ペーパームーンを観ました。
映画館で観ました。
(基本ネタバレ気にせずに書くので、これから見る方はご注意ください)
映画好きの方なら一度は観てるかも知れないです。
わたしは昔、ほんとに昔、
多分学生の時に一度観ていて、もしかしたらその後もう一回くらい観ていて
でもほんとに昔なので内容あんまり憶えてなくて(←)
ぼんやりした感じで観始めました。
ペーパームーンは名画と思うけど、
超大作じゃないところがまず好き。
それで前に観た時はアディ(テイタム・オニール)の事ちっとも可愛いと思わなかったけど、
今回本当に可愛いと思いました。
年取ったんだね、アディの気持ちがほんとにわかるようになってた、わたし。
(注:妄想ですが)
本とかもそうだけど、映画も何年か経ってから読んだり観たりすると
ほんとに自分の成長というか、
ある程度のストーリーがわかって観ると、背景とか小物とか見る余裕も出てきたり、
(可愛いのよ)
自分の内面に対する気付きがあって楽しいですね。
物語はアディっていう9歳の女の子が事故でママを亡くして、
そのお葬式のシーンから始まります。
参列者はアディと牧師さまとママの友人か隣人と思われる女性2人だけです。
そこで、なんとなくこの子はさみしい子なんだな、ってわかります。
そこに車が走ってきて、男の人が降りてくるんだけど、
この人がこの後アディをたった一人の身寄りである伯母さんの所まで送り届ける事になる
詐欺師のモーゼ。(ライアン・オニール)
モーゼはご主人を亡くした未亡人の所に行って
「旦那様に注文受けてました」と言って聖書を売りつけるっていうつまんない詐欺をしていて、
おそらく新聞の死亡広告なんかを見てカモを探してるんだと思うんだけど、
それ見て昔の恋人だったアディのママが亡くなった事を知って
気まぐれに立ち寄ったんだと思うんですよ。
でも、お葬式に参列してくれるなんて、アディを押し付けるにはもってこいなわけで
「アゴが似てるから親子じゃないか」とかみんなで寄ってたかって言って、
結局あんたが引き取れないなら、伯母さんのとこまで送ってあげてよ、
ってなっちゃうわけです。
でもこんなつまんない詐欺師のテキトー男ですから子どもの面倒見るなんて
まっぴらゴメンです。
お金もないから、事故の加害者の所に行って(これも新聞で見たんでしょうね)
200ドル脅し取ります。
それをしっかり見ているアディ。
その後、そのお金で車と汽車の切符を買い、アディを汽車に乗せようとすると
アディに
「200ドル返して」って言われます。
モーゼは200ドルは自分が交渉して貰ったものだし、
自分がいなければ取れなかったお金なので自分のものだと主張しますが、
(車も買っちゃったし……)
アディは絶対に引きません。
結局、一緒に旅をする事になります。
この時、アディはどうしてあんな事いったのかな、っていうと、
子どもだから一人で汽車に乗るのがイヤだったのかな?
っていう考えもあるかもしれませんが、
わたしはアディがモーゼを気に入ったからだと思いました。
自分のパパかも知れない、って強く感じたんです。
だってアゴが似てるから。
大人は子どもの前で不用意に適当な事言っちゃダメですよ。
子どもはちゃんと聞いてるし、ものすごく色んな事感じてますからね。
アディはモーゼをパパかも知れないって感じていますが、
モーゼはそんな事はこれっぽっちも思っていないので二人の間には温度差があります。
モーゼが少しでもアディに優しくしてくれたらアディはもっと素直になれたかと思うんだけど、
モーゼってほんとにクズでね、
大悪党ではないんだけど、まったくもってガキで、ひとの気持ちなんて
全然わかんない人間なんですよ。
それでアディはいつもこんな顔してるんです。

