『自由』とは『選択する権利』である。


シーク教のインド人を親に持ち、アメリカで育った著者。

シーク教の教えに従って着るものまで決められていた著者が、アメリカに移住し「選択こそ力である」という教育にふれ、両極端の文化を体験する中で、

『選択』そのものに興味を持ち、『選択』の力、人とのつながりを様々な実験と検証を繰り返し、科学した一冊。


「選択の科学」の画像検索結果 著者:シーナ・アイエンガー氏




■『選択』できることは長生きにつながる...


「理想的な食事、安全が保障されているにも関わらず、動物園にいる動物の寿命は、野生の動物に比べて短い。」


「高プレッシャーにさらされているはずの社長の平均寿命は、ブルーワーカーよりも長い。」


という実験結果がある。


自分で状況をコントロール出来ない状態が、本質的に不快で、ストレスを引き起こし大きな違いを生む。

実際に、仕事上の裁量の度合いが小さければ小さいほど、勤務時間中の血圧は高くなることが明らかになっている。


→コントロール出来ない環境は、動物の満足度、成果、寿命に深刻な影響を与える。

→逆に自己決定権があると、意欲的かつ持続的に取り組み、満足度、成果も高くなる。


最も重要なのは、自己決定権の『大きさ』ではなく、その『認識』にある。


〈面白い実験例:下記参照 ①老人ホームでの実験>


           

■ただ、その『裁量』に関しては国民性や文化の違いで大きく変わる...


<シールドエアー社の実例>

アメリカ工場で、自主的に製造目標を設定し、達成する自己責任を与えたところ、非常に良い成果が生まれ、満足度も高かった。

それをラオス、カンボジアに導入したところ、大幅に成果と満足度を落としてしまった。

個人主義のアメリカと、集団主義のアジアでは捉え方が異なるため、同じ自己決定権の大きさでも認識が異なる。


→自己決定権の認識によって、取組み方、満足度、成果が大きく変わる。

最高のパフォーマンスを引き出すために、相手を理解し、裁量を考えることがマネジメントには必要である。


〈面白い実験例は下記参照〉アジア系とアメリカ系の認識の違い




■人間の処理能力の限界


選択肢を増やそうとするのは動物の本能である。

それが良いことだと思い込んでいる


その中で、最も興味深い実験が『ジャムの実験』である。


スーパーマーケットでジャムの試食を行った。

並べる種類を24種類と6種類で実験したところ、

24種類のときは、買い物客の60%が試食に立ち寄ったが、6種類の時は40%しか立ち寄らなかった。

しかし、6種類の試食に立ち寄った客のうち30%が購入したのに対し、24種類の場合ではわずか3%しか購入しなかった



同様な多くの研究からも、選択肢が多いと満足度や充足度、幸福度は低くなることが証明されている。


この考え方で『少ないことは良いこと』だと経営方針を転換し成長したのがP&G(製品ラインナップを26から15に絞り売上を10%伸ばした)。


豊富な選択は必ずしも利益につながらない



人間の処理能力の限界は7つまで


8以上の選択を迫られると人間は冷静な選択出来なくなり、選択後の満足度や充実度も低下する。




選択肢が増え続ける現在、求められるのは、

いろいろな要素を単純化、優先付け、分類、パターン化する方法を学び、混沌とした状況の中に、秩序を作り出す能力である。







※興味深い研究例

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①<老人ホームでの実験> 認識から生まれる違い



老人ホームの入居者に対して、職員が下記2つのアプローチで、同じだけの世話を

した。


1.入居者のある程度の自由は許されるが、彼らの健康は有能な職員が責任を持って管理する。

    「この施設を、みなさんが誇りに思い、幸せを感じられるような家にするのが私たちの務めです。」というメッセージ


2.この家を楽しいものに出来るかどうかは、入居者次第である。

    「みなさんの人生ですよ、どんな人生にするかは、みなさん次第です」というメッセージ


※1では花の水やり、週一回の映画の選択を管理者が、2では入居者が行った。それ以外は同じ。



→結果:自由度の小さい1では70%の入居者の健康状態が改善したのに対し、

自由度の大きな2は、より満足度が高く、入居者通しの交流も盛んで、90%以上の入居者の健康状態が改善した。

長期のモニタリングでは死亡率も低かったことが判明した。

   


②<アジア系とアメリカ系の研究> 集団主義と個人主義の違い


アナグラム(ことばのパズル)と、その答えを書くマーカーを各6種類用意し、小学生に対し下記3つのグループで実験。


1.自分で好きなパズルとマーカーを選ばせる(自己選択グループ)


2.「あなたのお母さんに、アンケートに答えてもらった結果、このパズルとこのマーカーで書いて欲しいそうよ」と指定(母親選択グループ)


3.赤の他人である出題者がパズルとマーカーを指定(非選択グループ)



結果:アメリカ系の生徒の場合、最も成績が良かったのは自己選択グループで、非選択グループの4倍、母親選択グループの2.5倍の問題を解いた。また取組続けた時間も3倍も長かった。

しかし、アジア系の生徒の場合、最も成績が良く、意欲も高かったのは母親選択グループで、自己選択グループの1.3倍、非選択グループの2倍も成果を上げた。

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