料理を紹介されています。
こちらは、ヴィーガン料理のレシピを一般人が投稿する「ブイクック」。
ここで、料理を検索してもよいと思います。
動物が好きであれば、菜食をすれば、動物をかなりの数、救うことができます。
おまけに、畜産による環境破壊も防ぐことができます。
健康的な菜食であれば、病気のリスクも下がります。