ほっとくと男の子に間違われるので無理矢理リボンをつけられるアディの図。
アディはほんとに頭が良くて、
モーゼを見てたらモーゼがどんな仕事をしているのか聞かないでもすぐ理解したし、
言われなくても片棒も担ぎ、
詐欺の仕事も、手伝えばモーゼよりも利益をあげるという始末。
でも、やはりリスクのある仕事ですから、
色々とピンチもあります。
お色気も若干あります。
まぁ、ボンキュッボンが出てくるくらいですけど。
映画の中で、カーニバルのシーンがあって。
あれってカーニバルっていうのかな?
ビッグにも出て来たみたいな、サーカスじゃないんだけど、
広場に沢山のテントがあって、その中で見世物してたり、
綿あめ屋さんがあったりして。
んー? 移動遊園地?
でも遊園地にストリップ小屋ないよね。
とにかく、
そこに写真屋さんがあって、紙でできた大きなお月様がぶら下がってて、
そこに腰かけて写真を撮ってくれる。
アディはそこでモーゼと一緒に写真を撮って貰いたかったんだけど、
モーゼはストリップ小屋に連続で入るのに忙しくて(確か5回連続入った)
写真屋さんに行ってくれなくて
結局アディは一人で撮るんです。
最初にこの写真やさん見つけた時にアディは一人で写真撮ってて、
写真が出来上がった頃に取りに行くんだけど、
その時写真屋さんは「パパと撮るんじゃなかったのかい?」なんて聞いちゃう。
ああ、アディはパパ連れてくるってきっとうれしそうに走って
モーゼを探したんだろうなーってわたしは妄想しちゃう。
でもモーゼは…(小屋)
だからアディはいつもしかめ面。
期待しちゃうと、期待が外れてしまった時は何も思ってなかった時より
二倍も三倍も悲しくなっちゃうもんね。
ほんっとわかる。
色々あるけど、最終的にモーゼはアディを伯母さんの家に送り届けます。
くずぐすしているアディを行け!行けってば!と似ているアゴで促すモーゼ。
テイタム・オニールってこの映画でオスカー(助演女優賞)受賞するわけだけど
もうね、ほんとにすごいです、演技。
演技に見えないから。
そして子どもに見えるけど、中の人は大人です。
続けます。
伯母さんの家のドアをノックすると、優しそうな伯母さんがアディを迎えてくれます。
事前に電報で知らせた日より何日も遅れたので、心配していたようすです。
家の中に入ると、ピアノもあって
(伏線として、途中でアディがピアノに憧れている様子が描かれています)
穏やかで平和な毎日を送れるような感じです。
一方モーゼは、ほぼ一文無しで、途中のもろもろの事情から車も超ポンコツのトラックだし、
商売道具の聖書ももう無いし、さてどうしようかなー、ま、また気楽にやってくか、
と覚悟を決めたような顔してます。
ふと見ると運転席と助手席の間に封筒がはさんであって、
これはアディが車を降りる時にそっと置いて行ったものなのです。
封を開けると、カーニバルで撮った写真でした。
ひとりでペパームーンに座ってます。
さみしそうな顔に見えます。
ああ、あの時一緒に撮ろうって言ってたっけな、撮ってやればよかったかな…
(やんぷぅの妄想)

ま、いっか!
これからまた楽しくなるぞー、いぇーい、と奮い立たせて出発しようとして
ふとバックミラーを見ると、そこにはアディの姿が……
なんで来たし!!(やんぷぅ心の声)
アディとの別れで少ししんみりしていたモーゼは、思わずトラックから飛び降りて、
その姿をみたアディはぱぁっと笑顔になるんだけど……
モーゼは子どもだから、さっきまでは寂しかったけど、
ふと冷静になると「うわ!なんで来たし!めんどくさ!」って顔をしてしまいます。
頭のいいアディはその顔を見て、モーゼの気持ちを理解してしまい、
寂しそうな顔になります。
次の瞬間、また大人みたいな顔をして、
「まだ200ドル貸しよ」って言います。
帽子を叩きつけてくやしがるモーゼ。
まったくどっちが子どもだかわかりゃしない。
その時おんぼろトラックが勝手に動き出してしまい、
ふたりは走って追いかけて乗り込み、
なし崩し的にそのまま旅を続けるのかな……
THE END
という感じです。
今回はなんかこんなにあらすじ(やんぷぅの主観だらけ)書いちゃいました。
なんというか、とにかくこの映画はアディ役のテイタム・オニールの
演技力に尽きると思います。
ほんとにうまいです。
子役として、とかそんなんじゃありません。
子役特有の、と言ったら語弊があるかも知れませんが、
みんながみんなじゃないけど、
「わたし、すぐ泣けるんでー」的な事を演技力という人がいるけど、
そんな演技力じゃないです。
そこにいるのは子役じゃなくて、ひとりの女優です。
この時点で演技の経験はほとんど無かったらしいので、
本当に才能がある人だったんだと思います。
映画の中では、モーゼとアディは本当の親子かどうか、という事については
語られていません。
でも、本当の親子で演じる事で、見てる側は親子感を感じます。
だってほんとの親子ですから。
似てますもん。 アゴだけじゃなくて。
映画の中では親子か親子じゃないか、という事はそんなに大切な事じゃないんだけど、
アディがモーゼをパパかな? パパだったらいいな、って思って、
観てる側も親子なんじゃない? 本当のパパなんじゃない? って感じる事が
狙いだったんじゃないのかな。
もしかしたら最初スタッフはアディ役にそんな演技力は期待してなかったんじゃないか、
とさえ感じます。
主役はモーゼだし。
でもふたを開けてみたら!
何ていうのかな、もう後姿でさえ、この子は今ガッカリしてる!ってわかるんです。
歩き方で、今うれしいんだ?!ってわかるんです。
映画の中で、モーゼを騙すためにウソつくんだけど、
その時は本当に『演技してる』って感じを出してるんです。
ほんとにラストで、最初モーゼに追いついて安心して喜び、
次の瞬間ガッカリして、そしてまた大人びた顔になる。
その感情が見事に顔の表情に表れているんです。 大袈裟じゃなく。
実生活ではこの後、アカデミー賞にノミネートされた時、
よくわからないけどライアンに殴られたりしたらしいです。
嫉妬でしょうか。
実際、この映画を見るとどっちが主役かわかんない程にテイタムが輝いてるし、
もしアディが主役でこの映画を作ったら、
ライアンは助演男優賞とれたかも、って思ったりします。
ただ、最初にテイタムが主役でライアンが脇です、って言われたら
ライアンはこの仕事受けなかったかも知れませんしね。
ライアンと一緒だったからテイタムがこんな演技できたかも、と思うと、
何が正解だったのかはよくわかりません。
ただ思うのは

ポスターでは二人で写真撮れて良かったな、って事です。
(アディは喫煙者です)(9歳)